「焼け石に水」の意味と由来
「焼け石に水」は役に立たないことを意味することわざです。焼けている石に水をかけたときの様子が由来とされています。
「焼け石に水」には語感が似ている言葉がいくつかあり、例えば「立て板に水」や「寝耳に水」などが挙げられます。同じ水という漢字を使っていても意味は全く異なるため、混同しないように注意しましょう。
ここでは、「焼け石に水」の由来や混同しやすい言葉について解説します。
努力や援助が不足していて役に立たないこと
【焼け石に水:やけいしにみず】
《焼け石に水を少しばかりかけてもすぐ蒸発してしまうことから》努力や援助が少なくて、何の役にも立たないことのたとえ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「焼け石に水」は「やけいしにみず」と読み、努力や援助が不足していて役に立たないことを意味します。例えば何かが起こった際に、わずかなサポートや努力では事態が好転しないことがあるでしょう。
そういった場面において「焼け石に水」を使うと、簡単には好転しない段階まで事態が深刻化しており、少しの働きかけでは変化が生じないことを伝えられます。
由来は焼け石に水をかけたときの反応
「焼け石に水」の由来は、焼け石(=火で熱して焼いた熱い石)に水をかけたときの反応です。高温になっている焼け石に少量の水をかけても、かすかな音がするだけで簡単に熱は下がりません。
焼け石にかけた少量の水がすぐに蒸発して石が冷えないという様子から、わずかな努力や頑張り、サポートが役に立たないという意味として使われるようになりました。この場合、焼け石は物事や起こったこと、少量の水は努力やサポートなどを指します。
「焼け石に水」と混同しやすい言葉
「焼け石に水」のように「水」や「石」を含む言葉として以下3つが挙げられます。
1.立て板に水
2.寝耳に水
3.石の上にも三年
「立て板に水」の意味は、話がスムーズで話し上手であることです。立てた板に水を流したとき、途中で止まらずに流れる様子に由来しています。
「寝耳に水」は、想定外の出来事が起こって驚くことを意味する言葉です。就寝中に洪水を知らせる水の音が聞こえて驚く様子や、寝ていて無防備なときに耳に水が入って驚くことなど、いくつかの由来があります。
「石の上にも三年」は、辛いことでも辛抱して耐えれば成功することを表します。古代インドの修行者が石の上で3年間休まずに座禅を組んだ様子などが由来です。
【例文付き】焼け石に水の使い方2つ
「焼け石に水」の使い方は主に2つあります。日常会話はもちろん、ビジネスシーンでも使えるため、正しい使い方を理解しておきましょう。
1.大きな効果が見込めないとき
2.努力や援助の効果がなかったとき
このように、今後起こり得ることに対して使うこともあれば、過ぎたことに対して使うケースもあります。ここでは、それぞれの使い方を例文とともに解説します。
1.大きな効果が見込めないとき
「焼け石に水」は、すでに事態が悪化していて少しの働きかけでは大きな効果が見込めないときに使える言葉です。効果がないと決めつけるのではなく、効果が出る望みが低いというニュアンスです。
基本的にはネガティブな意味で使いますが、「焼け石に水と知りながら」のように「何もしないよりはましである」という意味で使うこともあります。
具体的な使い方は以下の例文を参考にしてください。
・借金返済のために今から必死にお金を貯めても、【焼け石に水】だ。
・散々ミスをしておいて二度としないと誓っても、【焼け石に水】である。
・試験まであと2日しかないのに、今さら慌てて勉強を始めても【焼け石に水】だ。