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2024.09.11

小中学生の知の祭典「算数オリンピック」とは? 目的や種目、問題について紹介

小中学生の知の祭典「算数オリンピック」とは一体どんなものなのでしょうか? 今回はこのコンテストの目的や種目、問題例などを詳しくご紹介していきます!

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数え切れない可能性を秘めた小さな頭脳たちが一堂に会する、舞台。それが、「算数オリンピック」です。算数というシンプルで美しい言語を通じて、子どもたちは未知の世界へ挑戦し、未来への扉を開こうとしています。この記事ではそんな「算数オリンピック」について紹介します。

算数オリンピックとは?

「算数オリンピック」は、子どものための日本発祥の算数コンテストのこと。国境や言語、人種にとらわれることなく世界の子どもたちが、算数という万国共通の言語で思考力や独創性を競い合う大会です。算数オリンピックとは別に、「数学オリンピック」という大会もありますが、これとは全く別の大会になります。

男の子と女の子

(c) Adobe Stock

算数を世界の共通語に!

「算数オリンピック」は、世界中の子どもたちが「算数」を共通言語として楽しむことを目指した大会です。世界的な数学者であり、フィールズ賞を受賞した広中平祐先生の提唱により、1992年に初めて開催されました。

算数を通じて、新しい才能を発見し育成することが目的であり、大会名誉会長の広中先生と、数学者であり大道芸人としても知られるピーター・フランクル大会会長のもと、子どもたちに算数の楽しさを伝えています。

世界中の子どもたちが競い合い、そして語り合うことが目的!

「算数オリンピック」は、子どもたちが自らの算数力を競い合い、さらに語り合う場を提供することが目的です。学習進度や受験対策とは無関係で、純粋に算数の思考力と独創性を試される問題が出題されます。1992年に第一回大会が開催されて以来、毎年継続して行われていますよ(2024年9月現在)。

参加者には、算数を通じて他者と切磋琢磨しながら、共に成長することが期待されています。

世界に広がる「算数オリンピック」

「算数オリンピック」は、アジアを中心に、中国、イラン、ベトナムなど海外の国々でも開催されています。特に2006年の「日中記念大会」では、中国から150名の参加者が集まり、中国中央放送(CCTV)にも大きく取り上げられました。今後も、アジアや欧米の関連団体との連携を強化し、世界規模での開催を目指しています。

日本から生まれたこの大会が、やがて国際的な数学の祭典としてさらに成長していくことが期待されますね。

気になる「大会種目」は?

「算数オリンピック」は、学年別に5つの種目に分かれています。小学6年生までを対象とする「算数オリンピック」と小学5年生以下を対象とする「ジュニア算数オリンピック」に分かれています。 また、2009年からは、小学1年生から3年生までを対象とする「キッズBEE大会」も創設。中学生向けの「広中杯」「ジュニア広中杯」もあります。

種目名(対象学年)、出題問題の目安は次のとおり。

・算数オリンピック(小学6年生以下対象)、小学5年生修了を目安。

・ジュニア算数オリンピック(小学5年生以下対象)、小学4年生修了を目安。

・キッズBEE大会(小学1~3年生対象)、四則演算および長方形の面積は履修済み扱い。

・広中杯(中学3年生以下対象)、中学3年生1学期修了を目安としているものの、平面幾何(相似)に関しては、この限りではありません。

ジュニア広中杯(中学1・2年生対象)、中学1年生修了を目安としているものの、平面幾何(相似)に関しては、この限りではありません。

参加できる種目が学年によって異なるので、参加資格に要注意。また、問題は文部科学省の指導要領に準拠する出題範囲とは限りません。平面幾何などはまさにそうですね。小学5年生以下は「算数オリンピック大会」か「ジュニア算数オリンピック大会」のどちらか1つを選択します。

また、中学1・2年生は「広中杯」か「ジュニア広中杯」のどちらか1つの大会に参加できます。中学3年生が参加できるのは「広中杯」のみ。

小学校の低学年から、自分のペースに合わせて種目を選んで参加すると、ワクワクしながら算数の勉強に取り組めるかもしれません。目標を持って楽しくクリアするごとに、励みになりそうですね!

算数オリンピックファイナルの過去問題

過去には以下のような問題が出題されました。

図の7個の〇の中に、20以下の異なる素数を1個ずつ入れて、どの直線上の3個の素数の和もまたすべて素数になるようにします。そのような入れ方を1つ答えなさい。ただし、50までの素数は以下の通りです。(算数オリンピック過去問ページより引用)
2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47

算数オリンピック過去問

画像出典:算数オリンピック委員会

回答は算数オリンピック過去問ページで確認を。

なぜ、算数を学ぶ必要があるの?

