シリコンバレーでの起業やネット広告事業を経て、40代で中国市場に商品展開するEC業界に転職。〝ポジティブモンスター〟ばりのタフさが身上です。
今月の母:下 浩子さん
インアゴーラ株式会社 グローバルEC コンサルティング
ディレクター・47歳
シリコンバレーでの起業やネット広告事業を経て、40代で中国市場に商品展開するEC業界に転職
子供との時間を大切にしながら働き続けるには、いったいどうすればいいのか。これは働く母にとって、正解のない永遠の悩み。10年以上前のIT黎明期に、いち早くSNS事業やシニア向けタブレット開発を手がけた才覚をもち、現在は中国向け越境EC事業のコンサルティングディレクターとして多くの企業の出店をサポートする下さん。仕事の分岐点は35歳。いわゆる〝小学校の壁〟の時期。
「保育園時代は19時まで預かってもらえたのに、小学生になったら、学童がイヤだと子供が早く帰ってきてしまうんです。家でも持ち帰り仕事をして頑張っている横で、〝ボクの話を聞いてくれない!〟と大泣きされてしまう。このまま仕事を続けていいものか、ものすごく悩みました。でも考えた末に、子供の〝せい〟で辞めるのは卑怯だなと思ったんです。それならなぜ学童がイヤなのかをしっかり聞こうと。〝なるほどそれならイヤだよね。ごめんね。でも、お母さんも仕事を続けたいんだよね〟と根気強く話し合ったんです。親が謝ることは重要で、子供は徐々にわかってくれました」
そして大切なのは過ごす時間の長さではなくクオリティなのではと考え、家で子供と接する時間は家事も仕事もせず100%子供と向き合うことに決めたという。以降は常にポジティブになりきり、両立を乗りきってきた。
「子供が食べ散らかしてテーブルを汚してたらイラッときますが、〝まあ、いいや〟と思えれば気が楽になって〝じゃ一緒に片付けようか〟となります。仕事でもだれかが失敗したら〝迷惑はかかるかもしれないけど、たいしたことないから!〟とポジティブに振り切ります。つまずきは未来につながる糧なんです」
しも・ひろこ/1970年、京都府生まれ。大学卒業後、日本語教師としてアメリカと日本で教える。26歳で国際結婚後に渡米。26歳から現地公立学校で日本語学習番組制作に携る。その資金調達からビジネスに興味をもち、シリコンバレーに移り29歳で出産、起業。日本人女性向けコミュニティを設立するも、ITバブルで会社を売却。33歳で帰国。ITマーケティングに携り、44歳で現在の会社の立ち上げに参画、現在に至る。
Domani2018年3月号『女[独身]、妻[既婚子供なし]、母[子供あり]Catch! 働くいい女の「金曜14時』より
本誌撮影時スタッフ:撮影/真板由起(NOSTY) ヘア&メーク/今関梨華(P-cott) 構成/谷畑まゆみ