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LIFESTYLE 雑学

2018.04.24

フリーになって局アナ時代が恵まれていたことを知りました|小島慶子の「サンクス志向」

多方面で活躍する小島慶子さんも、組織の中で働く人の変化を感じているそう。ご自身の体験から、職場で悩めるアラフォーキャリアたちにとって参考になる話、いたわりと救いの声までいただきました!

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自分の中にある、不必要な自分への厳しさを捨てることから始めてみて

今は、企業にもチーム力が大切な時代だと言われています。たとえばイノベーティブな業界では〝いかに楽しくいいチームをつくれるかが、革新的で創造的なものを生み出すことにつながっている〞とされています。タテ社会のもと、だれかひとりがリーダーシップを発揮してグイグイ引っ張っていく時代はもう終わり。さまざまな違いものみこむ懐深いチームが、社会を変えるような新しい何かを生みだす、そんな時代になっているんですね。

円滑な人間関係を支えるのは、感謝の言葉

私自身はフリーランスなので、自分にとってのチームは家族です。4人で新しい環境を選んで4年。夫と息子はオーストラリア、私は仕事のために日本と往復。体力的にしんどいときもありますが、家族にチーム感が出て円満になりました。その理由は、異国の地で家族全員未知のお題に挑戦中で、その大変さを互いに理解しているから。どうしたらより楽しく安心できる関係性をつくれるのか。みんなが自然に考えるようになったからだと思います。 たとえば、ふだん大切にしているのが、日常生活の中での〝ありがとう〞という言葉です。息子たちの生活から勉強まで全部みてくれている夫に対して私も息子たちも『パパ、本当にありがとう』と口に出して伝えます。英語が通じない場面では息子たちに助けてもらうので、そこにも自然な感謝の気持ちがあります。

でも、自分だけが忙しくて大変だと思ってしまうと、感謝するのは難しいですよね。私もハードな生活に一時はグチだらけでしたが、黙って支えてくれていた夫の優しさに気づいて初めて、わが身をふり返って反省しました。 ドマーニ世代は組織の中で責任が増してくる世代です。これまで下支えをしてきたぶん、解放された気分になる人もいるでしょう。発言力のあるポジションを任されるので、ばかにされてなるものかと思う不安からか、虚勢を張って攻撃的になったり、肩に力が入ってしまう人もいるのだと思います。 一方で、人に対して菩薩的な優しさをもてる人は、20代、30代のときに挫折をしてむくわれない思いを経験したり、失敗を助けてもらった体験が糧となっているのかもしれません。

不得意を手放すことで、得意なスキルが磨かれる

これから年を重ねるごとに少しずつ、体力や能力における自分の限界が見えてきます。現実と向き合ってあらがうのは、しんどいことです。ならば苦手なことはそれが得意な人にゆだねて、手放してみるのはどうでしょうか。自分がもつスキルでその人を助けられればお互いさまで、感謝をしあえるようになりますよね。 Domani世代の働く女性は、みなさんすでに十分頑張っているのに、自分に自信がもてないという声も耳にします。きちんと生きようとするとどうしても、人にも自分にも厳しくなってしまうもの。不必要に自分に厳しいだれかが、心の中に住んでいませんか。 自分に優しくなるには、異なる環境に身をおくのもひとつの手です。私はフリーランスになって初めて局アナ時代がいかに恵まれていたかを知りました。今はオーストラリアでマイノリティとして暮らす脆弱な立場を経験し、日本で仕事ができている自分の環境をありがたく思っています。外国に住まなくても旅をしたり、異業種の方と交流してみるなど、ちょっと違う観点から自分がいる場所を眺めてみると、気持ちがすっと楽になると思います。

タレント、エッセイスト

小島慶子さん

こじま・けいこ/1972年生まれ。東京大学大学院 情報学環客員研究員。専業主夫の夫、ふたりの息子とオーストラリア・パースに在住。一家の大黒柱として日豪を往復する日々。著書に『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)。

Domani2018年3月号『「サクセス志向」→「サンクス志向」でうまくいく』より
本誌撮影時スタッフ:撮影/フカヤマノリユキ イラスト/齋藤よしこ 構成/谷畑まゆみ

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