あまり話すことがない航空会社の上下関係について
航空業界といえば上下関係が厳しいイメージがあるかもしれませんが、私が勤めていたところは全体的にフレンドリーで、他のアジア系航空会社に比べると先輩後輩の関係はだいぶカジュアルだった気がします。
しかし、先輩は先輩。たとえ同じ日に面接を受けていても、相手が1日でも先に入社していれば、自動的に先輩となり、後輩は先輩に対して礼儀正しく接するというのが基本でした。
が、たまにいるのです。「あの子の礼儀はどうなっているの?」と先輩の機嫌を損ねてしまう後輩CAが。
中国語で「沒大沒小 (Méi dà méi xiǎo)」は「礼儀がなっていない、無礼」という意味
以前お話しした通り、台湾は全体的にオープンで言語自体も直接的な表現が多い、日本でいうと関西のノリを感じるハッピーな国。日本語のような丁寧語があるわけでもないため、「気を遣っています」感を漂わせるためには、ちょっとした言葉遣いや声のトーンが鍵となります。
特に機内サービスというのは、限られたスペース内で限られた人数が決められたタスクをこなす、チームワークが欠かせない仕事。
そのためたとえば、自分が担当しているエリアのドリンクを配り終えたときに「我這邊發完了 去幫另外一邊喔 (こちらは配り終えたので、反対側手伝ってきますね)」といったり、サービスコールが鳴ったときの「我來 (私が行きます)」という自発的態度は、“コミュニケーションがきちんととれる礼儀正しい後輩” という印象に繋がります。
反対に真逆のことが起きてしまうと、先輩に「那個學妹 真的沒大沒小 (あの後輩、本当に礼儀がなっていないんだから)」といわせてしまうことに、汗。
ちなみに中国語で「沒大沒小 (Méi dà méi xiǎo)」とは「礼儀がなっていない、無礼」という意味。
直訳だと「大きくも小さくもない」となりますが、ここでは「立ち位置の大きい/小さいを理解していない」とでもいいましょうか。立場をわきまえていないということを指すときに使う言葉です。
特別丁寧な言葉というものがない中国語ではありますが、敬語が存在する日本語でもそれを表面だけで使っている場合には、人に嫌な思いをさせてしまうこともあります。
つまり結局のところどんな言語でも、大切なのはほんの少しの言葉遣いや声のトーンといった “気遣い” なのかもしれません。
【続】
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ライター
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経て美容ライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。薬膳コーディネーター。@chiyuki_arita_official