「ネガキャン」とはネガティブキャンペーンのこと
「ネガキャン」という言葉を聞くと、若い世代が使う言葉かな? と思うかもしれません。実はこの言葉は、選挙や広告、ビジネスシーンでもよく使われているのを知っていますか?
「ネガキャン」は、さまざまなシーンで登場しますので、意味や使い方を把握しておくといいですね。
辞書で意味を確認
▷【negative campaign】読み方:ねがてぃぶきゃんぺーん
ネガティブアドなどをからめて行う、選挙のライバル候補や他社商品に対する徹底的な誹謗(ひぼう)・中傷キャンペーン。ネガキャン。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「ネガキャン」は、ネガティブキャンペーンを略した言葉です。選挙や広告以外に、インターネットやSNS、自分自身のことを表す際にも使われています。
意味の解説にある「ネガィテブアド」とは、他社製品や敵対する相手の欠点・弱点・悪口などを大げさに取り上げ、見た人にマイナスイメージを受け付けるよう意図された広告や宣伝手法を指します。
自動車のタイヤの傾きを指すことも
「ネガキャン」は、自動車に関連する用語にも存在します。この場合は「ネガティブキャンパー」の略語として使いますので、違いを把握しておきましょう。
「ネガティブキャンパー」とは、タイヤの角度を調整し、正面から見た際に左右のタイヤが八の字になる状態のこと。通常よりも、車両の旋回性能が向上するというメリットがあり、自動車の改造に関連することでよく登場します。
「ネガキャン」の使い方を確認
ここからは、「ネガキャン」の使い方を見ていきましょう。シーン別に例文とあわせて紹介します。
政治の「ネガキャン」
《例文》
・ネガキャンは有効な選挙戦術とされているが、見ていて気持ちのよいものではない
「ネガキャン」は、相手の欠点や問題点をピックアップして直接的に攻撃します。それが効果を発揮すれば、発信者に利益がありますが、そうでない場合は発信者のイメージを著しく損なうというリスクを含んでいます。
インターネットやSNSの「ネガキャン」
《例文》
・SNSに書かれたネガキャンの影響で売り上げが落ちた
口コミサイトやSNSなどで使う「ネガキャン」は、誹謗中傷を意味することがほとんどです。企業や団体、個人を対象に行われますが、デマや誤情報であることも多く、社会問題化しています。流れてきた情報は「ネガキャン」かもしれませんから、安易に信じず、しっかりとリサーチすることをおすすめします。
広告の「ネガキャン」
《例文》
・他企業によるネガキャンを見つけたら、速やかに報告するよう指示した
ライバル企業のマイナス面を、強くアピールするような広告を出すという意味で使われます。「ネガキャンアド」や「ネガキャンアプローチ」と呼ばれることもあり、宣伝手法の一つと考えることもあります。
職場での「ネガキャン」
《例文》
・彼を妬んだ人が「ネガキャン」を繰り広げたこともあったが、彼は一切動じず見事に解決した
嫉妬や妬みなどの感情から、特定の人に対する悪い噂や悪口、虚偽などを広めることを指します。ターゲットになった人には強いストレスがかかり、場合によっては仕事や評価に支障が出ることもあります。
自分に対する「ネガキャン」
《例文》
・彼女はすぐに「私は頭が悪いから」などとネガキャンばかりしている
自分自身を否定し、非難することを「ネガキャン」と表すことがあります。このような使い方をするようになったのは最近のこと。若者を中心にネットで使われることが多いでしょう。
車関係の「ネガキャン」
《例文》
・ネガキャンを取り入れている一般車はほとんどない
上述したように、車関係の「ネガキャン」は意味が異なります。「ネガキャン」を取り入れているのはサーキットなどを走る車がほとんど。一般車はあまりないでしょう。
「ネガキャン」と似ている言葉
「ネガキャン」と似ている言葉について見ていきましょう。言い換えとしても使うことができます。
「誹謗中傷」
根拠のない悪口を言いふらし、他人を傷つけることを表す言葉です。企業や団体、政治などに対してよく使われていますが、人物に対して使われることも。また、SNSやインターネットで繰り広げられる誹謗中傷は、社会問題化しています。
「ディスる」
相手を否定する、批判する、侮辱することなどを意味する言葉。「無礼を働くこと」を意味する、「ディスリスペクト」(disrespect)を略して「ディスる」と表現しているという見解があります。
もし「ネガキャン」をされてしまったら?
「ネガキャン」は、個人にも生じるようになりました。SNSや職場などで「ネガキャン」のターゲットになった場合、どうすればいいでしょうか?
証拠となるものを記録し、残す
「ネガキャン」だと感じたら、その証拠となるものを記録し、保存しておきましょう。SNSの投稿やコメント、チャットのやりとりをスクリーンショットし、メールも残しておきます。会話や電話のやりとりは、可能な限りメモなどに記録するといいですね。これらが証拠となり、解決に向かうこともあります。
また、信頼できる人に情報共有するのもおすすめです。
相手や情報に踊らされず、距離を取る
「ネガキャン」のターゲットになるとストレスが溜まるでしょう。しかし、動揺したり反応したりすると、相手は喜ぶだけです。それを意識し、相手や情報に踊らされず、冷静を保ちながら平然と過ごしましょう。相手は飽きて、諦めるかもしれません。
また、相手に隙を見せず、距離を取るのも大切です。相手からのアクションがあっても必要最低限の反応で済まし、距離は縮めません。
周りに相談する
「ネガキャン」を自分だけで解決しようとすると、かえって拗れてしまうかもしれません。第三者の意見を聞くことで回避できることもありますから、信頼できる人に相談するのも一つです。大切なのは、一人で抱え込まないこと。周りに頼り、力を貸してもらいましょう。
ネガキャン返しは避ける
「ネガキャン」をされたからやり返すということは避けましょう。「ネガキャン返し」は、大きなトラブルに発展しかねません。また周りを巻き込んでしまい、精神的に大きなダメージを負う可能性もあります。
最後に
「ネガキャン」について紹介しました。「ネガキャン」は個人の生活にも及ぶことがあります。自分や周りの人がターゲットになった場合は、騒ぎ立てることなく冷静に対処することが大切。度が過ぎる場合は、警察などしかるべき機関に相談するようにしてください。