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2018.08.02

「女性の意見は?」と聞かれたときの答え方【たむらようこの風通しのいい仕事道】

放送作家のたむらようこさんが働く女性目線で語る、仕事・環境をとりまくアレコレ。今回は「男女比に悩まない職場環境」について綴ります。

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「女はマカロン好き」と思っている、おじさんたちの感性を多数派にしない

みなさんの職場の男女比はどのくらいですか? 会議でこう聞かれたことはありませんか?「女性の意見は?」「女性目線ではどう?」――。 周囲を見渡すと、こうした質問に対し「女性はこう思います」と、自分の意見が女性の代表であるかのように語る女性がいる一方、「わざわざ女性の意見と銘打って語るのは女を利用して仕事してるみたいでイヤだ」と口をつぐんでしまう女性もいます。ひとつ言えることは多くの女性が、仕事の上で女性であることを期待され、困惑しているということ。仕事と性別の関係、どう考えればスッキリするのでしょう?

先日、BuzzFeed Japanの古田大輔編集長に伺ったところ編集部の男女比は半々だそうです。「採用のとき、故意に男女比をそろえてるんですか?」と質問してみると「普通に採用したら半々になります。逆に、一般企業の男女比が半々にならないのが不思議です」との回答でした。編集部員が男女半々であることは、そのまま意見の多様性につながり好調の要因となっていると聞いて、なるほど! と納得すると共に、自分の会社のメンバー二十数名全員が女性である意味を、再認識したのです。

私たちの会社は女性ばかりの放送作家集団です。17年前に立ち上げた当初こそ、テレビ局の偉い人から悪気もなく「置屋の女将」などと言われもしましたが、半年とたたないうちに「アマゾネス軍団のボス」(おじさんらしいネーミング!)と、いい意味で〝めんどくさがられる〞ようになりました。 社内が女性ばかりである意味はズバリ、個性を仕事に生かすため。テレビ業界で働く女性の割合は、制度に守られているテレビ局員でも21%程度。役員となると2%未満。報道、制作、情報部門のいずれも最高責任者は0%です。番組会議の女性の割合は少しずつ増えてはいますが、長い年月、男性の基準で積み重ねられてきた〝テレビ的に面白い〞の基準はとても根深く、自分が面白いと思って提案した企画が通らないとき、男女比を疑わず才能の壁を感じて辞職してしまう女性をたくさん見てきました。知らず知らずのうちに〝場〞の価値観を内在化させてしまい、自分の〝面白い〞と感じる基準が、自分の〝意見〞かどうかわからなくなってしまうのです。

どの会議に行っても外は男性の価値基準が優勢。であるなら既存の価値観から解放された場で素直な自分の意見を語り合い、確認できる場も必要ではないか。それが女子校のような会社を作った動機です。力仕事も、何かを最終決定するのも女性。おとなしくニコニコほほえむなどここでは何の価値もありませんから、自分なりの視座からの意見が自然と育まれます。 会社の後輩たちが外の会議で〝女子の意見〞を求められ「マカロンはパサパサでそれほど人気がない」とか「女子が女子アナに憧れていると思ってるのは男性だけ」と答えて周囲の男性から「それは女性の意見じゃなくて、あなたが変わり者だから」とドン引きされても平気でいられるのは、社内で十分に雑談をして、それらの意見が〝別段、風変わりな意見ではない〞ことに自信があるから。 男女比に悩まない職場環境が整うのは、我が国では残念ながらもう少し先になりそうです。だからせめて「女性の意見は?」と聞かれたとき、場の期待に応えるのではない研ぎ澄ませた「心の声」を届けたい。偽らざる小さな意見が、世の中を優しく変えていくと信じて。

『教えてもらう前と後』 毎週火曜・夜8時〜好評放送中!健康から歴史や住宅まで、教えてもらう前と後で世の中を見る目が変わる知のビフォーアフター番組。たむらさんが構成を務め、滝川クリステルさん、博多華丸・大吉さんが出演! 毎週火曜夜8時~MBS/TBS系全国ネット

放送作家

たむらようこ

1970年生まれ。放送作家。「慎吾ママ」のキャラクターを世に送り出すほか、『サザエさん』『祝女』『サラメシ』『世界の日本人妻は見た!』など多数の構成や脚本を手がける。2001年に子連れで働ける女性ばかりの制作会社ベイビー・プラネットを設立し社長としても活躍。

Domani2018年7月号 新Domaniジャーナル「風通しのいい仕事道」 より
本誌取材時スタッフ:構成/佐藤久美子

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