「ダブスタ」とは?
「ダブスタ」という言葉、聞いたり使ったことはありますか? この「ダブスタ」は、あるカタカナ言葉を略した短縮語なのですが、察しの良い人でしたら「ダブスタ」の語音から推測した方もおられることでしょう。短縮語なのでオフィシャルな場で使うことは無いにしても、使う時には意味を理解した上で、マッチした使い方をしたいですよね。
そこで、本記事では「ダブスタ」の意味や使い方、そして関連する言葉を分かりやすく紹介します!
「ダブスタ」の意味
「ダブスタ」とは、正しくは「ダブルスタンダード」。英語では「double standard」と表記します。「ダブルスタンダード」の意味は、「対象によって、異なる価値判断や判断基準を使い分ける」ことです。具体的な例を挙げると、「内部向け情報と外部向け情報」や「国内顧客向けと外国人観光客向け」といったことになります。
「スタンダード」を、日本語にすると「標準」や「基準」と訳されることが多いでしょう。その「標準」や「基準」が「ダブル」、つまり二通りになっている状態を「ダブルスタンダード」と表現します。
本来、「標準」や「基準」というものは1つであるべきです。それが、2通りになったら、どちらを信じて良いのかが分からなくなってしまいますよね。このことから、「ダブスタ(ダブルスタンダード)」は、ある状態や発言を批判したり、揶揄するときに用いられることが多いようです。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「ダブスタ」の使い方を例文で紹介
ここでは、「ダブスタ」という言葉の使い方をご紹介します。しっかりと言葉の意味を理解した上で、適切な使い方を身に付けるには、実際に例文を確認してみるのがおすすめです! ぜひ、参考になさってください。
1:「平素からコミュケーションの基本は挨拶だと指導していながら、朝の挨拶をしない課長はダブスタの極みだ!」
日頃、人を指導する立場の人が、その立場にあるまじき行為をしているとしたどうでしょうか? 「言ってることと、やってることが違いますよね」と言いたくなりますよね。
2:「すべて俺が責任を持ってやると言っておきながら、課長への報告では全て私の責任になってるなんて、先輩のダブスタには驚きだ!」
あなたの周りに、相手の地位や立場によって、自分の言動を変える人っていませんか? いかに上役には弱いといえ、コロコロと意見や態度を変えられてしまうのは悲しいものです。そんな上司や先輩は、できれば遠慮したいですよね。
3:「ダブスタな人ほど、自分がダブスタだと自覚していないようだ」
社員同士や友人知人との会話で使う「ダブスタ」。「ダブスタな人」という言い方には、「二枚舌」とか「風見鶏」など「相手によって態度を変える人」のような、他人を非難したり揶揄する表現になります。不用意に使ってしまわないように、使う時にはくれぐれもご注意くださいませ。
「ダブスタ」の関連表現は?
ここまでで、外来語を短縮した「ダブスタ」の意味や使い方を解説してまいりました。続いて、「ダブスタ」と同じ意味を持つ言葉や類似しいた言葉もいくつかご紹介することにします。語彙力を高めるのにお役に立てていただけたら幸いです。
二律背反(にりつはいはん)
「ダブスタ」の意味とはまったく異なるのですが、関連する言葉として「二律背反」をご紹介しておきます。『デジタル大辞泉』(小学館)では、以下のように説明されています。
哲学で、相互に矛盾する二つの命題が同等の妥当性をもって主張されること。アンチノミー。
因みに、アンチノミー(Antinomie)はドイツ語です。辞書の意味説明では、理解できないとおっしゃる方もおられると思います。ちょっと説明の仕方を変えてみます。こんな説明ではいかがでしょうか?
「相反する命題の組み合わせ」や「相互両立出来ない矛盾」といった意味になります。これまた、今一つ理解ができないという方に、具体例をお示しすることにします。
「私の言ってることは、全てが嘘である」と言ったとします。すると、その発言が事実とするならば、その発言そのものも「嘘」ということになりますよね。ということは、「全てが嘘である」という発言が「嘘」ということになり「本当のことを言う」場合もあるということになります。
謎解きのような説明になってしまいましたが、ご理解いただけたでしょうか?
二枚舌(にまいじた)
「二枚舌」とは、「矛盾したことを言うこと」。ある事実や物事について、二通りの見解や意見を述べる人のことを「あの人は二枚舌だ」と呼ぶことがあります。相手の立場や状況によって異なる見解や意見を言うという点で「ダブスタ」に近い日本語といえます。次のような使い方ができます。
例文:「君は、大阪・関西万博の開催に大賛成だったのに、建設費が約2倍に膨れ上がると反対するなんて二枚舌なんだね」
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
最後に
会社という組織に身を置いていると、様々な出来事が起こるものです。状況によっては、フレキシブルに対応したつもりが「ダブスタ(ダブルスタンダード)」になってしまうこともあるかもしれませんね。ですが、そのことが後に、大きな批判の的(まと)となってしまう場合もあります。
仕事においては、「ダブスタ(ダブルスタンダード)」は決して良い結果をもたらしません。くれぐれも、保身のための「ダブスタ(ダブルスタンダード)」となることだけは避けたいものです。
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