Q:朝起きるのが苦手で遅刻常習犯。いまさら改善可能?
答える人/細川モモ(予防医療/栄養コンサルタント)
A:ストレスと栄養状態を見直してみましょう
朝が起きられない悩みは、当事者にとっては深刻ですよね。今さら、ということは成長期の頃からでしょうか。ストレスをどれほど抱えているのでしょう。また、栄養状態はいかがでしょうか。
私たちの心地よい目覚めには“コルチゾール”というホルモンが必要です。コルチゾールは抗ストレスホルモンの一種で、私たちが抱えるストレスと日々戦ってくれています。ストレスを長期にわたって抱えてしまうと、コルチゾールを分泌する副腎という小さな臓器が疲弊してしまいます。結果として、コルチゾールの分泌量が減ることで朝起きられなくなってしまうのです。このタイプは朝起きられないだけでなく、慢性疲労状態でじんましんや各種アレルギー症状の慢性化もみられます。心当たりがあるようなら、「副腎疲労症候群」の可能性があるので、ぜひ医師に相談してみてください。
もうひとつは、貧血の可能性です。鉄分不足の貧血だと診断された人以外にも、寝起きの悪さには「隠れ貧血」の可能性もあります。体内の鉄は約70%がヘモグロビンとして存在していますが、約30%は貯蔵鉄(ferritin)という形で肝臓などにストックされています。貯蔵鉄が20ng/mLを下回ると朝起きられなくなるなど、生活に支障をきたすようになります。日本女性の3人に1人が貧血のない鉄欠乏=「隠れ貧血」であることがわかっています。貧血の原因としては、鉄分を十分に摂取していない場合と、月経時の出血量が多い場合があります。
もし、食事からの鉄分摂取量が十分でない場合には、鉄分と一緒に亜鉛を不足させている可能性もあります。実は、亜鉛は体温や血圧に影響する栄養素であることが最新の研究で明らかになっています。鉄分と亜鉛の両方が欠乏すると血圧低下率がより大きいという報告も 。鉄分や亜鉛は貝類や牛肉に豊富に含まれ、動物性たんぱく質に吸収率の良い形で存在しています。栄養素の充足に関しては、貯蔵鉄や血清栄養素の検査でわかりますので、一度調べてみてはいかがでしょうか。自由診療につき検査費用は安くはありませんが、長年の悩みの解消に一歩近づけるかもしれません。
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予防医療/栄養コンサルタント
細川モモ(ほそかわ もも)
社団法人ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事、元ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー。親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心をもち、米国にて栄養疫学に出会う。米国認定資格を取得後、2009年に日米の専門家を集めて母子健康増進PJ「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足し、共同研究を複数手がける。2014年に三菱地所(株)とともに働く女性のための「まるのうち保健室」をオープンし、「働き女子1,000名白書」を発表。連載/日経WOMAN Online・日経DUAL他。著書「成功する子は食べ物が9割」(主婦の友社)が7万部突破中。Instagramで食生活(献立)を公開中! AGEsが測れる初の妊活講座を開催するなどの活動も。
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