家庭の神棚に「榊(さかき)」を飾りたいけれど、どうすればいいのかわからない… そんな悩みはありませんか?「榊」は神聖な木として古くから親しまれていますが、その飾り方や由来は意外と知られていないもの。
この記事では、榊の特徴から飾り方、さらにはお手入れのコツまで、初心者でもわかりやすく解説します。日本の習わしを知って、自宅に榊を飾る時の参考にしてみてはいかがでしょうか?
「榊」の意味や由来とは?
神社に祀られたり、家庭の神棚に供えられる「榊」。日本では古来より、神様が宿る神聖な木として神事に用いられてきました。本記事では「榊」の特徴や由来、神棚への飾り方や樒との見分け方などを解説します。
意味や特徴
「榊」は、ツバキ科の常緑小高木です。山や林の中に自生し、樹高は約5mほど。日本では四国や九州で多くみられ、国外では中国、台湾などに生育しています。楕円形の葉が枝から交互に生えており、その表面はつやつやと光沢感があり、葉先が尖っているのが特徴です。
夏頃には白い花をつけ、秋になると黒い実がなります。「榊」は、神社で“玉串”として神事に用いられる他、木材は緻密で堅いことから、傘の柄や箸、建材として利用されます。類似した柃(ひさかき)と区別するため、「ホンサカキ」とも呼ばれます。
名前の由来
「榊」の名前の由来には諸説あります。例えば、神事に使われていたことから「神様と人間の境界にある木」→「境の木」からサカキと呼ぶ説や、葉が年中濃い緑色をしていることから「栄える木」としてサカキと呼ばれるようになったという説もあります。
本来は、神前に供える植物のことをサカキと呼んでいたため、「榊」が自生していない地域では別の植物のことをサカキと呼んでいたようです。地域によっては、柃や椿、楠を榊として神様にお供えしていたそう。ちなみに、「榊」という文字は、神道の神事に用いられたことから付けられたものとされています。
神棚に「榊」を供えるのはなぜ?
「榊」といえば、家庭の神棚に供えられる木、といったイメージがありますね。なぜ「榊」は、神聖な木として選ばれたのでしょうか? その理由をみていきましょう。
お供えする理由
日本では古来、先端が尖った植物には神様が宿ると考えられてきました。葉の先端が尖っていて日本に広く分布していた「榊」も、いつしか神様が降り立つ依代(よりしろ)として、神社や神棚の近くにお供えすることになったのです。神聖な植物である「榊」を介して、神様と交流できると昔の人々は考えたのかもしれませんね。
「榊」の飾り方
自宅の神棚に榊を飾る場合に、知っておきたいことをまとめました。
毎月1日と15日に新しいものに交換
家庭の神棚に「榊」を飾るときには、神棚の左右に一対になるようお祀りします。塩や水、酒など他の御供物の外側に置き、葉の表側が見えるようにすることがポイントです。「榊」は、毎月1日と15日に新しいものに交換するのが一般的とされています。これは神道で縁起のいい日とされているためです。
しかし、その前に枯れてしまった場合は、早めに替えて常に新鮮な状態を保ちましょう。
水は毎日入れ替えるのが理想
「榊」は水をよく吸うため、榊立ての水がなくならないように注意しましょう。できれば、毎日新しい水に入れ替えるのが理想ですが、難しい場合は2〜3日に一度は交換するよう心がけてください。
造花やプリザーブドでも
どうしても生の「榊」をお供えするのが難しい場合は、造花やプリザーブド榊でも構いません。プリザーブド榊とは、生の「榊」を薬品に侵け込んで、長持ちするように加工されたもののこと。造花よりも本物に近い雰囲気があり、水が必要ないためお手入れも簡単です。ご家庭の生活スタイルに合ったものを選んでみましょう。
榊を部屋に飾ってもいい?
「榊」は神棚だけでなく、部屋に飾っても問題ありません。インテリアとして取り入れることで、部屋に神聖な雰囲気をもたらし、心を落ち着ける効果があります。飾る際は、清潔な場所に置き、定期的に水を交換してください。神棚がない場合でも、部屋の一角に「榊」を飾ることで、清らかな空間を作り出すことができるでしょう。
榊と柃との違いとは?
「榊」と見た目がそっくりな木に「柃」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか? 「榊(本榊)」は、関東より西側の比較的温暖な地域で生育します。そのため、東北や北海道ではよく似た“柃”が代用されています。柃はツバキ科の常緑小高木で、樹高は約3mほど。3月から4月頃になると淡黄色の花が咲きます。
「榊」と柃の一番の違いは葉にあります。「榊」の葉の縁はなめらかなのに対して、柃の葉の縁には“鋸歯(きょし)”と呼ばれるギザギザがみられます。両者の区別に迷ったときには、葉の縁をみてみましょう。
ちなみにその名の由来は、「榊ではないから非榊(ヒサカキ)」やひとまわり小さいことから姫榊と呼ばれていたのが、なまってヒサカキになったという説があります。