小学生のうちは時間認識がない!?
「早く!」「急いで!」一日の中で何回この言葉を言っているんだろう…と途方に暮れる人も多いのではないでしょうか。毎日決まった時間に決まったことをするだけなのに、どうして子どもはテキパキと行動できないのでしょうか。スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士・吉田美智子さんに「子どもの時間認識」についてお話を伺いました。
「時計を読む、何時に何をしているかイメージできる程度は、低学年までにクリアすると思います。しかし大人がイメージしている時間認識(例えば、タスクを終わらせるまでにどのくらい時間がある、余裕がある?時間が足りない?足りないならどうする?)は、早い子であっても高学年になってやっと身につく程度なのではないかなと思います。
それまでの子どもたちは、大人と同じ感覚ではないけれど、生活リズムとして【朝起きる→支度をする→学校へ行く】や【家に帰ってくる→宿題→遊ぶor習い事→お風呂&ご飯→寝る】など、大まかな流れができているに過ぎない。その間にある【脱いだものを片付ける】【明日の準備をする】【歯磨きをする】など細かなことは抜け落ちやすいかもしれません。その結果、時間が足らず親はヤキモキするのです」
時間の感覚が身につくまで「先回り」「余裕」「見える化」でイライラしない
「大人のように次々とスケジュールをこなしていくことができない子ども。『早く!急いで!』を言わないためにも次の3つを実践してみてください」
1:先回りして助ける
「例えば朝ご飯に時間がかかるようであれば、ワンハンドで食べられるおにぎりやパンなどにする。着替えに時間がかかるようであれば、ボタンやジップのついたものは避け、かぶるだけの洋服にするなど、親が先回りできるもので助けてあげましょう」
2:余裕もって行動させてあげる
「食事や着替えなど、子どもそれぞれで時間のかかるポイントがあるかと思います。本当は◯分で終えて欲しいという気持ちをグッとこらえ、その部分だけは時間に余裕を持って行動させてあげましょう。特に朝は〝最短時間〟で計算するのではなく、時間は15〜30分早く起きて、不測の事態に備えるといいと思います」
3:抜けやすいタスクの見える化
「子どもはこの後何をするか、しなくてはならないかの見通しが身に付いていません。先に述べたような【明日の準備】【歯磨き】など抜け落ちやすいタスクを見える化してみましょう。マグネットカードにタスクを書き、ホワイトボードに貼り付ける。できたら裏返していくなど、To doリストがクリアになっていく快感を味わってもらうといいかもしれません」
ワーママの皆さんはただでさえ時間がなく、忙しい毎日を送っていると思います。日常的にどの行動に対して「早く、急いで」と言っているのか分析し、子どもを急かすのではなく、小学生までは親が対策を講じてあげるといいのかもしれません。
取材・文/福島孝代
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