顔色を伺うこと自体はOK!でも…
親の顔を見たり、声を聞いて「あっ、やっぱいいや」と言ったり、なんだか静かに過ごしていたりと、親の顔色を伺う子ども。我が子では気付きにくくても、ほかの子どもがしていると「アレ!?」と感じるかもしれません。そんな【親の顔色を伺う子ども】について、スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士・吉田美智子さんにお話を伺いました。
そもそもどうして顔色を伺う?
子どもは親がいなければ生きていけない存在であるため、幼少期から親の態度によって自分の態度を変化させることがありますし、親の機嫌や顔色は敏感に感じ取っています。
また親も人間ですから、イライラする日、不機嫌な日もあります。それ自体がダメだというわけではありません。子どもも小学生くらいになれば、「今日のお母さんはなんだかイライラしているから距離をおこう」「頼みごとは明日にしよう」くらいの知恵をつけますし、機嫌にムラがあっても、自分が愛されていることがわかっていれば不安になることもありません。顔色を伺うこと自体、一緒に生活していく上で必要不可欠なものとも言えますね。
無意識にさせてしまっている、危険なパターン3
とはいえ、いつも親の顔色を伺っているようでは少々問題があります。親にとっては無意識だとしても、子どもにとってはちょっと危険な行動パターンを3つ紹介します。
パターン1:お母さんはいい子が好き
【良い子でないとお母さんは悲しい】が刷り込まれてしまった場合。「お母さんを喜ばせるために良い子でいる・悲しませないために悪い子になってはいけない」という考えを強く持つ子供がいます。しつけや習い事などで厳しくしすぎていないか、少し振り返ってみてください。
幼少期~小学校中学年くらいまでがんばって、反抗期にこの価値観から離れられる子どもたちもいますが、反抗期が激しくなりがちです。また、このまま大人になっていくこともあり、「自分らしく生きる」が難しくなってしまう子も。「お利口さんがいいなぁ」が口癖になっていないか振り返ってみましょう。
パターン2:自分で決めて!と言ったのに…
「自分で考えなさい」と言ったのに、子どもの決定が不満で口出ししてしまう。子どもは、親の顔色を見ながら、自分の意思とは違う、親が納得する答えを出すようになります。これでは【自分で考える力】がなくなり、そのうち親がいないと何もできない大人に成長してしまいます。小さなことなら親の願いと違っても子どもの意見を尊重する、進路などの大きな決断については「一緒に考えよう」という態度が現実的です。
パターン3:実は元々の性質・性格の子どもも
子どもの中には親の気持ちを察して動こうとする性質・性格の子どももいます。自分が間違えること、叱られることを怖がり、親の言う通りにすることで危険を回避しようとしがちです。このような場合は、本人の性質・性格は大切に受け止めながら、〝間違えたり失敗しても大丈夫だ〟という体験を重ねられるように工夫してあげてください。口で「大丈夫だよ」と言っても安心できない場合などは、失敗から得た小さな学びを伝えて、失敗・間違いが財産になるよと繰り返し伝えていくなど試みてくださいね。
忘れてはならないのは、【子どもの人生は子どものもの】ということ。親の望む人生ではなく、自分の望む人生を生きていけるように、ぜひ心がけてください。
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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