だれしも経験するモヤモヤ30代を経て、40代の今はスッキリ。そんな、働く女性の体験談を聞きました。
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40代になって、目先の勝ち負けが気にならなくなりました。
思いどおりにならない時間が、あとでよかったと思うこともあるんです。
思いっきり働いて、遊ぶ。 30歳まではそれでよかった。
「とにかく仕事と人が好き。仕事をしない自分なんて考えられない。だから結婚も出産も、自分には向いていないだろうなと思っていました」 と、根っからのキャリアウー マン体質を自負する沓澤さん。外資系アパレルから30歳のとき、 IT業界へ転身し、現在では経営や人材採用、育成や教育に携わっている。
「 自立して働いていて、自由に旅行に行ったり、デートをしたり。 20代まではそれで十分でした。 それが30代に入り、このままでいいのか、と考えるようになりました。深夜までいろいろな勉強をしたりしましたが、自分の人生をどこへ向けるのが〝正解〞 なのか分からなかったんです」 そんな中、変化のきっかけが 訪れたのは30代半ばのとき。
「 30代に入り、周りから結婚や 出産に対するプレッシャーを感じるようになってきて…。それと同時期に婦人科の検査で子供ができにくい、と言われました。それが、考えを変える大きなきっかけになりました。〝私、チャンスが少ないんだ〞と、家庭をもつ可能性を意識するようになったんです。当時は恋人だった今の夫は、 2回目の結婚で既に子供がいたので、〝別にいらないよ〞というスタンス。違う相手を探し始めようとか、子供はあきらめて、仕事を頑張ることで折り合いつけようとか、いろいろ模索して感情の整理をつけようとしたりもしました。でも、少しでもチャンスがあるなら後悔しないようにトライしよう、と決心。そこから初めて真剣に夫に相談して、運にも恵まれ、 37歳で出産しました」
仕事と子育てに揺れながらも日々、周りに助けられて。
結果的に、ふたりの子供の母となった沓澤さん。それまでの考えとは真逆に、2年ほど専業主婦になったことも。人生ではじめて仕事と離れて、このままでいたくない自分に気づいて。さみしかったんです。朝、職場で仲間と顔を合わせて、挨拶ができることの幸せを感じました。自分はママでもあるけど、個人として、社会に貢献してる感覚が欲しくなってしまった。経済的に自立していたかったし、 まだ上への目標もある。そういう経緯で、仕事に復帰しました。30代後半まで続けてきた仕事に、 とても元気をもらいましたね」
再び仕事に復帰した沓澤さんが思う、ワーキングマザーとは。 「子育てしながら働くって、気持ちがひとつじゃいられない。子供のことは大好きでかわいい、 けれど大人として自分のために欲しい時間もある。いい仕事がしたいのに、子供が気がかりで集中しきれない自分もつらい。 同時にふたつの気持ちがいつもあって、ひとりで泣いたこともたくさんあります。そんなときは、働いているママの先輩たちに相談しました。どういう気持ちで仕事したらいいか。どうやって子供と一緒にいる時間をいいものにするか。自分よりずっと若いママにも教えてもらうこともあります。いろんなママたちの話を聞くと、勉強になるんです。帰ってきてから子供と一 緒の時間は、ちゃんと向かい合 って、〝保育園楽しかった?〞 とかたくさん話しかけて、濃密な時間にできるように心がけています。
何かを手に入れるなら、何かを捨てなければならないと思っていた30代から、今はとにかくなんでもやってみようと思えるようになりました。結婚も 出産も、トライしてよかった。いろいろな事で答えが出ないときも、思いどおりにならなかった時間も、今思えば必要だったとわかります。目の前のことに一喜一憂しなくなりました。 40代って、なる前はイヤだと思っていましたが、なってみたら結構いいことありますね」
株式会社ATJC 取締役
沓澤寿子さん
くつざわ・ひさこ/1975年生まれ。 外資系アパレルでキャリアをスタート。3社を渡り歩き、接客や外商を経験した。その後、30歳でIT業界に転職し、現在は、 人材の育成や教育に携わる。
Domani12月号 スッキリ40代に聞く!モヤモヤ30代の〝切り抜け方〟より
本誌構成時スタッフ:撮影/中田陽子(MAETICCO) 構成/佐藤久美子、山梨智子(本誌)