「墓穴を掘る」とは自分で不利な状況にすること
「墓穴を掘る」とは、自分が不利な状況を自分で生み出すことを指す言葉です。黙っていれば良いものの、余計なことを話してしまったときなどに、「墓穴を掘る」「墓穴を掘った」と表現します。
辞書での定義を見てみましょう。
【墓穴を掘る】ぼけつをほる
身を滅ぼす原因を自分から作ることのたとえ。「策を弄して―・る」
この句の場合、「墓穴」を「はかあな」とは読まない。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
読み方は「ぼけつをほる」
「墓穴を掘る」と書いて「ぼけつをほる」と読みます。「ぼけつ」ではなく「はかあな」と読むときは、比喩的な意味ではなく本当に墓穴を掘ることを指すので注意しましょう。
文章で記載されているときは、前後の意味から「ぼけつ」なのか「はかあな」なのか判断することが可能です。本当の墓穴ではないときは「ぼけつ」と読み、自分で不利な状況を生み出していることを指します。
陰陽師の覚悟に由来する
「墓穴を掘る」とは、陰陽師の覚悟を示した言葉が由来との説があります。陰陽師は他人を呪って殺す力を持っているとされていますが、反対に考えれば、他の陰陽師から呪われたときは自分が死ぬことになるでしょう。
呪うときは、自分も呪い殺されるかもしれないという覚悟を持たなくてはなりません。そのため、呪う前に自分の墓穴も用意しておくという意味で、「墓穴を掘る」との表現が生まれたとされています。
なお、「人を呪わば穴二つ」も同じ由来の言葉です。人を呪うときは、自分も呪われて死ぬかもしれないという覚悟が欠かせません。呪い殺す相手の墓穴と、呪い返され死ぬかもしれない自分の墓穴の2つを用意してから、危害を加える行為に及んだのです。
使い方を例文でご紹介
「墓穴を掘る」の例文を紹介します。
・彼女のような口が軽い人に、サプライズパーティーの計画をばらしてしまうなんて、【墓穴を掘った】も同然だ。
・取り調べで調子に乗ってついしゃべりすぎ、【墓穴を掘る】ことになってしまった。
「墓穴を掘る」人の特徴
墓穴を掘りやすい人には、次のような特徴がある人もいます。
・話を広げるのが下手
・沈黙に耐えるのが苦手
例えば、どんな関係であっても会話の突破口として使える「今日はいい天気ですね」というフレーズで接点の少ない人に話しかけるとしましょう。しかし、“ここから話をどう広げられるか”には、意外とセンスや人生経験が必要なもの。話を広げるのが下手な人は、言葉に詰まった末に思わず言わなくてもよいことを口走り、墓穴を掘ってしまうかもしれません。
また、沈黙に耐えることが苦手な人も、墓穴を掘りやすい傾向にあります。「何か話して盛り上げなくては!」と使命感に燃えた結果、言わなくてもよいことを話し「墓穴を掘る」ことも多いでしょう。よく「墓穴を掘る」と自覚している人は、余計なことまで話さないように注意するのが大切です。
「墓穴を掘る」の類語を例文でご紹介
「墓穴を掘る」と似た意味の言葉、表現は少なくありません。その中でもよく使う3つの言葉を通して、使い方をご紹介します。
いずれも「墓穴を掘る」と言い換えることができます。「墓穴を掘る」という表現があまりふさわしくないと感じるときには、ぜひこれらの表現を使ってみましょう。
自業自得(じごうじとく)
「自業自得」とは、自分でしたことの報いを自分で受けるという意味で、仏教由来の言葉です。仏教における業(ごう)とは行為を意味し、自分の行為によって苦しみや楽しさなどの結果が生み出されることを表現しています。いくつか例文を見ていきましょう。
・彼女は、周囲がどんなに親切に接しても一度もお礼を言わず、当たり前と言わんばかりの態度を取ってきた。今回、窮地に追い込まれたわけだが、そんな彼女に対して誰も手を差し伸べようともしない。彼女は「どうして助けてくれないの?」と怒っているが、まさに【自業自得】だ。
・あまりにも夫に対する態度がひどいと思っていたら、離婚を言い渡されたようだ。【自業自得】だよ。修復は不可能だろう。
・彼は不幸なのではない。単に【自業自得】だ。
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