ニキビも肌荒れも。肌トラブルの全ての原因は「乾燥」にあった!
残暑の厳しい中、続くマスク生活。過酷な環境はもちろん肌にも影響を及ぼし、「長くマスクをしているせいか肌がガサついてきた」とか「マスクが触れる部分にニキビができるようになった」と悩んでいる人が増えているようです。
肌荒れやニキビはマスクをしていることに関係しているのか、自由が丘クリニックの皮膚科医である松浦佳奈先生にうかがいました。
「マスクで肌が荒れる原因はふたつあります。
1:マスクが肌に触れることによる刺激。
2:自分の呼吸や気温の上昇によるマスク内の蒸れ。
このふたつは肌の乾燥を招くのです。ひとつめはなんとなくわかるけど、『蒸れて乾燥するの?』と疑問に思われるかもしれません。でも実はマスクの中の湿度が高くなると、肌本来が持っている水分が出ていってしまうんです」(松浦先生)
肌が乾燥すると表面の角質がめくれて内側の水分の流出につながる
皮膚の表皮の、いちばん外側にあるのが角質。正常な状態だとキメが整ってレンガのように連なり、内側の水分や美肌に必要な成分が保たれている。
マスクによって皮膚が擦れたり蒸れたりすると、角質がウロコのようにめくれ、内側の水分や美肌に大切な成分が出ていってしまう。
乾燥がさらなるニキビを招くことも! 肌の水分と油分のバランスを保つために保湿で角層を整えて
ニキビ=油っぽいのが原因だから、念入りに洗顔したりさっぱり系のスキンケアアイテムを使う、と思い込んでいる人もいるはず。ですが…、
「実はニキビができる人ほど、肌が乾燥している傾向にあります。人間の肌の表面には油の膜が張っているんですね。それは、肌自らが持つ水分が蒸発してしまわないように、ラップのような役割をしているんです(=肌のバリア機能)。肌に水分が足りていない人ほど、肌を守るための油分をもっと出そうとして毛穴が詰まってしまい、ニキビができやすくなるというメカニズムです」(松浦先生)
なるほど。肌が乾燥していて、「水分が足りない! そのためには油分だ! 油分を出さなきゃ!」と過剰に油分が出過ぎるということなんですね。
「そうですね。乾燥状態のうろこのような角層なのに油分が過剰に出てくると、毛穴にその油分が詰まってアクネ菌が活発になりニキビにつながるんです。角層は、紫外線やホコリなどの刺激から守る役目もあるため、角層がガサガサになると様々な悪影響を受けやすい。角層を守るためにはとにかく保湿がいちばんです」(松浦先生)
顔が油っぽいから、ニキビができているからとせっせと洗顔して、そのあとは軽いケアしかしない…というのは間違い。刺激にならない程度に洗顔をし、きちんと保湿ケアをしないとさらなる悪化につながってしまいます。
「マスク生活の今、大事なのはとにかく保湿することです。普段の1.5〜2倍の保湿をしてほしいですね。保湿というと『化粧水をたっぷりつければいいんですか?』とか『ワセリンをベタベタになるくらいつけたらいいですか?』と聞かれます。保湿するには水分も油分も大事。肌に水分をたっぷり入れて、それが蒸発しないように油分で膜を張ってあげる。バランスよく整えれば、マスク生活が明けてからも美肌を保てると思います」(松浦先生)
皮膚科医
松浦佳奈
自由が丘クリニック皮膚科・美容皮膚科常勤医。聖マリアンナ医科大学病院皮膚科医長を経て現職。シミ、ほくろ、そばかす、肝斑など、あらゆる皮膚のお悩みを的確に診断し、レーザーなどの医療機器を駆使して治療を行う。
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構成/斉藤裕子
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