(取材データ)直子さん、61歳。24歳で同僚の銀行員と結婚するも、ハイスペに見えた相手はダメンズ。浮気と借金に耐えて50歳で離婚後、55歳で再婚。
20代で選んだのは3高のエリート銀行員
20代で結婚し、40歳で離婚した私は常々、「結婚相手って10年ごとぐらいに変えるのが実は最適なんじゃないか」と思っておりました。だって20代のときの価値観と40代のそれでは変わっていて当たり前だし、夫婦で同じ方向に成長できて同じゴールを死ぬまで共有できればそれが理想ではありますが、やっぱり10年くらいするとお互いにズレが出てくるものだと思うんです。
そんな中、20代でいわゆる「3高(高身長、高学歴、高収入)」の男性と結婚して50歳で離婚、55歳で元夫の真逆を行く、「出世も高収入も望めないけど優しくて家事ができる男性」と再婚した直子さんのお話は、「やっぱり!」と思わせてくれました。
直子さんが高校時代に付き合っていたAさんは、顔が藤原達也さん似のイケメンバンドマン。だけど不器用で勉強は苦手で、進学した大学は直子さんより偏差値が低い大学。「この人は将来性がないな」と判断した直子さんは彼と別れ、その後就職した銀行で、同僚の「3高」エリート銀行員Bさんと29歳で結婚。
直子さん:正直、好きという感情よりも「結婚相手として理想的」という、打算的な気持ちが大きかったかもしれません。
しかしBさんは、この連載でもよくある「一見、理想的な結婚相手に見える男性のダメンズトラップ」だったのです。そのダメンズ要素とは、女とお金。
直子さん:夫は銀行を辞めて生保に転職して、ますます収入が上がりました。その後その会社で早期退職して起業したんですが、しょっちゅう資金繰りに失敗しては、私の口座から100万円や200万円というお金をちょろまかすんです。退職金の2千万円で住宅ローンを返そうと言ったのですが、それを聞かずに毎晩豪遊するようになりました。
元々浪費家だったBさんは大金を手にした上、クラブに行けば社長と呼ばれてチヤホヤされるため、完全に調子に乗ってしまったのです。
しかし商売は上手くいかず、いつしか直子さんの父親を保証人に借金を重ね、従業員のお給料も払えないために直子さんのお給料や娘たちのお年玉まで使い込む始末。
直子さん:5千円にも困る生活になり、次第に借金取りが自宅まで取り立てに来るようになりました。最後は私のお給料だけで暮らしてましたね。とにかく現金がないから、お金が必要になったときはクレジットカードで新幹線の回数券を買いに行っては、それを金券ショップで売って現金に替えていました。
Bさんは経営のコンサルタントとして起業したのですが、見た目が良くて口も上手いため人は寄ってくるけれど、実力が伴わないためにお金にならない。さらに失敗しても楽天的な性格で見通しが甘いため、「何とかなるさ」と必死にならず、そんな状況に陥ってしまったのです。
さかい:浮気はどうやって発覚したんですか?
直子さん:当時は家にパソコンが1台しかなくて夫婦で共有していたんですが、夫のメールに浮気相手からのメールがたくさん届くんですよ。夫が他の女性に「今日はお財布を拾ってくれてありがとう。今度お食事でも行きませんか」と誘っているメールもありました。とにかくマメに、いろんな女性を口説いていたようです。
Bさんは高身長でハンサムなため、女性にモテるんですね。娘の幼稚園の同級生ママにから「あなたとご主人が別れたら私が再婚したいわ」と言われたこともあったそう。
最初のうちは夫の浮気で大騒ぎして義両親に連絡したりしていた直子さんですが、回を重ねるごとにどんどん夫への愛情が冷めていき、もうどうでもいいという境地に至っていました。
さかい:そんなにモテる旦那さんなら、交際中から浮気があったんじゃないですか?
直子さん:それが、典型的な社会人デビューってやつで。地方出身で地元の女性が3人しかいない法学部に通っていて、しゃべり方も六法全書みたいに堅くて面白みがなかったので、入社当時は全くモテなかったんですよ。高校時代の写真もイケてない髪型でした(笑)。
学生時代にモテなかった男性が、結婚後にお金や地位を得てからモテ出す…調子に乗って歯止めが効かなくなる、いちばん厄介なパターンかもしれません。
さて、なぜここまでされても直子さんが50歳まで離婚しなかったか。
それはひとえに、直子さんが現在61歳で、当時は今よりも離婚が一般的ではなかった時代だったから。浮気されてもお金を使い込まれても、離婚という選択肢がまず思い浮かばなかったそうです。
どうですか皆さん。我々現代の40代は、嫌なら離婚するという選択肢が当たり前のようにありますが、これってとても恵まれたことなのですよ。
そんなわけで、人生の先輩である直子さんのリアルな50代の熟年離婚&再婚事情は、次回に続きます!
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。