『10人中、2~3人のお客様が自分のファンになってくれれば、それでいい。』
元・銀座のNo.1ホステスにして、現在35歳、バツイチ、二児の母・勝友(かつとも=名字)。銀座時代、会社経営者に、大手商社のエリート、政治家、医者・・・と、かずかずのいわゆる“一流の男たち”を虜にしてきた彼女が今回、語るのは「人との距離の縮め方」について。
この、人との距離感の取り方だが、実際、彼女が銀座でNo.1にまで昇り詰める上で、とても大切なファクターだったと、勝友は語る。そういえば筆者(女性)も、勝友と知り合ってかれこれ7年ほどなのだが、出会ってかなり早い段階から、いつしか、まるで長年の友人のように思えるようになっていた。
ちなみに筆者は、人に心を開くまでに時間がかかり、嫌なことがあるとすぐに心のシャッターを下ろしてしまう、なかなかに面倒なタイプ。そんな面倒な厄介者の私とも、いつの間にかスッと距離を縮めてしまい、心の中にスッと入り込んでしまった、彼女の「人たらしマジック」とは一体・・・!?
「ホステスになりたてのころは、“みんなに好かれなきゃ”と思い、そのお客様のタイプに合わせて、まるで女優ばりに、いろんな女性を演じていました。でも、どんなに頑張って“女優”しても、まったく思うように売り上げが伸びず・・・。どうしたものかと思い悩み、一生懸命、売れっ子の先輩ホステスたちを観察してみると、意外に先輩たちがみんな“自然体”であることに気づきました。接客中もそれ以外のときも、あまり態度が変わらないんです。
たとえば、癒しキャラで人気の先輩ホステスは、ヘルプやスタッフにもとても優しいし、豪快キャラで人気の先輩は、プライベートも姉御肌で、サバサバしているんです。逆に、どんなにパーフェクトな容姿で、パーフェクトな接客をしても、後輩やスタッフに意地悪だったり、人の足を引っ張るようなホステスは、決してNo.1にはなれない。裏表があるのはやっぱりダメなんです、人間として。
自分のやり方が間違っていると気がついて、私も、万人に好かれようとするのはやめました。人それぞれ好みもありますし、性格やフィーリングの合う、合わないがあるのは仕方のないこと。10人中、2〜3人のお客様が、自分のコアなファンになってくれたらいいかなって。以後、“負け戦”はしない主義に」。
素の自分で勝負しようと決めてからは、肩の荷が降りて、とても楽になったという勝友。“合わない相手に対して媚びない”、そして、“無理矢理、自分を曲げない”というスタイルを貫いた結果、気がつけばNo.1の座につくことができていたのだとか。もちろん、素の自分=気を抜く、我を通す、という意味ではない。たとえ自分らしいスタイルを貫いても、仕事である以上、そこに気配りや空気を読む力は、絶対不可欠必要だそう。
「お客様との距離を縮めるために、もうひとつマストなのが“相手の印象に残る”こと。みなさんにご認識いただいているとおり、“ちょいブス”、かつ“ちょい地味”な私は、容姿ではなく、言葉で相手にインパクトを与える必要がありました。つまり、いい意味で“なんだこの女!?”と思わせる・・・。そんな中で、効果絶大だったのが、相手に“ちょっと愛嬌のあるあだ名をつける”ことですね。お客様と、少しお話をしてみて、自分が拒絶されていないと感じたら、そこで、相手のことを突然、あだ名で呼んでみるんです。たとえば“森田さん”のことを“モリリン”とか・・・。
あだ名で呼ばれると、相手は、“この子は自分に興味がある、または、好意がある”と受け取ってくれるものです。また、社会的に地位がある男性ほど、あだ名で呼ばれる機会が少ないせいか、相手の印象に強く残るよう。あだ名で呼ぶという行為は、男女を問わず、相手に、記憶に残るインパクトを与えつつ、確実に距離を縮められるテクニックのひとつだと思います。みなさんもぜひ、お試しください。
あだ名で呼んだとき、相手の反応が微妙だった場合、ですか?そのときは何事もなかったかのように、呼び方を“森田さん”に戻します。ときに人間には、少々のことには動じない図々しさも必要かと」
今回の結論。『距離を縮めるために、相手をあだ名で呼んでみよう』。そして『男たらしの女とは、結局、人たらしである』。
撮影/諸田 梢