「山茶花」ってどんな花?
皆さんは「山茶花」のことをご存知ですか? 冬の時期に庭で見かける「椿」にそっくりな花という印象が強いかもしれませんね。「山茶花」は日本の固有種で、古くから茶花や庭木として親しまれてきました。
今回はそんな「山茶花」の開花時期や特徴、花言葉、そしてそっくりな「椿」との見分け方のポイントを紹介します。この機会に「山茶花」について、詳しく知ってみては?
特徴や開花時期
「山茶花」は、「さざんか」と読みます。ツバキ科の常緑小高木で、日本の固有種です。野生種は、10月から12月にかけて花が咲きます。主に四国、九州、沖縄などの西日本に分布しています。花の少ない時期に開花するため、古くから庭の木や生垣、盆栽として利用されていたそうです。
木材は硬いことから、建築や器具、彫刻など細工物に使われます。種子からとれる油は、食用油や髪につける油などに用いられます。童謡の「焚き火」では「さざんか、さざんか咲いた道〜」と歌われていますね。冬の季語とされ、歌人正岡子規は「山茶花を雀のこぼす日和かな」という句を残しています。
「山茶花」や椿にとって大敵の害虫、チャドクガは、幼虫が葉を食べてしまいます。毛が肌に触れると強いかゆみを伴う発疹が現れるため注意しましょう。幼虫の主な発生時期は5月から9月頃です。卵のうちに葉ごと処分するのが効果的です。
「山茶花」という名前は、中国での椿の呼び名「さんさか」から変化したものとされています。中国では「さざんか」のことを「茶梅」と書きます。
さざん‐か〔‐クワ〕【▽山▽茶花】
《「さんさか」の音変化》ツバキ科の常緑小高木。九州・四国の山地に自生。葉は楕円形で両端がとがる。晩秋のころ白い花をつけ、散るときは花びらがばらばらに落ちる。種子から油をとり、材で器物を作る。園芸・観賞用としても栽培され、赤花・八重咲きなどの品種がある。《季 冬》「―のここを書斎と定めたり/子規」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
種類
「山茶花」には多くの園芸品種があり、花の色は赤、白、ピンク、赤と白のぼかし模様などがあります。華やかな八重咲きもあります。園芸品種は大きく分けて3つあり、サザンカ系園芸品種は10月から12月が開花時期。カンツバキ系園芸品種は11月から3月、ハルサザンカ系園芸品種は12月から4月です。種類を選べば、春あたりまで花を楽しむことができますね。
・桜月夜(さくらづくよ)
サザンカ系園芸品種。ピンク色の半八重の花が特徴。
・七福神(しちふくじん)
サザンカ系園芸品種。濃い桃色の半八重。花期は10月から11月。
・獅子頭(ししがしら)
カンツバキ系園芸品種の多くの交配親になった品種。濃い桃色の八重咲きの花が特徴。
・富士の峰(ふじのみね)
カンツバキ系の園芸品種。千重咲き。白花品種では古くから利用されてきました。花期は11月から1月頃。
・鎌倉絞り(かまくらしぼり)
ハルサザンカ系園芸品種。赤地に白い斑の入った花が咲きます。
「山茶花」の花言葉とは?
「山茶花」全般の花言葉は「ひたむきさ」「困難に打ち勝つ」です。これは、冬の寒さに負けずに花を咲かせることに由来するといわれています。それでは、花の色別の花言葉もみていきましょう。
謙譲、あなたが最も美しい
こちらは赤い「山茶花」の花言葉。真っ赤な「山茶花」は華やかではありますが、見た目がよく似た椿の花よりどこか控えめな印象があります。その姿から「謙譲」という花言葉が生まれたのかもしれません。