神棚や仏壇に「榊」を供えるのはなぜ?
「榊」といえば、家庭の神棚に供えられる木、といったイメージがありますね。なぜ「榊」は神聖な木として選ばれたのでしょうか? その理由をみていきましょう。
お供えする理由
日本では古来より、先端が尖った植物には神様が宿ると考えられてきました。葉の先端が尖っていて日本に広く分布していた「榊」も、いつしか神様が降り立つ依代(よりしろ)として、神社や神棚の近くにお供えすることになったのです。神聖な植物である「榊」を介して神様と交流できると昔の人々は考えたのかもしれませんね。
「榊」の飾り方
家庭の神棚に「榊」を飾るときには、神棚の左右に一対になるようお祀りします。塩や水、酒など他の御供物の外側に置き、葉の表側が見えるようにすることがポイントです。「榊」は、毎月1日と15日に新しいものに交換するのが一般的とされています。これは神道で縁起のいい日とされているためです。
しかし、その前に枯れてしまった場合は、早めに変えて常に新鮮な状態を保ちましょう。「榊」はとても水をよく吸うので、榊立ての水がなくなってしまわないように気をつけましょう。できれば、毎日新しい水に入れ替えると長持ちします。
どうしても生の「榊」をお供えするのが難しい場合は、造花やプリザーブド榊でも構いません。プリザーブド榊とは、生の「榊」を薬品に漬け込んで、長持ちするように作られたもののこと。造花よりも本物に近い雰囲気があり、水が必要ないためお手入れも簡単です。ご家庭の生活スタイルに合ったものを選んでみましょう。
「樒」との違いとは?
「榊」とよく似た植物に「樒(しきみ)」があります。「樒」も古来から、神聖で邪気を払う樹木とされてきました。
「樒」は、シキミ科シキミ属の常緑高木。樹高は2mから15mです。日本や中国、東南アジア、中央アメリカなどに分布します。葉は左右に互生し、縁がなめらかな部分は「榊」と似ていますね。
3月から4月になると淡い黄色や白色の花を咲かせます。「樒」には全体に毒があり、特に実を食べると死亡するケースもあるそう。木材は数珠などに用いられ、「シキビ」「コウノキ」「仏前草」とも呼ばれます。
「榊」と「樒」の見た目は似ていますが、異なる点がいくつかみられます。見分け方としては、葉を見たときに平らであれば「榊」、波打った形状をしていれば「樒」です。また、葉の生え方も「樒」の方がより密集しています。
また、「榊」は無臭ですが、「樒」には全体に香りがあり、その葉は線香やお焼香の際に使う抹香の原料となっています。「榊」が神前に備えられるのに対して、「樒」はもっぱら仏前や墓前に供えられることも大きな違いといえるでしょう。
最後に
古来から神様の宿る木として神聖な存在だった「榊」。生命力を感じさせる濃い緑色の葉や凛とした枝ぶりは、神棚に飾るのにふさわしいですね。神棚にお供えされた「榊」は、左側には先祖の神様、右側には氏神様が宿っていると考えられているのだとか。日々の感謝の気持ちを持って手を合わせたくなりますね。
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