最近何かと男女平等、多様性が訴えられていますよね。その中のひとつに「LGBTQ」があります。どうやらこれって大人の問題だけではないよう。スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士・吉田美智子さんに「子どものLGBTQ」についてお聞きしました。
実はLGBTQの始まりは小学生から!?
「メディアで取り上げられる少し前あたりから、子どものLGBTQについて相談が来るようになりました。実は私も小学生のうちはまだ関係ないと思っていた保護者のひとりでした。しかし、自分の性別(ジェンダー)に違和感を感じ始めるのは思いのほか早く、小学3〜4年生からとも言われています。小学生以上の子どもを持つ親御さんは、他人事と捉えず、頭の片隅に入れておいてもいい知識かもしれません」(吉田さん)。
子どもはどんなことに気づき始める?
「自分自身でLGBTQだと感じ始めるのは思春期(第二次性徴)が多いと言われていますが、小学生でも以下のような〝性の不一致〟を感じ始めます。
1:言葉使いや呼び名
男の子だと〝君付け〟、女の子なら〝ちゃん付け〟で名前を呼びますよね。また男の子なら『僕、俺』で女の子なら『私』を使います。これら男女で分けられている言葉を使うことに違和感を感じる。
2:服装・着替え
男子がスカートをはくのがおかしい、女子はブラジャーをつけなくてはならないなど、男女の服装の定義に疑問を感じたり、学校の着替えでは男女別に着替えるが、その空間に何が居心地の悪さを感じるなど。
3:トイレ・お風呂
学校などで同性のトイレに入ることが嫌と感じる、温泉や銭湯で同性のお風呂に入りたくないと感じる。
〝女の子なのにスボンを好む〟〝男の子なのにおままごと遊びをする〟というものとは違い、自分の生まれ持った性に対して、それらしく振る舞わなくてはならないことに『嫌だ・違う』と感じること。例えば女の子なら女の子らしい振る舞いをし、周りからも女の子として扱われるが、本人は女よりも男としての振る舞いのほうがしっくりくると感じるのです。これが最初のきっかけではないでしょうか」(吉田さん)。
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我が子がLGBTQ!?と感じたらどうする?
「小学生のうちは、自分の性の不一致に対して違和感が芽生え、困惑をしている状態。まだ、断定的な時期ではありません。なので、親も動揺してしまうかもしれませんが、慌てずに子どもの成長に合わせた希望を聞いてみましょう。例えば、男子トイレや女子トイレの使用が嫌であれば、バリアフリートイレを使用するなど、気持ちに寄り添ってください。また、学校に協力を求める場合、〝性的違和感がある〟ということは言わなくても良いと思います。〝少し敏感・不安定になっているので〟程度でも、理解や協力は得られるのではないでしょうか。
子どもからハッキリとした希望が出てこなかった場合、まずは一般的な話題としてLGBTQについて親がどう思っているか伝えておくと良いと思います。肯定的な話をしておくことで、子どもは〝困ったときは親に相談しよう〟と思えるからです」(吉田さん)。
今は個々の個性を認め合う、「みんな違ってみんな良い」という流れの中にあります。親としては〝我が子のLGBTQ〟はなかなか難しい問題ですが、無理に違和感のある性に戻そうともがくより、多様性を尊重できる考え方を模索・身につける時代なのかもしれません。
構成・文/福島孝代
写真/(C)Shutterstock.com
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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Twitter: @hakoniwasalon