今ではない未来を予測して発想する。 難度の高い〝街づくり〟に魅せられながらも 30代以降は、ライフとワークが自然に調和する肩の力が抜けた生き方にシフトしつつあります 。
今月の女:瀬志本 藍さん
東急不動産株式会社 都市事業本部 商業施設営業部 係長・33歳
もやもや悩んでも仕方がないので そんなときは寝てしまいます(笑)
ランドマーク的な商業施設は、人の流れを変える力をもっている。そんな人気施設のひとつである東急プラザ表参道原宿や東急プラザ銀座の開発事業に携わってきた瀬志本さん。 現在は渋谷駅周辺の再開発プロジェクトの一員として業務を推進。完成予定は約2年後。 早くもカウントダウンが始まっている。 「毎週水曜は定例会議があり、決めごとも多いため、時間内で目的達成できるように集中して準備します。一歩でも業務が進む感触が得られると、日々達成感を感じますね」
総合ディベロッパーとしてコンセプトやターゲットを設定しながら〝街づくり〟の視点 で魅力的な空間を発想する。緑が象徴的な表参道や原宿周辺に合わせて屋上庭園を企画したり、銀座という街の特性を考え、床にヒールのかかとが引っかかりにくい、石の素材を選ぶなど、細部の工夫まで余念がない。
「名称が地図に載ったり、街を訪れる人の動線が変化したりすることに素直に喜びを感じ ます。最近では学生時代の友人が施設内のお店で撮った写真を〝今日はママ友会〟などとSNSに上げてくれることも。みんなの日常生活に入り込んでいるものを提供できているんだと、テナント探しにも気合いが入ります」
完成後こそ華やかな職業に映るが、そこにたどりつくまでには長い年月をかけた地道な準備が伴う。未来を予測し〝その時代に求められるもの〟を提案する難易度の高さ。「 5年後、 10年後の消費スタイルや人の流れはどう変化しているのか。推測することは難しく、それだけに責任も醍醐味も感じます。 アイディアのヒントにするのは流行の発信地であるN.Y.などの海外のトレンドや、マーケティング会社のデータなどです。ときには IT系の企業の方や流行のキーマンの方と、〝VR普及後の街はどう変化しているのか〟などと盛り上がることも。日々の生活を通して生まれたアイディアが、次の仕事につながることも少なくありません」
あくなき好奇心を仕事が刺激してくれる。 壁にぶち当たれば仲間と飲んではしゃいで気持ちを切り替え、大好きな買い物でストレス解消。今日という日を全力で燃焼させたい。 そのためかつて20代後半は、寝食忘れて精力的に仕事に打ち込み、プライベートより仕事を選んだ時期もあったと振り返る。 「ただ、30を過ぎたあたりから、一度しかない人生、仕事ばかりの人生だと、ちょっともったいないなと思うようになってきたんです。 今後機会と出会いがあれば、仕事とプライベートを自然に両立していきたいなと思っています」と、瀬志本さん。エネルギッシュな笑顔の向こうに、ピュアな顔がチラリとのぞいた。
せしもと・あい/1984年生まれ。埼玉県出身。 人がにぎやかに集う場所が好きで、街づくりの 勉強をしようと成蹊大学法学部政治学科へ。卒業後、東急不動産株式会社に総合職として新卒入社、不動産ファンド系の部署に配属。25歳から商業施設の運営業務や開発に従事。東急プラザ 表参道原宿、東急プラザ銀座などの開発・運営、 施設に出店するテナントのリーシング業務に携わる。座右の銘は〝毎日を楽しく全力で生きる〟。 
Domani11月号 女[独身]、妻[既婚子供なし]、母[子供あり]Catch!働くいい女の「水曜16時15分」より
本誌撮影時スタッフ:撮影/真板由起( NOSTY) ヘア&メーク/今関梨華( P-cott ) 構成/谷畑まゆみ