「自業自得」とは行いの報いを自分が受けること
「自業自得」とは、「じごうじとく」と読みます。自分の行為の結果を自分が受けることを表す言葉です。一般的には悪いことをするとその結果を受け取るという意味で使われますが、善行の結果を受け取るという意味も含まれています。もともとは、インドの古い言葉が由来です。
【自業自得】
仏語。自分の行為の報いを自分自身が受けること。一般に、悪業の報いを受けることをいう。自業自縛。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
ここでは、「自業自得」という言葉の由来や、正しい意味についてご紹介します。
言葉の由来
「自業自得」は、インドの古い言葉である「カルマ」が語源となっています。カルマは行為を表し、中国語で「業」と訳されてから「自業」という言葉が生まれました。「自業」とは自分の行為という意味です。
また、「自得」とは、自分が結果を得ることを表します。そのため、「自業自得」は「自分の行為の結果を自分が得る」という意味合いとなります。
良い意味も含まれている
「自業自得」の「自業」は単に自分の行為ということを表し、善も悪も含まれています。悪いことだけでなく、良いことをした場合でもその結果を受け取るということです。
「自業自得」というと、悪いことをしたから罰を受けても仕方がないというニュアンスがありますが、言葉の意味はそれだけではありません。良いことに用いるのも、正しい使い方です。
ただし、現代では「自業自得」という言葉に強い否定のニュアンスがあり、良い理由で使うと違和感を与える可能性は高いでしょう。
「自業自得」な人と言われたら?
「自業自得」には良い意味も含まれていますが、「自業自得な人」と言われたらあまりいい気分にはならないでしょう。自分が悪いことをしたからその報いを受けるのは当然だというニュアンスが強く、実際にそのような意味で使われることがほとんどです。
「自業自得」と言われたら、「悪いことが起きたのは、自分が招いたこと」と非難されていると考えてよいかもしれません。言われた方は傷つくかもしれませんが、まずは言葉を真摯に受け止め、自分の行いを振り返ってみることです。
悪い結果は自分の行動が間違っていたからだと反省し、よい方向に向かうにはどうしたらよいか考えます。「自業自得」には良い行いも自分に返ってくるという意味もあることを忘れず、良い意味の「自業自得」になるように努めましょう。
「自業自得」の例文
「自業自得」の意味を正しく理解するために、いくつか例文を見ていきましょう。
・試験の結果が悪かったのは単純に勉強しなかったからで、【自業自得】である
・遅刻したのは徹夜でゲームをしていたせいで、【自業自得】としか言いようがない
・不採用になったのは準備不足だったせいで、【自業自得】と諦めている
また、次のような使い方も本来なら間違いではありません。
・入学式の日に晴れたのは、本当に【自業自得】だ
しかし、ネガティブなニュアンスが定着しているため、これでは相手に違和感を与える可能性が高いでしょう。「入学式の日に晴れたのは日頃の行いが良かったからだ」など、表現を変えて使うことをおすすめします。
「自業自得」の類義語
「自業自得」には、いくつかの類義語があります。同じ四字熟語の「因果応報」や「自縄自縛」などです。どちらも自分の行いが自分に返ってくることを表しており、「因果応報」は「自業自得」と同じく良い意味も含まれる言葉です。ただし、使われるのはほとんどネガティブな場面といえるでしょう。
ほかに、「身から出た錆」ということわざも類義語のひとつです。
「自業自得」の類義語をご紹介します。
因果応報(いんがおうほう)
「因果応報」とは、行為の善悪に応じて報いがあるという意味です。もともと仏教用語であり、「因」は原因を表します。「果」は果報という意味で、「因果」は原因によって生じた結果や報いのことです。
「因果応報」は「自業自得」と同じく、良い行い、悪い行いの両方を意味します。ただし、現在では悪い意味で用いられることが多いでしょう。