子どもにとってはえらい迷惑な話!?
「ダブルバインド」とは日本語で「二重拘束」の意味。2つの矛盾したメッセージを与えると、相手が混乱してしまう。混乱して間違いが生じたり、混乱したためにやらないという行動になったりします。「メッセージを出す側、受け取る側双方にストレスがかかる結果になるので注意が必要です」と話すのは、スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士の吉田美智子さん。では、ダブルバインドの実例と対処法を見ていきます。
ダブルバインドとされる会話
実際にやりがちな会話をいくつかご紹介します。
<1>習い事を「続けるかやめるか、自分で決めなさい」と言いながら、「じゃあ、やめる」と言うと怒る。
<2>「これからの時代は一芸に秀でる生き方がいいわね」と言いながら、苦手なことをなんとか克服させようとする。
<1>習い事はやめないで続けてほしいと思っているけれど、本人の意思がないと続かないことも分かっている。だから、本人に「続ける」と言ってほしかった。
<2>ジェネラリストよりスペシャリストの時代だと思うけど、スペシャリストになれないかもしれないし、苦手なことも今なら練習すれば克服できるかも、と二兎を追ってしまう。
ダブルバインドの問題点は、親が本心を言わず、でも子どもに願いを汲み取って行動して欲しいと思っていることです。親側も子どもにそこまで気持ちを汲み取って欲しいとまでは思っていないかもしれません。しかし、「自由と言っても当然、ある程度の制限はあるに決まっている」と思っていたりしませんか?
ダブルバインドを防ぐ方法
〝子どもの気持ちを尊重したい気持ち〟と〝親の願い〟で揺れ動く結果、ダブルバインドをしてしまいます。しかし、 知識も心もまだ成長中の子どもにとって、こんなにも難しい会話はないと思います。ダブルバインドを防ぐためには、シンプルですが、親が正直に気持ちを話すことです。
例えば、<1>の場合、「せっかく始めた習い事だから、続けてほしいと思っていたけど、やるのはあなただから、あなたの気持ちが大切だよね。やめたいのはなんでか教えてくれるかな? お母さんに協力できることがあるならしたいと思うし、習い事自体に興味がない・やりたくないなら、あなたの気持ちを尊重してやめようね」と、ちょっとくどいかなと思いますが、子どもを尊重したい気持ちと、親の願い、ふたつ分の説明をするので、このくらい丁寧であるとベストですね。
画像/(C)Shutterstock.com
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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