「一喜一憂」の意味
「一喜一憂」の読みは「いっきいちゆう」で、喜んだり心配したりと心が揺れ動くことを意味します。
【一喜一憂】いっきいちゆう
[名](スル)状況の変化に応じて、喜んだり心配したりすること。「試合の途中経過の報に―する」
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
一進一退の攻防を繰り返しているスポーツの試合を観戦している時の心情も、「一喜一憂」を使って表現できます。
表現自体には親しみがあっても、「一喜一憂」という言葉を実際に使いこなせている自信がない方もいらっしゃるでしょう。「一喜一憂」の意味を「一喜」と「一憂」に分けて詳しく解説します。
「一喜」の意味
「一喜」は、1つのことに喜ぶ姿を表します。この熟語の中で「一」は1つの出来事を意味しています。「一喜一憂」という表現における「一喜」は、1つ1つの小さな出来事も逃さずキャッチして喜びを感じるというニュアンスです。
「一喜一憂」は、感情の起伏が激しい状態を表し、マイナスな意味も含むことが多いですが、一喜のみであればネガティブな印象は与えないでしょう。
「一憂」の意味
「一憂」の「一」も、一喜と同様に1つの出来事を表します。「憂(うれ)い」は訪れるかもしれない悪い出来事を心配することを指します。
つまり、「一憂」は1つの出来事が上手く成功するかどうか気になって仕方がない様子を意味する言葉です。心配性でどうしても未来に起こることを考えて不安になってしまう様子を指して使われます。
「一喜一憂」の3つの類似表現
「一喜一憂」を言い換える際に活用できる表現をご紹介します。
「喜怒哀楽」や「一進一退」のような、普段から耳にする言葉もあれば、「悲喜交交」という聞きなれない言葉も登場しています。それぞれの表現を詳しく確認しましょう。類似表現を学べば、表現力の幅を広げられますよ。
喜怒哀楽(きどあいらく)
「喜怒哀楽」は人間の代表的な感情である喜びと怒り、哀しみ、楽しみを意味する言葉です。感情の移り変わりを表す表現として用いられます。
ただし、「一喜一憂」のように些細なことに喜んだり心配したりといった、感情の起伏が大きいことを否定的に捉えているわけではありません。
「一喜一憂」と「喜怒哀楽」、両者の微妙な違いを把握しておきましょう。
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悲喜交交(ひきこもごも)
「悲喜交交」は、悲しみと喜びを代わる代わる味わう様子を描写した言葉です。
「悲喜交交」を「悲喜交交の様子を見せる人々」のように、喜ぶ人と悲しむ人が入り乱れているという意味で使うのは間違いです。
誤用が多い表現でもあるため、「悲喜交交」が一人の人間の喜びと悲しみの感情を表している点を忘れないようにしましょう。
一進一退(いっしんいったい)
「一進一退」は、進んだり戻ったりする様子を表し、接戦で競い合っているスポーツの試合中継などでも用いられる表現です。また、良くなったり悪くなったりという意味もあるため、病状を表す際に「一進一退」を耳にした方もいらっしゃるでしょう。
感情が揺れ動くことを意味する「一喜一憂」とは違い、「一進一退」はものごとの前後移動や状況の進退を指して使われます。
「一喜一憂」を用いて形容できる3つのシーン
「一喜一憂」を自然に使いこなせるようになるために、使用頻度が高い3つのシーンを事前に知っておきましょう。「一喜一憂」と相性がいい3つのシーンは次のとおりです。
・恋愛
・ビジネス
・スポーツ観戦
恋愛では激しく揺れ動く心、ビジネスでは株価や契約状況などに翻弄される心境、スポーツ観戦ではハラハラしながら応援する心を「一喜一憂」を使って表現してみましょう。
恋愛
恋愛における「一喜一憂」は、相手の些細な行動に心が大きく揺れ動いてしまう様子を表します。円満な恋愛というよりは、片思いの相手との駆け引きや、わがままな相手に振り回されるシーンで使われることが多いです。
イメージとしては、相手の何気ないメールの返信に喜んだり落ち込んだりする、恋愛にどっぷり浸かって落ち着きのない様子が「一喜一憂」です。