対義語は「一致団結」「少数精鋭」など
「烏合の衆」の対義語である「一致団結」は「いっちだんけつ」と読み、共通の目的をもってまとまった集団であることをあらわします。「烏合の衆」は統制がとれていない群衆という意味であり、思想や目的がバラバラというニュアンスも含むため、対義語の一つといえるでしょう。
【一致団結:いっちだんけつ】多くの人が一つの目的のためにまとまること。「一致団結して困難に立ち向かう」
「少数精鋭」は「しょうすうせいえい」と読む、少ない数でも能力に優れた集団を意味する言葉です。「数が多いだけで役にたたない集団」である烏合の衆とは対照的です。
【少数精鋭:しょうすうせいえい】人数は少ないが、すぐれた者だけをそろえること。「少数精鋭主義」
組織が「烏合の衆」とならないための4つのポイント
仕事やスポーツにおいて、目的や思想がバラバラな人間を寄せ集めて数を揃えただけでは「烏合の衆」と化す可能性が高いでしょう。烏合の衆とは役にたたない集団のことであり、存在意義さえ問われてしまうかもしれません。「烏合の衆」とならないように、下記の4つのポイントをおさえましょう。
1.信頼関係の構築
2.戦略やビジョンの共有
3.役割分担をの明確化
4.個々人の強みを活用
1.信頼関係の構築
組織が「烏合の衆」とならないためにもっとも重要なのは、メンバー間で信頼関係が構築されていることです。単に「集まると楽しい」「気が合う」といった信頼関係ではありません。
たとえば仕事において相手に依頼した際に、「指定期限までに」「こちらが要求する形式に沿って」「期待する水準で」「作成の意図を正確に汲んで」対応してくれると、双方が信じあえるレベルの関係性があることがポイントです。
2.戦略やビジョンの共有
戦略やビジョンの共有が徹底されている、つまり意思統一が図られていれば「烏合の衆」となる可能性はかなり低いでしょう。
戦略とは、その組織が達成すべき目標について時期や水準まで明確に数値化されたもの、ビジョンとは組織が成し遂げたいことや成し遂げた状態を指します。
戦略やビジョンを全員が理解し、これらに基づいて実行することができている集団は、「烏合の衆」とは対極にあるといえます。
3.役割分担の明確化
「烏合の衆」の言葉の由来は、カラスが個々で勝手な行動をとることにありました。組織が「烏合の衆」とならないためには、それぞれがバラバラな動きをしないように、役割分担を明確化する必要があります。
役割分担を明確にすることで、組織内でやるべきことを並行処理することができ、効率性が上がります。さらに、役割分担によって個人が任されたことに集中することができるため、生産性の向上も期待できます。
4.個々人の強みを活用
組織内のメンバーのそれぞれの強みを活用することも重要です。人によって、得意なこと、不得意なことは異なります。不得意なことや短所に目を向けるのではなく、得意な分野で力を発揮できるような人材配置をすることで、組織がもつ力を最大限発揮することができるでしょう。
掲げたビジョンを達成することができる組織は、決して「烏合の衆」と揶揄されることはないでしょう。
「烏合の衆」となっていないか自分を省みよう
「烏合の衆」とは、統一感に欠ける組織をネガティブに表現する言葉です。無能なものの集まりというよりも、統制がとれていないために役に立たないというニュアンスで使用します。
仕事にしてもスポーツにしても、組織にはいろいろな人が集まります。個々は優秀でも、それぞれが身勝手に動いてしまうと、「烏合の衆」と化してしまう可能性があります。自分の立ち位置や役割を確認しながら、「烏合の衆」の一員となっていないか、省みる機会があってもよいかもしれません。
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(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)