「算数オリンピック」のホームページには、過去の大会の様子がわかる特設サイトが! 特に専門家によるYouTube動画は必見です。東京学芸大学教授の西村圭一さんの『「数活」で挑戦 ボーランドマス』や、明星大学客員教授の細水保宏さんのお話『明日の思考力「数活」とは?』などのお話は、興味深い内容。問題の解法は複数あること、またグループで取り組むことで多様な考え方に触れる機会ができるなど、算数を学ぶ上で大事なことを知ることができました。

「数活」など、初めて聞く用語かもしれませんが、専門家が子どもにもわかるように、算数の面白さ、世の中で算数がわかると役に立つことなどを、具体的な事例をもとに解説。親子で見ると、算数を学ぶモチベーションが上がりそうですよ! 

電球

(c) Adobe Stock

算数オリンピックはどんな風に開催される?

例えば、2023年の「算数オリンピック」は6月に全国の約200会場で地区ごとの予選となる「トライアル(地方)大会」があり、その後、7月に予選通過者による「ファイナル(決勝)大会」が東京・大阪・福岡で開催されました。

「ファイナル(決勝)大会」でメダリストとなったメンバーは、8月にオリンピック記念青少年総合センターで表彰式が行われましたよ。各種目の参加費は、いずれもトライアル地方大会への参加費1人5,250円(税込)。ファイナル決勝大会、表彰式の参加費は無料(ただし交通費は自己負担、表彰式のみ委員会が一部補助)です。

「算数オリンピック」に関するお問い合わせは、下記へ。

●算数オリンピック委員会
東京都新宿区西新宿7-6-5グローリア初穂生沼ビル804
電話:03-3371-2655 (代)
電話受付:月~金曜日 10:00~17:00
FAX:03-5332-9041

数学

(c) Adobe Stock

算数オリンピックへの参加方法

「算数オリンピックの参加方法」について、簡単に説明します。なお、下記の情報は2023年の「大会種目と概要」ページを参考にしたものです。年によって内容等が変わることが考えられますので、必ず参加するときの大会要項の確認をお願いいたします

1.申し込み期間
申し込みは、4月1日から5月20日頃までの間となります(※2023年の情報に基づく)。

2.申し込み方法
「算数オリンピック」の公式ホームページから、スマートフォンやタブレットを使って申し込むことができます。受験票は発行されず、完了メールが受験票の代わりとなります。

3.参加費
参加費は5,250円(税込)で、支払い方法はクレジットカード、銀行振込、または郵便局振替から選べます。

4.参加完了
支払いが確認されると、委員会から参加番号(受験番号)と大会会場などが記載された完了メールが送られてきます。

5.大会会場
トライアル大会の会場は、全国に約200箇所(2023年時点)あり、そこで試験が行われます。
この手順に従って、簡単に「算数オリンピック」に参加することができます。

算数オリンピックの流れ

算数オリンピックの大まかな流れについても、簡単に説明します。こちらの情報も2023年の「大会種目と概要」ページを参考にしたものです。年によって内容等が変わることが考えられますので、必ず参加するときの大会要項の確認をお願いいたします。

1.申し込み
参加希望者は、4月1日から5月20日までの期間(※2023年の情報に基づく)に、「算数オリンピック」の公式ホームページから申し込みます。申し込みが完了すると、受験票代わりとなる完了メールが届きますよ。

2.参加費の支払い
申し込み後、参加費5,250円(税込)を支払います。

3.参加手続き完了
入金が確認されると、委員会から参加番号(受験番号)や大会会場などの詳細が記載された完了メールが送られてきます。これで大会参加の手続きが完了です。

4.トライアル大会
トライアル大会は、全国に約200箇所ある会場(2023年時点)で6月に開催されます。トライアル大会の結果は、6月末までにメールで通知されます。

5.ファイナル決勝大会
トライアル大会で優秀な成績を収めた参加者は、ファイナル決勝大会に進出します(7月半ばごろ)。ファイナル大会の結果は、7月末日までにメールで通知されます。なお、入賞者には表彰式が行われます(8月ごろ)。

6.大会結果の報告
大会終了後の10月に、大会参加者全員に対して、大会全種目の問題と解答解説を掲載した「算数オリンピック結果報告書」が送られます。

最後に

なかなか解けない難しい問題に向き合って解けた時の喜びや、自分で考え抜いて答えを導き出す「成功体験」を積めることが「算数オリンピック」の魅力かもしれません。「考えること」の面白さを体感すれば、自分から進んで問題を解くようになります。これは、学習力にもつながっていきますね。自ら学ぼうとする姿勢は、変化が早く複雑な現代社会においては極めて重要です。

多くの問題を解けば解くほど、子ども自身の思考力や発想が豊かになって、どんどん算数が好きで得意になる好循環が生まれます。算数に苦手意識を持つ子どもも多いですが、「自分は算数が得意だ」と感じられることは、子どもにとって大きな自信にもなりそうですね。

参考:算数オリンピック 

トップ画像・アイキャッチ/(c) Adobe Stock

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