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冷蔵庫が占める消費電力の割合は?
家庭の中で、冷蔵庫の電力は大きな部分を占めています。その割合を見ていきましょう。
照明器具やテレビを抜いて第1位
家庭内での電気使用量は、冷蔵庫が最も大きくなっています。経済産業省資源エネルギー庁の調査によると、2009年時点での世帯あたりの電気使用量およそ4618kWhのうち、冷蔵庫は14.2%を占めます。続いて、照明器具が13.4%、テレビが8.9%、エアコンが7.4%です。
冷蔵庫は中身の食品を腐らせることがないよう、24時間365日休まず稼働しています。他のさまざまな電化製品を抜いて、家庭内の電気使用量の7分の1を占めるほど大量の電力を消費しているのです。
消費電力から電気代を計算する方法
冷蔵庫の消費電力が高いことが分っても、実際にどのくらいの電気代がかかっているのかが分からなければ、実感しにくいという人は多いことでしょう。消費電力から電気代を計算する方法を解説します。
「年間」の消費電力を把握する
冷蔵庫の電気代を計算するためには、1年間あたりの消費電力を把握する必要があります。1年間あたりの消費電力は「年間消費電力」と呼ばれ、電化製品が一定の条件下で1年間に消費すると推測される電力量を表します。冷蔵庫のドアを開け閉めした回数、周囲の温度など、日本工業規格(JIS規格)によって厳しく規定された特定の使用条件をもとに測定します。
自宅にある冷蔵庫の年間消費電力は、説明書や扉に貼ってあるシールに書かれているほか、型番が分かればメーカーの公式サイトでも確認できるでしょう。ただし、「家庭用品品質表示法」が2016年3月に改正されているため、前後で測定方法が異なります。表示値を比較する際には注意しましょう。
参考:電気冷蔵庫(7)│家電製品・機器情報│家電機器│製品分野別情報│JEMA 一般社団法人日本電機工業会
電気代の計算方法
冷蔵庫の年間電気代は「年間消費電力(kWh)×1kWhあたりの電気料金単価(円)」で計算できます。取扱説明書などで確認した年間消費電力の値に、電気料金単価を掛け算します。月間電気代は、そこから12で割って計算しましょう。電気料金単価は、電力の使用量に応じて高くなるなど、会社やプランによって異なるため、電力会社の請求書やWebサイトで調べる必要があります。
ただし、上記の計算方法によって算出された冷蔵庫の電気代は、あくまで目安です。自宅で比較的新しい機種の冷蔵庫を使用している場合などは、省エネ性能が高く、年間消費電力量が少なくなる傾向があります。
環境省の「しんきゅうさん」を使えば、製品ごとの電気代の目安を簡単に計算できます。
電気代が高いのは大型より小型
電気代は、冷蔵庫のサイズが小さい方が高くなる傾向があります。一見、冷蔵庫の容量が大きい方が消費電力が大きく、電気代が高くなりそうに思ってしまうものです。しかし、近年の大型冷蔵庫は、高い性能を持つ人工知能やセンサー、断熱材の使用により、無駄な電力を防ぐことで電気代が安く抑えられています。一方で、小型の冷蔵庫は比較的価格が安い分、高性能な機能や設備を搭載されていないことがほとんどです。
経済産業省が発表している2019年の年間消費電力量を比較すると、2人暮らし向けの201~250lの冷蔵庫が年間327kWhなのに対し、5人以上の大家族向け501l以上の大型冷蔵庫は302kWhとなっています。
使いやすいサイズを選ぶことが大切ですが、年間費用を考えるのであれば、初期費用はかかっても大きなサイズを購入した方が電気代を抑えることができます。
参考:省エネ性能カタログ2020年版|経済産業省資源エネルギー庁
冷蔵庫の電気代を節約するコツ
冷蔵庫は家庭内での消費電力の多くを占めていることが分かりました。電気代を節約したいのであれば、冷蔵庫の使用方法を意識することが大切です。
すぐに実践できる、冷蔵庫の電気代を節約するためのコツを紹介します。
食品の詰め込みすぎはNG
冷蔵庫の中を整理し、食品は詰め込みすぎないようにしましょう。安くなっているときに買いだめした食品や、常温で保存できる野菜、開封前の缶詰・びん詰・調味料など、ついつい冷蔵庫に多くのものを入れてしまうことがあります。
