「烏合の衆」とは寄せ集まった雑多な群衆のこと
【烏合の衆:うごうのしゅう】《「後漢書」耿弇伝から》規律も統一もなく寄り集まった群衆。
「烏合の衆」とは、「うごうのしゅう」と読み、規制や統一なく寄せ集められた、まとまりがなく役に立たない集団のことを指す言葉です。「烏」は「鳥」という漢字と間違えやすいため注意しましょう。
「烏」はガヤガヤと騒ぎ、個々で好きなように行動するカラスのことです。統制がきかないため、数多く集まったところで強い軍勢や集団にはなりません。そこから転じて、数が多いだけの役にたたない集団をあらわすようになりました。
ただし、役にたたないのは統制がとれないためであり、無能であることを主な原因としているわけではないことがポイントです。
由来は中国の「後漢書」
「烏合の衆」は、中国の古典である「後漢書」に由来があるとされています。
後漢書には、漢皇帝の子孫と偽って挙兵した軍勢に対して、後漢の時代の功臣の1人であった耿弇(こうえん)が、「烏合の衆にすぎない軍など、枯れ木をへし折るように簡単に蹴散らすことができる」と言ったとする逸話があります。
嘘をついて挙兵した寄せ集めの集団をカラスの群れにたとえ、そんな群衆は取るに足らないものであるから簡単に打ち負かすことができると言っています。「烏合之衆」と表記されていたことから、漢王朝の時代にはすでに使われていた言葉であることがわかります。
【例文付き】「烏合の衆」の正しい使い方
「烏合の衆」は、思想や目的に統一感がない寄せ集めの集団のことを指す言葉です。自嘲気味に使うこともあれば、他所の集団を揶揄するように使用することもあります。既にお伝えしたとおり、役にたたないのは統制がとれず組織として機能していないことが原因であり、個々の能力を否定しているわけではないことに留意しましょう。
【例文】
・相手チームの方が人数がかなり多いが、しょせんは【烏合の衆】なので負けることはないだろう
・被災地にボランティアに行ったが、統率がとれておらず【烏合の衆】と化していた
・あの政党はそれぞれの理念や思想がバラバラであり、【烏合の衆】でしかない
「烏合の衆」の類語・対義語
「烏合の衆」の類語や対義語はいくつかあります。類語には「有象無象」「寄り合い所帯」など、対義語には「一致団結」「少数精鋭」などが挙げられます。
「有象無象」「寄り合い所帯」はいずれも雑多な集団という意味があります。また「一致団結」と「少数精鋭」は、組織やチームがまとまっていたり優れていたりする状態をあらわします。ここからは、「烏合の衆」の類語と対義語について詳しく解説します。
類語は「有象無象」「寄り合い所帯」など
類語の一つである有象無象は「うぞうむぞう」と読み、数は多いが雑多でつまらない集団のことを指す言葉です。この世のすべてのもの、という概念的な意味で使われることもあります。烏合の衆の類語としては1つ目の意味で使われる場合があてはまります。
難しい漢字を使っているわけではありませんが、「うしょうむしょう」や「ゆうぞうむぞう」など、誤った読み方をしないように気をつけましょう。
【有象無象:うぞうむぞう】1取るに足りない種々雑多な人々。多く集まったつまらない連中。「有象無象の輩」2「有相無相」に同じ。〔類語〕小物、雑魚、雑輩、俗人、俗物、俗輩、凡俗、馬の骨、みいはあ
「寄り合い所帯」は、主義や思想などが異なるものたちが一つの組織を形成することをあらわす言葉です。「烏合の衆」と似たような意味で使われます。「よりあいじょたい」と読みます。
【寄り合い所帯:よりあいじょたい】1 いくつかの所帯が1か所に集まって暮らすこと。2主義・系統・所属などを異にしたものたちが、一つの組織を形成すること。「寄り合い所帯の内閣」