「泣きっ面に蜂」とは好ましくない状況が重なること
「泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)」とは、悲しいことなどがあって泣いているときに蜂が刺すことから、好ましくない状況が重なって起こることを指す言葉です。元々は「泣き面に蜂」でしたが、促音便が起こり、「泣きっ面に蜂」と強調して表現するケースが少なくありません。
なお、不運や不幸が終わってすぐに次の不幸が起こるときにも、「泣きっ面に蜂」と表現することがあります。好ましくない状況が次から次へとやってくるときは、同時に起こっているかどうかに関わらず「泣きっ面に蜂」の状況といえるでしょう。
【泣き面に蜂】なきつらにはち
泣いている顔をさらに蜂が刺す。不運や不幸が重なることのたとえ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
江戸いろはかるたに由来する言葉
「泣きっ面に蜂」とは、江戸時代に作られたいろはかるたの「な」に記載された文言に由来する言葉です。江戸時代にはさまざまなかるたが作られましたが、その中でも江戸で広まった「江戸いろはかるた」に記載されていました。
なお、大阪で広まったかるたの「な」には、「泣きっ面に蜂」ではなく「習わぬ経は読めぬ」が選ばれています。素養がないことに関しては簡単にはできないことを意味することわざです。
対義語は「鴨が葱を背負って来る」
対義語として「鴨が葱を背負って来る(かもがねぎをしょってくる)」を挙げられるでしょう。これは不運ではなく幸運が重なる様子を示す表現で、鴨がやって来るという幸運だけでなく、鴨鍋などの鴨料理に必要な葱まで鴨が自分で持ってきたというラッキーな状態を表現しています。
なお「鴨が葱を背負って来る」は、「お人好し」や「好都合」の意味で用いることもあるため注意しましょう。騙されているとは知らずに感謝する人や、自分にとってラッキーなことが重なったときにも「鴨が葱を背負って来る」と表現することがあります。
「泣きっ面に蜂」の類語や似たことわざ、四字熟語を例文でご紹介
「泣きっ面に蜂」と似たような意味の言葉は少なくありません。その中でもよく用いることわざや四字熟語としては次のものがあります。
・弱り目に祟り目
・一難去ってまた一難
・踏んだり蹴ったり
・傷口に塩を塗る
・雪上加霜
それぞれの詳しい意味と用い方を、例文を使ってご紹介します。
【類語1】弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)
「弱り目に祟り目」とは、身体や心が弱っているときに祟りまで起こるという意味で、不幸や不運が重なることを表現する言葉です。
・あごにニキビができたと思ったら、鼻を蚊に刺されて大きく腫れた。まさに【弱り目に祟り目】だ。
・初めての海外旅行で油断をし、パスポートと財布を盗まれてしまった。落ち込んでホテルに戻ろうとしたときに、水たまりに脚を突っ込んで靴の中までびしょびしょに。【弱り目に祟り目】とはこのことだ。
なお、弱り目の「目」とは、顔についている目のことではありません。動詞について特定の状態が続いていることを示す接尾語です。そのため、弱り目とは「弱っている状態が続いていること」と解釈できます。
【類語2】一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)
「一難去ってまた一難」とは、困難な状況をようやく乗り越えたと思ったら、また別の困難な状況が起こったことを示す言葉です。次のように使うことができるでしょう。
・部員の喫煙問題でしばらく部活動が中止になっていたが、ようやく再開されると思ったら体罰の問題が持ち上がった。【一難去ってまた一難】だ。
・やっと風邪が治って登校できると思ったら、脚の骨を折ってしまい、【一難去ってまた一難】だ。
なお「泣きっ面に蜂」は不幸が重なることも表現しますが、「一難去ってまた一難」は不幸が連続することを示す言葉です。せっかく不幸な状態から抜け出したと思ったのに……と、少しうんざりした気持ちを表現するときにも用います。