「雲泥の差」の意味や読み⽅とは?
「雲泥の差」はよく聞く言葉ですが、現在使われている言葉のニュアンスと、本来の意味では多少の違いがあります。意味や注意点などを紹介しますので、「雲泥の差」について、しっかりと理解していきましょう。
読み⽅と意味
「雲泥の差」は「うんでいのさ」と読みます。意味は「大きな違い」「大きな隔たり」「物事の間の差異」です。「雲泥の違い」と言うこともできます。
なぜ「雲」と「泥」なのか、疑問に思いますよね。「雲」は天にあり、「泥」は地にあります。それほど大きく離れているということを表現したのが、「雲泥」の語源なのです。
もちろん、「雲泥の差」は「大きな差」に言い換えることもできます。しかし、「大きな差」と「雲泥の差」とでは、受け取る印象が違いますよね。相手にしっかりと「差」があることを強調したいときは、「雲泥の差」を使ったほうが、より相手に伝わるでしょう。
「雲泥」以外にも、天と地ほどの大きな差を意味する類語はいくつかあります。豆知識としてチェックしてみてくださいね。
・雲壌(うんじょう)… 雲と、大地である「壌」を合わせた言葉。
・月鼈(げつべつ)… 月とすっぽん(鼈)のこと。
・雲壌月鼈(うんじょうげつべつ)… 「雲壌」と「月鼈」を組み合わせた四字熟語。
・雲泥万里(うんでいばんり)… 雲泥に、非常に遠い距離を意味する「万里」を組み合わせた四字熟語。
・天地雲泥(てんちうんでい)… 天にある雲と、地にある泥を組み合わせた四字熟語。
使う時の注意点
「雲泥の差」は本来、単に大きな差をあらわし、優劣をあらわす言葉ではありません。しかし現代では、ふたつの物事を比較し、どちらか一方を上げ、どちらか一方を下げるようなニュアンスとしても、多く使われています。そのため、文脈によっては「雲泥の差」と聞くと、ネガティブな印象を持つ方も少なくありません。
ですので、「雲泥の差」を人に対して使う際には注意が必要です。不快に思われる使い方は、避けましょう。
使い⽅を例⽂でチェック
「雲泥の差」は、うまく使えれば、「差」や「違い」を効果的に相手に伝えることができます。例文を見ながら、使えるシーンや言葉のニュアンスについて理解し、使い方をマスターしてくださいね。
「従来の商品と新商品では、品質に雲泥の差がある」
物と物を比較して、大きな違いがあるということを伝えたいとき、「雲泥の差」を使ってみましょう。この例文は、従来に比べ、新商品の品質が良くなったことを意味しています。お客様に新商品を提案する場合には、例文のように使うと「大きく改良された」というポジティブな面がより伝わります。
「ひと手間かけることで、料理の味に雲泥の差が生まれる」
ほんのひと手間が、天と地ほどの差を生むということを表現した一文です。このように、物事の効果を強調したいときに使えます。仕事の場面でも、「今日やるのと、明日やるのとでは雲泥の差だ」などと、自分や同僚、部下を鼓舞するような表現としても使えます。
「入社年は同じだが、AさんとBさんは能力に雲泥の差が出てしまった」
「雲泥の差」は、この例文のように人についても使うことができます。しかし、先述したとおり、人について使うときは、優劣をあらわす表現になりがちなので、注意が必要です。また、「生まれた環境が違うので、私と田中さんでは学歴に雲泥の差がある」といった文章では、皮肉ととらえられてしまうことも…。
以上を踏まえても、人について「雲泥の差」を使う場合は、聞いた相手がどう思うかを一旦考えてから言葉にすることが大切です。
雲泥の差の由来
「雲泥の差」の語源は、中国の詩人・白居易(はくきょい)の詩『傷友』からきているといわれています。その詩のなかで、白居易が昔からの友人と長安の街ですれ違う場面があります。
そのときの場面を詠ったのが、「今日長安の道、対面雲泥を隔つ」というもの。
ここで白居易は、「昔は貧しいながらもお互い助け合ったものだが、今日長安ですれ違った彼は振り向きもせず、雲泥の隔たりを感じる」と言っています。昔と今を比べ、自分と友人の間にできてしまった大きな隔たりを、雲と泥にたとえて表現しているのです。
この一説で使われた「雲泥」が、今日でも使われている「雲泥の差」の語源といわれています。
類語にはどのようなものがある?
「雲泥の差」と同じように、ふたつの物事の差や隔たりを意味する言葉はいくつかあります。しかし、若干ニュアンスの違いがあります。例文とともに類似点と違いについても解説していきます。