「敬遠」の意味とは?
普段からよく野球の観戦をする人は、「敬遠」の意味についてよく理解しているかもしれません。野球における「敬遠」をはじめ、一般的な意味も一つひとつ紹介します。まずは、「敬遠」という言葉について辞書を見てみましょう。
1:表面では敬う態度で、実際にはかかわりを持たないようにすること。
2:かかわりを持つことを嫌ってその物事を避けること。
3:野球で、投手が打者との勝負を避け、故意に四球を与えること。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「敬遠」は、普段の生活で使う意味(1つ目と2つ目の意味)と、野球用語(3つ目の意味)の2つに分けられます。まず、普段の生活で使う意味について見ていきましょう。一般的に「敬遠」は、「表面では相手を敬うふりをしつつも、距離を置くこと」を意味します。しかし現在では、「敬う」という部分を抜いて、「嫌いなために、あるものごとを避ける」という意味でも使われるようになりました。
野球用語における「敬遠」は、「故意的にフォアボール(四球)を与えること」です。ストライクではないボールが4回あると、打者が一塁に行くことができ、これをフォアボールといいます。一見不利に思えるフォアボールをなぜ故意的に行うのかというと、主には強打者との戦いを避けるため。万一ホームランを打たれるよりは、一塁に行かせておくほうがいいという場合に「敬遠」をすることが多いようです。
「敬遠」の語源は定かではありませんが、有力なものは、中国の「論語」と「礼記(らいき)」を由来とする説。「神を敬い、遠ざかる」といった意味の文が書かれています。敬う対象だからこそ距離を置くという意味だったのが、現在では、「敬うふりをして遠ざかる」といったネガティブな意味合いで使われるようになりました。
野球の「申告敬遠」とは?
「申告敬遠」とは、「敬遠」を事前に申告することで、投手がボールを投げることなく打者を一塁に行かせることができるもの。いつから導入されたのかというと、アメリカのメジャーリーグで導入した2017年の翌年、2018年に、日本のプロ野球でも取り入れられました。「申告敬遠」が導入された背景としては、試合時間の短縮や、投手の体力温存などがあります。
ちなみに、「申告敬遠」はスコアに書く際には、「DIB」と表記します。これは、「declared intentional base on balls」という英語の略で、「declared」が宣言、「intentional base on balls」が故意四球という意味です。
使い方を例文でチェック!
前述したように、「敬遠」は「敬った態度を持ちつつも避ける」「嫌って避ける」「故意的にフォアボールを投げる」の3つの意味がある言葉です。ここでは、それぞれの使い方を例文で紹介していきます。
「口うるさい課長は、部下から敬遠されている」
部下の仕事に細かく口出ししてきたり、文句を言ってきたりする上司もいることでしょう。そんな上司に対し、部下は「触らぬ神に祟りなし」と思って、かかわりを必要最低限にしている場合も。「敬遠」はもともと、「敬う態度をとりつつも、距離を置く」という意味なので、この例文のように、自分より目上の人に対して使うと自然といえます。
「細かな計算が必要な事務作業は面倒なので、敬遠しがちだ」
こちらは、「嫌だと思うことを避ける」という意味で「敬遠」を用いた例文です。この場合は、対象は人ではなく、あらゆるものごとに対して使えます。