一度覚えれば、年を取ってもずっと使える便利なメソッド
「起業して22年になりますが、なんとかして“食生活を自分でコントロールできる人を増やしたい”と考えながら事業展開をしてきました。独学で勉強や実践をする中で出合ったのが、体内時計の研究です。栄養学と体内時計の働きを組み合わせた“時間栄養学”は、からだの指標がすごくわかりやすく、画期的さを感じました。
たとえば、決めていた夕食時間がずれると朝の排便時間もずれてしまうなど、本人が確認しやすい体調のチェックポイントが明確なのです。そこで時計栄養学を生かして、誰もが自分のコンディションを調整できるようになる“食コンディショニング”のメソッドを考案しました。
自分で試すうちにわかったのですが、私の場合、体のリズムが整うにつれて甘いものを食べたくなくなってきました。考えれば動物って、みんな砂糖は食べないじゃないですか。そこで、甘いものがやめられないのはその人の意志が弱いからではなく、体の調子が乱れているからじゃないかと考えたのです。
食べ過ぎない状態をつくるためには、体を自然な状態に戻して基本に立ち返ることが大切です。そのために時間栄養学に沿って食べ方を整えていくと、体調や体重などの結果も自然とついてきました。
実は、私がこの世界に入ったのは自分自身のダイエット失敗体験がきっかけでした。食べる量を減らすことを継続すればするほど、体調が落ちて行く。試行錯誤する中で体内時計をしっかり刻む暮らし方にシフトしていくと体調がぐんぐん回復し、昔やっていた陸上を再開できるほどガラリと生活が一変しました。
▲事務所近くの、起伏に富んだ約8kmのコースを走る小島さん(写真は2019年11月撮影)。活動自粛期間中の対策として、室内で取り組めて効果的に活動量をアップする方法も提案しています。
食事って、本来すごく楽しいものなのに、どこか不自由になっている人が多いような気がしています。もっと自由にフラットに食べるには、体内時計といわれる生体リズムを整えて、摂取と消費の収支がとれる体につくっていくと、その先はとても自由な世界が待っていると思うんです。
自分の体調を軸にコンディションを整える方法を知っておくと、世の中のさまざまな健康情報や食事法に振り回されることがなくなります。自分の体の変化にどう対応していくかという調整力がつくスキルなので、更年期や年齢を重ねることもそんなにこわくなくなります(笑)」(小島さん)
教えてくれたのは…
管理栄養士・健康運動指導士
小島美和子さん
(有)クオリティライフサービス 代表取締役、食コンディショニングプロデューサー。女子栄養大学卒業後、食品会社、大学病院などでの勤務を経て、現職に。ビジネスパーソンの食生活改善プログラムなどの企画開発を行う。〝時間栄養学〟をもとに食生活をコントロールし、安定した体と心のコンディションを手に入れるメソッド「食コンディショニング®︎」を提唱。著書に『1週間でお腹からスッキリやせる食べ方』、『1週間で体調がグンとよくなる食べ方』(共に三笠書房)など。食コンディショニングのオンラインセミナーなども開催。http://www.qls.co.jp/
取材・文
谷畑まゆみ
フリーエディター・ライター。『Domani』連載「女の時間割。」、日本財団パラリンピックサポートセンターWEBマガジン連載「パラアスリートを支える女性たち」等、働く女性のライフストーリー・インタビュー企画を担当しています。
※食コンディショニングは有限会社クオリティライフサービスの登録商標です。
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