昔と今は違う!?「ひとりっ子」を取り巻く環境
親世代の「ひとりっ子」といえば、「ひとりじゃわがままになる」「ひとりでかわいそう」など親や親戚に言われた時代ではないでしょうか。今はどうでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所によると、ひとりっ子の割合は全体の20%(2015年)。親世代が生まれる頃(1982年)は全体の10%だったのを見ると、ひとりっ子の数は倍になっていることがわかります。
スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんによると「教育現場でもひとりっ子の割合は増えていると感じる」と話します。では、今の時代のひとりっ子を持つ親が気をつけるべきこと、将来に向け子どもが身につけておくべきことなど、お聞きしました。
家族は量より質が大切!
東京都の公立小中学校では、スクールカウンセラーが小5・中1を全員面接するしくみがあります。その際、〝家族構成〟と〝家族時間〟について聞いているのですが、【家族は量より質が大切】なのかなと感じます。最近では核家族が増え、共働きも多いので、家族でふれあえる機会は減っていますが、家族仲のよい家庭の子どもは情緒的に落ち着きがあり、学校でも持っている力を発揮できます。
コロナ禍で家族一人ひとりのストレスも高まりがちですが、子どもなりに家族を心配したり、できることをしようとする様子も見られます。兄弟がいなくても、コミュニケーションや思いやりの機会はしっかり持てているよう。
子どもには〝友達〟〝仲間〟の大切さを教えて
もはやひとりっ子がかわいそうという時代ではなくなりましたが、〝ひとりっ子〟というハンデがあるとしたら、就学前〜低学年ではないでしょうか。〝意見のぶつかり合い→喧嘩になる→泣いても子どもたち同士で関係が修復できる〟という、兄弟がいる家庭では日常茶飯事な経験が、ひとりっ子には相対的に少なくなります。なぜなら、同じことを園や学校ですると、対人トラブルとみなされ、大人が介入してしまい子どもたちだけで十分体験できないのです。
この体験を少しでも多くしてもらうために、できれば小さいうちに身近で信頼できる友達や仲間を作ってあげるといいと思います。大きくなってしまってからでも、友達や仲間を信頼する大切さを伝えていきましょう。その相手は同級生でなくても大丈夫です。年上・年下・異世代でも構いません。
まだまだ遠い未来かもしれませんが、ひとりっ子は両親を亡くしたら一人になってしまったと孤独(もちろん結婚して家庭を持つかもしれませんが)を感じると思います。その時、支えになってくれる友達や仲間がいてくれるようにしてあげるのが親の務めかもしれませんね。
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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