千葉雄大「絢斗くんの演技が魅力的であればあるほどプレッシャーもありました」
演劇、役者の世界を描いた異色の漫画として話題を呼んだ野田彩子の漫画を実写化した『WOWOWオリジナルドラマ ダブル』。天性の魅力と秘めた才能を次第に開花させていく宝田多家良役の千葉雄大さん、そして自身も「世界一の俳優になりたい」という夢を抱きながら、多家良の才能に惚れ込み、演劇のいろはを教え、生活も支える鴨島友仁役の永山絢斗さんにお話をうかがいました。
画像をすべて見る――本作のオファーを受けた時の率直な感想はいかがでしたか?
千葉雄大さん(以下、千葉。敬称略):僕は正直ちょっと尻込みしていたのですが、感覚的に飛び込んだというのが一番近いですね。準備段階では“なんで飛び込んでしまったんだろう”とも思いました。でも、本当にやって良かったなって思えたので、最初の衝動的な気持ちは間違いではなかったのだなと思いました。
永山絢斗さん(以下、永山。敬称略):以前から同年代とダブル主演という形の作品をやってみたいと思っていたところに声をかけてもらいました。同年代の中でもなかなか「千葉雄大」という役者とは、色が違うのでおそらく共演することはないだろうと思っていたので、そこが大きいですかね。千葉くんの名前を見て、どんな人なんだろう?どんな作品になるんだろうな?という好奇心がすごくあって(作品に)飛び込みました。
――千葉さんと永山さんは同い年で誕生日も二日違いということですが、共演してのお互いの印象を教えてください
永山:誕生日が二日違いでこういう設定でもあるし、制作側の狙いだったのかなとプロデューサーさんに質問したいなと思って、まだ聞けていません。もしそうだった場合は、どっちが先にキャスティングされたのかな?と考えて、やっぱり千葉くんが先だったのかな?とちょっと切ない気持ちになりました(笑)。
千葉:いやいや(笑)
永山:というのはもちろん冗談ですけど(笑)。年末に顔合わせをして本読みから始まったのですが、原作の世界観がすごく仕上がっていて大好きな作品のひとつになりました。それと同時にこれを演じるのはどういうことかなと考えて、少し不安になりながら参加したんです。(千葉さんとは)作品について話していく中でお互い思うことが似ていたこともあってか、普段ならある程度距離を取るよう意識するのですが、今回はそうならなかった。すごく話しやすくて、最後までよきパートナーとして力強い味方でいてくれたので、千葉くんには感謝しています。(千葉さんに向かって)このぐらいでいいですか?
千葉:(顔を見合わせて笑顔で)そうですね(笑)。永山くんはすごく真面目だし、役への向き合い方がすごく誠実で、見習わなきゃいけないなと思ったのですが…(と言いながら永山さんに目を配り、照れからか思わず笑ってしまう千葉さん)
永山:(笑)
千葉:僕は“とりあえずやってみよう”みたいな感じでした。
永山:そんなことないでしょう!
千葉:でも、一緒に戦ってくれてすごく頼もしかったですし、現場では若干の末っ子キャラというか、お茶目でかわいい部分が出るのでズルいなと思いました。
永山:これを千葉雄大に言わせるとは、俺もなかなか…(笑)
千葉:いや、そうよ?『Domani』に太字で載るかもしれない!(笑)
――おふたりは同い年の33歳ということで、お互い共感したことはありますか?
永山:どんな話をしたっけ?
千葉:『おジャ魔女どれみ』の歌ぐらいだよね!
永山:あ~、そうだよね!『デジモンアドベンチャー』と。日曜朝のアニメの流れね。
千葉:そう日曜日の。なんでその話になったのかは覚えていないぐらいだけどね。あとは、結婚の話もちょっとしましたね。同世代の方々が結婚していって…。
永山:そう、周りがどんどん結婚していっている中で、千葉雄大は結婚が出来ないんじゃないかみたいな話をしました(笑)。
千葉:そうです。自分でもできないと思ってるんで、まぁいいです!(永山さんに向かって)あなたは良い家庭を築きそうですよね。
永山:そりゃあもちろん!
