スティーブ・ジョブズとはどういう人?
スティーブ・ジョブズといえば、「iPhone」を生んだ、アップル社(Apple)の創業者であることは、誰もが知る事実でしょう。また、彼の聴衆を魅了するプレゼンテーション能力の高さは、今も伝説となっています。しかし彼の人生は波乱万丈、一直線ではありませんでした。生い立ちから2011年に亡くなるまでの人生を、簡単に振り返ってみましょう。
生い立ち
彼の人生は誕生から波乱に富んでいます。1955年、彼は生まれてすぐに養子に出されています。実の親は未婚の学生同士でした。また交際自体反対されていたため、生まれる前から養子に出すことを決めていたのだそう。実の親は「大学に行かせる」ことを約束させて、養子に出したといいます。
アップルを創業、しかし追い出され…
17年後、スティーブ・ジョブズは約束通り名門リード大学に入学。ところが大学で学ぶことに意味を見出せず、退学しました。その後、1976年、共同経営者スティーブ・ウォズニアックらとともにアップル社を創業。順調に業績を伸ばしましたが、1985年、30歳のとき、自分が雇い入れた経営幹部に代表権を奪われ退職します。
失意のどん底に落とされたスティーブ・ジョブズでしたが、一念発起で起業したNeXT社やピクサー社が大成功。ピクサー社では、1995年に世界初のフルCG映画「トイ・ストーリー」を完成させ、成功を収めています。その後、NeXT社がアップル社を買収することとなり、ジョブズもアップル社に復帰しました。
当時低迷していたアップル社で「iMac」をヒットさせ、2001年には携帯型音楽プレーヤー「iPod」と音楽再生・管理ソフト「iTunes」をベースにした音楽配信ビジネスを成功させます。その後、2007年には「iPhone」を、2010年には「iPad」と、ヒット商品を連発しました。
しかし、順調に見えた生活も、50歳直前で癌が見つかり、余命宣告を受けます。一時回復しましたが、転移して2011年10月5日、帰らぬ人となってしまいました。
スタンフォード大学の卒業式でのスピーチ
スティーブ・ジョブズは、名門スタンフォード大学で卒業生に向けてスピーチを行いました。そのスピーチの内容は心に響くもので、今でも語り継がれています。
スタンフォード大学の卒業生に伝えたかったことはなんだったのでしょうか? このスピーチには3つのテーマがあります。「点と点をつなげる」、「愛と喪失」、「死について」です。それぞれのテーマを通じて伝えたかったことは、「いま」が大切だということ。全ての事柄は、後になってから繋がるもの。あらかじめ将来を予測して行動するものではありません。彼が愛した、マインドフルネスの考え方にもとづいています。
名言
このスピーチには、心に刺さる名言がたくさん。その一部を紹介します。
先を見越して点をつなぐことはできない。振り返ってつなぐことしかできない。
(You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.)
大学に行くことに価値を見出せなくなり、おまけに裕福ではない両親の貯蓄を浪費しているだけのように思えたことから、リード大学退学を決意した、スティーブ・ジョブズ。しかし退学後1年もの間、大学の授業を聴講し続けたのです。単位取得のためではなく、興味のある授業のみに潜り込んだと言います。その中のひとつに、文字芸術(カリグラフィ―)の授業がありました。その時は、将来何の役に立つのかわからないけど、熱中したそうです。
それは10年後につながります。世界初の、多彩なフォントを持つコンピューター「Macintosh(マッキントッシュ)」が生まれました。将来のことを考えて、文字芸術に熱中したのではなく、「いまここが楽しい」「素晴らしい」と思えることを一生懸命やっただけだったのです。
つまり、何事も先を見越して行動するのではなく、将来必ずつながると信じて行動しよう。また、信じることができれば、いまやりたいことに熱中できる自信になります。彼は「その自信を持つことが、人生において大きな差になる」と説いています。