「身も蓋もない」の読み方と意味
「身も蓋もない」とは、表現が露骨すぎて含蓄がないことを意味します。即座の拒否や弁解の隙がない厳しい意見に、返す言葉がない場合に使える表現です。
「身も蓋もない」の意味や表記を知らないと、漢字の誤表記やふさわしくないシーンでの誤用を招く恐れがあります。「身も蓋もない」の読み方と意味を確認して、正しい使い方ができるようにしましょう。
「身も蓋もない」の読み方
「身も蓋もない」は、使用頻度も高めの表現で読み方の難易度は高くありません。「身も蓋もない」の読みは「みもふたもない」です。
読みに関しては問題がなくても、「身も蓋もない」は誤表記をされやすい表現でもあります。「身」を「実」と表記するのは誤りです。
耳から聞いて何気なく流してしまっていると、漢字の表記まで気が回らないこともあるでしょう。この機会に正しい読みと表記を覚えておくと安心です。
「身も蓋もない」とは「表現が露骨すぎること」
「身も蓋もない」の意味は、あまりにも直接的な表現であるため、含みや風情が全くないことです。デジタル大辞泉掲載の解説も参考にしてみてください。
【身(み)も蓋(ふた)もな・い】
言葉が露骨すぎて、潤いも含みもない。にべもない。「そう言っては―・い」
「身も蓋もない」は、露骨な表現や発言によって、それ以上会話を継続する意味がなくなってしまうような場合に使われます。例を挙げると、美術館で絵を観賞しているときに「絵の良し悪しなんて全然わからないし、そもそも絵に何の意味があるの?」などと大声で言っている人がいたら「身も蓋もないな……」と感じるでしょう。
「身も蓋もない」の語源は「ものを収納する容器」
「身も蓋もない」は、物を入れる容器が由来になったとされています。入れ物に蓋が付いているタイプの容器をイメージしてみてください。
入れ物部分と蓋の2つのパーツがあってはじめて、ものを収納できます。もし蓋がないと、中に入っているものは丸見えで、さらけ出されてしまいます。
蓋がない容器の様子から、率直で露骨な表現すぎて風情が感じられないという意味で使われるようになりました。
「身も蓋もない」の類義語・対義語
ストレートすぎる表現を表す「身も蓋もない」には、似たシーンで使える言葉がいくつかあります。しかし、「身も蓋もない」とその類似表現は、全く同じように使っていいわけではありません。
特に「元も子もない」と「身も蓋もない」の使い分けは難しいといえるでしょう。
「身も蓋もない」の類義語と対義語、使い分けのコツをご紹介します。
類義語は「にべもない」「元も子もない」
「身も蓋もない」の類義語としては、次の4つの表現が挙げられます。
・「にべもない」:愛想がない、取り付く島もないさま
・「元も子もない」:全てを失ってなにもないこと
・「味も素っ気もない」:無味乾燥で赴きや潤いに欠けるさま
・「歯に衣着せぬ」:思ったとおりにずけずけと言うこと
「身も蓋もない」の意味が、露骨な表現で風情が感じられず、会話の継続する意味が失われることであるため、類義語にはそれぞれ共通する部分があります。「にべもない」は漢字で表記される場合もあり、正しい表記は下記を参考にしてみてください。
【鰾膠(にべ)も無(な)い】
愛想がない。取り付く島もない。「―・い態度」「―・く断られる」
間違えやすい「元も子もない」との違いに注意
「元も子もない」とは、何もかも失ってしまった状態を指します。元々は、「元も子もない」は元金も利息もないことを意味していました。
投資をして大金を掴もうとしたが上手くいかず、元金さえも失ってしまったさまを表します。元の意味から転じて、失敗によって全てを失う、それまでの努力が無駄になるという場合に使われます。
露骨な表現によって会話の意味が失われる「身も蓋もない」に対して、「元も子もない」は失敗により持っていたものや投資したものが失われるという違いがあるのです。