千葉:うるせ~(笑)
永山:そう望んでいるので、出来るといいですけどね。
千葉:願っています(笑)
永山:芸歴も少し長くなってきて、自分のクセみたいなものが自分の中ではっきりとわかってくる中で、そういうものを常に日々、作品ごとに壊していきたいというコンプレックスみたいなものはあって、やっぱり刺激的な日々を送れたらいいなと思いますね。そういう年齢になってきたなと。(千葉さんに向かって)そう思いますよね?
千葉:(深く頷きながら)思います、思います。
――自身の役をどのように捉えて演じられましたか?
千葉:う~ん、僕はあまり深く考えていなかったんですけど…(笑)。でも、スタッフの方に「千葉くんは人たらしだよね」と言ってもらって…多家良に通じる部分なので“周りが手を差し伸べたくなるような存在”として描けたらいいなと思っていました。
永山:そうでしたよ。僕はあまり人の面倒見が良い方ではないので、友仁が多家良と一緒にいておせっかいを焼いている姿は、自分の中では友仁にあまり共感しなかった部分。でも、(作品が)こういう話なので撮影している時もそうじゃない休みの日でも、「千葉くん元気かな?」っていうのは常に思っていました。
千葉:(笑)
永山:撮影が進んでいく中で、だんだん本当の気持ちになってきて、やっぱり毎日一緒なわけじゃないので、たまに千葉くんと撮影現場で一緒になると本当にうれしい気持ちで、恋をしているのかと思いました(笑)。
千葉:本当にそう思ってる?あんまりそういう感情は見受けられなかったけど…(笑)。でも、撮影が終わった後も連絡をくれて、この間は生配信の舞台をやったのですが、マジで終わったタイミングで一番に絢斗くんから、お疲れさまの連絡がきてなんか…きゅんとしました(笑)
永山:配信は観てないんだけどね!
千葉:そこはいいじゃない、飲み込んだんだからさ(笑)
永山:そうだね(笑)。でも、“あぁ、今日千葉くん舞台の本番の日だな。ドキドキしてるんだろうなぁ”って午前中からずっと考えていて。わざわざアラームまではかけていなかったけれど、終わったかなと思って連絡しました。
千葉:ありがたいです。
永山:終わってからも何回か会いましたが、普段ならなかなかこういう仲にはならないので、この作品を通して仲良くなれて感謝しています。最近は、同年代で遊ぶこともなかったですから。
――永山さんから見た「千葉さん演じる多家良の印象」と千葉さんから見た「永山さん演じる友仁の印象」を教えてください
千葉:あまり人のことを言うのはアレですけど…僕は絢斗くんの友仁さんは、世話を焼いてくれる優しいところだけじゃなくて、2人の関係性だけじゃない友仁として立ち返った時の葛藤の場面が、すごく素敵だなと思いました。劇中では多家良が仕事が増えた、という話ではあるけど、別に逆も起きうるわけで。絢斗くんの友仁が魅力的であればあるほど多家良をやる時はプレッシャーもありましたね。
永山:いやいや、こちらのセリフでございますけども。千葉くんは、見た目も(魅力的で)ズルいですが、多家良像としていてくれたので自分が演じる上で視覚的に入りこみやすかったです。僕と違って自分の素を通しすぎるとやりにくい役だったと思いますが、多家良という役をしっかり演じながらも、感情が乗るところでは千葉くんの本当の気持ちも乗っけているなと思って、自分にない技量をすごく感じました。『俺だったらこうする』なんてことは考えないですが、やっぱり自分が思っていた多家良像を超えてくるというか。千葉くんなりの多家良がすごく好きで、友仁を通して僕自身がすごく助けられた感覚でしたね。
――お互いに嫉妬するところはありますか?
千葉:僕はあります。硬派なイメージがあるというか、僕みたいにへらへらしてないじゃないですか。それなのに甘えん坊ってほどではないけど、かわいい一面を急に出すんですよ。
永山:出てる?
千葉:出てるよ!みんながもれなく篭絡しているから。俺は普段ヘラヘラしているから、ちょっと真顔になると怒ってるのかな?って思われてしまう。千葉雄大って損してるなあ…(笑)
永山:それだけ集中してるってことで、みんなもピリッとなるのかな。
千葉:させたかったわけじゃないんだけどね(笑)。
永山:でも、いいバランスだったってことですかね。
千葉:確かに撮影でふたりでいるといいバランスだったよね。
永山:そう。だから俺も千葉くんがいないと仕事っぽくなって、一点集中になってしまう時が多かった気がする。