食品を詰め込みすぎた状態だと冷却口が塞がれ、冷蔵庫内の冷気の流れが滞ってしまい冷却がスムーズにできません。中のものを探すために開いている時間が増えれば、さらに電気代がかさんでしまいます。
冷蔵庫は、目安としては容量の7割ほどにとどめておき、冷蔵庫を開けた際に奥の壁が見えるくらいにしておきましょう。たったこれだけでも、年間1200円近くの節約ができるという試算も出ています。
開閉の時間や回数を減らす
冷蔵庫の開閉を減らすことでも、電気代を抑えることが可能です。お腹が空いたときや食事のメニューを決める際など、何気なく開けているという人は多いでしょう。長い時間開けた状態にしたり、何度も開け閉めを繰り返したりすることで、庫内の冷気が冷蔵庫の外へ流れ出てしまいます。すると、再度冷却するために余計な電力を使用してしまい、電気代を消費してしまうのです。
冷蔵庫の内容量を7割程度にしておけば、取りたいものを探すために長い時間あけることもなければ、物の把握もしやすくなります。朝食時に使用するバターやジャムを一つのトレイに入れておくなど、ワンアクションで物を取り出せるように工夫することも、開閉回数や時間の短縮につながります。
設定温度を見直す
冷蔵庫の設定温度を見直すことも重要です。庫内温度を意識する人の中には、夏と冬で温度設定を変えている人もいることでしょう。しかし、近年は家庭での冷暖房使用も増えていることから、年間を通して「中」の設定でも問題ないと考えられています。
経済産業省が発表した調査では、室内が22℃の状態で、冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」にしたとき、年間で61.72kWh、電気料金単価を27円と考えた場合、約1670円も節約ができると計算されています。
冷蔵庫の温度って時期によって変えた方がいい?温度の確認方法と冷えない時の対処法 | Domani
壁から少し離して設置する
冷蔵庫は、壁から少し離した位置に設置するだけでも電気代の節約ができます。賃貸物件などで置き場所が限られていると、ついスペースに対してぴったりなサイズの冷蔵庫を置いてしまったり、部屋を広く使いたいからとギリギリまで壁に寄せてしまったりすることがあるでしょう。
しかし、冷蔵庫は余分な熱を横や裏から放出しています。壁や家具をギリギリまで寄せてしまうと、放熱がうまくできず、かえって冷却効率が悪くなり電力を消費してしまいます。
冷蔵庫と壁は最低でも1cm以上、天井は5cm以上の間隔が空けられるよう、考慮して冷蔵庫を購入・設置しましょう。
古いモデルの冷蔵庫なら買い替えを検討
古いモデルの冷蔵庫を使用している場合には、消費電力が多くなってしまっている可能性があります。冷蔵庫の買い替えを検討すべき基準を把握しておきましょう。
寿命は一般的に10年前後
冷蔵庫の寿命は、一般的に10年前後といわれています。内閣府が行う消費動向調査の令和3年3月の調査結果によると、冷蔵庫の平均使用年数は2人以上の世帯で12.9年、うち55.1%が故障が原因で買い替えを行っています。
さらに、家電メーカーが補修用の部品を保有している期間は9年間であることからも、10年前後で故障による買い替えが多いことが分かります。
参考:消費動向調査 令和3(2021)年3月実施分|内閣府
参考:すぐわかる!家電エコ用語ナビ – 補修用性能部品の保有期間 -|JEMA
年々進化している省エネ機能
冷蔵庫の省エネ性能は、年々向上しています。例えば、インバーター制御機能により、これまで一定の回転数に保たれていたモーターを、温度に応じて変化させることが可能になりました。
冷蔵庫のフレーム部分においても、真空断熱材を挟むことで外からの熱気をシャットアウトし、冷却を保ちます。これにより、401~450lの冷蔵庫において、2007年時点では年間消費電力は540~640kWhだったものが、2017年では290~320kWhとおよそ半分に抑えられているのです。
「故障していないし、もったいないから」と古い冷蔵庫を長く使い続けるよりも、省エネ性能のよい冷蔵庫に買い替えた方が、ランニングコストが抑えられることが分かります。