セルフケアでホルモンを味方に
40代を迎えるとメンタルと体にちょっとした変化を感じやすくなります。今までにない感覚にあれ? っと不安になることがあるかもしれません。女性ホルモンケア専門家であり、セラピストの難波かおりさんも女性特有の“ゆらぎ”に悩まされたといいます。
難波さんは更年期を乗り越えた世代ではありますが、40代の頃よりプレ更年期の症状が出ました。ホルモン治療を行なったり、漢方を服用したり、試行錯誤するなかでセルフケアで症状が楽になったという経験があります。そのような体験をもとに数々のセルフケアをInstagramで発信し、今では10万以上のフォロワーに支持されています。
更年期はまだ先のことかもしれませんが、生理前のイライラや家族に八つ当たりをしてしまう、体がだるくなるなどのPMSに悩まされている人のヒントになるかも。

(c)Adobe Stock
更年期症状と聞けば、ホットフラッシュやのぼせなどの症状を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は、やる気がでない、イライラする、落ち込みやすくなったなどのメンタル症状が出ることも少なくありません。また、不眠や疲れやすさなど、いつ改善するか先が見えないことでも不安に。個人差が大きく、家族や友人に理解してもらえないこともつらさを後押ししてしまいます。
特に、メンタルの不調は熱が高かったり、咳が出たりといったわかりやすい症状がなく、なんとなく朝からだるい、やる気が出ないというようなことがあっても休めるわけではありません。もし、ダラダラしていたらサボっていると言われてしまうこともあるほど、他人には理解してもらえず、つらいと弱音を吐く場所もないものです。
悩んでいるのはひとりじゃない!
更年期は「第二の思春期」といえます。思春期も女性ホルモンのバランスに関係し、心や体に様々な変化が生じやすくなります。思春期は期間であってずっと続きませんでしたよね。更年期も同様です。真っ只中にいると抜けないトンネルに感じるかもしれませんが、いつか期間がくれば自然と明けるので心配しないで。
ネガティブな気分に陥ると「前向きにならなくては」とか「ポジティブに考えなくては」となりやすいものですが、「無理にポジティブにならなくていいんです」と難波さん。自分のご機嫌を取る方法として教えてくれたのが、幸せホルモンの活用法です。
3大幸せホルモンと呼ばれるものに「オキシトシン」「セロトニン」「エンドルフィン」があります。オキシトシンの分泌を促す方法として有効なのが「触れる」ことです。一般的には赤ちゃんとのふれあいで分泌されると言われますが、人やペットとの触れ合いでも分泌されます。
触れ合いはセルフでもいいんです! 1日の終わりにセルフハグをしながら「よく頑張ったね」と声を出して自分を労ってあげましょう。声を出すことも大切で、口にすることで脳へポジティブな情報がインプットされるというのです。1分間と時間を決めると続けやすくなるメリットがあるので、まずは1分から始めてみませんか。
リズミカルな運動でもオキシトシンは分泌されます。簡単で誰でもできるリズム運動が「貧乏ゆすり」です。お行儀がいい行動ではありませんが、手軽にできて血流やリンパの流れも改善されます。
最近では「推し活」もおすすめです。好きなアーティストやアイドルを応援することは、ストレス解消や元気の源にもなりますが、実はオキシトシンやエンドルフィンの分泌にも関係しているのです。
「毒だし呼吸」で日頃のネガティブを吐き出す!
難波さんが更年期を乗り越えた方法に毒だし呼吸があります。よく腹式呼吸をしてリラックスしましょうと聞きますよね。その腹式呼吸にさらにひと工夫! 呼吸をする際にネガティブな感情も一緒に吐き出すようにします。
4秒吸って、6〜8秒かけて吐くだけのシンプルな呼吸ですが、ストレスがあり呼吸が浅くなっていると、この吐くことが意外と難しいのだそう。慣れるまでは無理をせず、自分が心地いいと思える範囲で行うようにしましょう。
吐くときに脳のデトックスをするイメージで負の感情を吐き切りましょう。思いのほか気持ちがすっきりするはずです。また、吐き切ることで、自然と息を吸えるようになるため、吸うことよりも吐くことを意識するのが大切です。難波さん自身、この毒だし呼吸に何度も救われ、今でも日課のように行なっているといいます。
年齢に関係なく、現代社会をとりまく環境はストレス過多になりやすいもの。自分のご機嫌を自分で取る方法を知っておくとQOLだって上がるのではないでしょうか。また、いつか更年期に悩んだら、悩んでいるのはあなただけはないということも覚えておいてくださいね。みんな平等に更年期はきます。本書を自分らしく過ごすための参考にしてみてください。きっと元気づけられるはずです。

著者:難波かおり
出版:BAB出版

女性ホルモンケア専門家
難波かおり
リンパシーアカデミー代表。40代はじめからプレ更年期がはじまり、仕事、夫婦関係、子育てなどさまざまなストレスと相まって、心身ともにボロボロの状態を経験する。このとき、リンパドレナージュで究極の癒やしを体験し、セラピストの道へ。シングルマザーとして3人の子どもを育てながらサロンを開業。開業後もリンパドレナージュ、エステティック技術、心理学などを学ぶ。脳神経内科の医師である長男の監修で、ホルモン分泌を促して心身の回復を図る「リンパシー®」の手法を確立。現在、歯科医師である二男も加わり、ダブルライセンスのもと、スクール経営で後進の指導にあたる。自身の経験と知識をもとに、更年期の不調をアドバイスするインスタグラムが大好評。『更年期は「第二の思春期」女性ホルモンのトリセツ』はその中から、視聴者の注目を集めたトピック、共感を得たテーマなど、反響のあった内容を取り上げた。
Instagram:@kaori_posi
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