【目次】
「ごめんなさい」には2種類ある
「〝ごめんなさい〟には2つの意味があると考えています。まずは、道具的謝罪。これは、〝悪いことをしたら謝る〟というルールを理解して、必要に応じて謝ることや、対人コミュニケーションとして謝ることです。そして、次に誠実な謝罪。これは、自分が悪かった、申し訳なかったという気持ちを伴う謝罪のこと。イメージとしては、道具的謝罪の方が日常的な感じで、誠実な謝罪の方がより深い〝ごめんなさい〟を表していると思います」
未就学児は「ごめんなさい」をどこまで理解している?
「子どもは3歳くらいまでに〝悪いことをしたら謝るのがルール〟〝謝らないより謝る方がいい〟ことを理解するようになります。しかし、例えば〝喧嘩をして相手を叩いたら相手が泣いてしまった〟場合、〝相手が泣いたのは自分のせいだ〟ということは理解できても、自分が悪かったまでは理解できないといわれています。
ですから、この時期は、『ごめんね』『いいよ』のやりとり(キャッチボール)をする・体得する時期と考えましょう。謝る原因はしつこく説明せず、〝◯◯したから謝ろうね〟くらいでよいかと思います」
小学校低学年は「ごめんなさい」の原因を理解して謝ることができる
「一般的に小学1年生あたりから、相手が泣いたのは自分のせいで、自分が悪かったを反省し、誠実な謝罪ができるようになります。子どもに因果関係を説明して、自分が悪かったことを理解させたいと思うときは、叱るのではなく穏やかに、子どもが理解できる言葉で、相手の気持ちや何がいけなかったのかを説明してあげましょう。
低学年までは、大人のうながしが子どもの〝ごめんなさい〟や反省につながっていくとされています。〝ごめんなさい〟を大人が教えられるのはこの時期までかもしれませんね」
小学校中学年・高学年の「ごめんなさい」には注意が必要
「大人や周りの友だちが〝ごめんなさい〟をうながす行為は、中学年には効果がなくなり、高学年になると逆効果(むしろ反感を感じる)ようになります。中学年以降は、素直に〝ごめんなさい〟が言えなくても、相手の態度で反省しているかどうかをキャッチできるようになってきます。
大人側は、無理して言わせるよりは、本人がどう感じているのか、悪かった原因を理解できているのかを把握し、本人の気持ちを言語化する手助けができるといいかもしれません」
年齢に関わらず気をつけたいこと
「ここまでは子どもの成長に合わせた〝ごめんなさい〟を紹介しましたが、全年齢に対して気をつけたいこともあります。
1.無理強いをさせない
→当たり前ですが本人に反省の気持ちがないまま〝ごめんなさい〟を強制しても、身につきません。
2.素直に言えないこともあります
→謝る内容やシチュエーションにより、すぐに言葉に出せないときもあります。【謝れない子】と決めつけないであげてください。
3.理由はちゃんと聞く
→子どもは『だって』『でも』が得意です。この言葉が始まると〝言い訳しない、まずは謝る!〟と言いたくなると思います。もちろん間違ってはいないのですが、成長過程にいる子どもには少し酷かもしれません。子どもが一生懸命考えた説明や弁明は聞いてあげてください。そうすることで、何か困ったときに【説明する意欲と力】につながります。
『ごめんなさい』と言葉にすることはもちろん大切ですが、自分が悪かったと反省する気持ち、時には自分に非がないことを説明できることも重要になるのではないでしょうか。手間隙かかりますが、子どもと一緒に『ごめんなさい』を上手に会得していってください」
画像/(C)Shutterstock.com
取材・文/福島孝代
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