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LIFESTYLE インタビュー

2024.02.10

前田敦子さんインタビュー「ポジティブすぎる息子の元気さが、仕事のモチベーション」

スーパーアイドルから女優へ。育児も並行しながら、30歳になる年からはフリーランスに。活躍のステージと環境を自ら選びとり、突き進む前田敦子さん。32歳の「今」向き合っている仕事、家庭、そして育児について語ります。

私の仕事が息子の記憶の片隅に残っていって、いつか彼の人生に影響を与えられたら

14歳で「AKB48」1期生のメンバーに抜擢。16歳から俳優としての頭角を表し、今ではドラマだけでなく多くの映画を代表作としてもつ前田敦子さん。プライベートでは、今年5歳になる男の子を育てるシングルマザー。ただいま32歳、映画に向き合う情熱と息子への愛情は大きくなるばかり。仕事と母親業とそれぞれにいい影響を与え合っています。

独立して3年目、
本当に人生を楽しめているかな

──AKB48のオーディション時から、「女優になりたい」と宣言していた前田さん。それからもうすぐ20年。夢を叶えたその先、今「仕事」はどんな位置付けなのでしょうか。

10代から仕事をしていると、勢いでやり通す方法は、自然と身についてくるものです。でも30代になると、ただ全速力で走るのも、なんだか違う気がしてきて。独立して3年目、本当に人生を楽しめているかな。自分の人生を大事にしているかな。そんなふうに考えるようになりました。

そんな中、今あらためて仕事に対しての目標を見つけようとしているところです。それがなんなのかは、まだわからないけれど、焦る必要もない。少しずつ見つけていけばいいかなって。

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──その中で、前田さんの主戦場となっている「映画」はどのような存在ですか。醍醐味はどんなところにあるのでしょうか。

映画好きが集まって、時間をかけてじっくりつくっていく過程が大好きで、映画にはドラマとはまた違う醍醐味を感じます。特に、ひとりの監督が自ら旗を上げて始まるような作品が私は大好きで、最初からしっかりした芯がある。それが大きな映画愛となって、現場に充満しているんです。

最新主演映画『一月の声に歓びを刻め』は、そんな空気感のある現場でした。三島有紀子監督はまさにビッグマザーといった感じで、みんなが監督を信頼し、力を出し合う。演技をするうえでは難しいことも多かったけれど、焦らずじっくり向き合った、貴重な時間でした。

© bouquet garni films
映画『一月の声に歓びを刻め』/三島有紀子監督自身が47年間向き合い続けた「ある事件」をモチーフに、北海道洞爺湖、八丈島、大阪を舞台に物語が展開。

金曜と土曜の夜は
息子と「お菓子パーティ」でちょっと夜更かし!

──映画『一月の声に歓びを刻め』は大阪で撮影されましたが、息子さんと離れている時間の過ごし方は?

地方滞在中は、地元のスーパーに行くのが楽しみで、新鮮な魚をその場でさばいてもらったり、土地の野菜を買って帰ったり。少しでも時間があると、ひとりでいろんなところに飛び出していくタイプです。実は今回の大阪滞在中、こっそりひとりでカラオケに行って息抜きしていました。YUIさんやAikoさんの歌を2~3時間歌い続けて、すっきりしてホテルに戻るんです。

──そんな時間があるから、東京に戻ってからの親子の時間がより愛おしく思えるのですね。

ひとり時間と息子との時間、仕事の時間とプライベートの時間。それぞれに集中すること、メリハリをつけることは、うまくできるようになりました。ウィークデーは早く寝かしつけるけれど、金曜と土曜だけは親子ふたりで好きなお菓子を食べながら少しだけ夜更かしするのも、そのひとつです。毎日「早く寝なさい」ばかりじゃ、息子もストレスになるだろうから、週末だけは一緒に羽目を外すんです。

一方で、仕事の現場にたまに息子を連れて行くこともあります。私の仕事のことは理解し始めているようで、モニターに映る様子を見ていたり、おとなしく待っているんですよ。ただ…この仕事を大変だと悟ったのか、芸能界に憧れはもっていないみたい(笑)。現実を見せすぎちゃった…かしら?

息子はきっと、彼なりに今いろんなことをインプットしている時期なのでしょう。こうして見ている世界が、記憶の片隅に残っていって、いつかどこかで彼の人生に影響を与えたら、それは素敵なことだと思います。

──では反対に、息子さんとの時間が前田さんの仕事に与えるいい影響は?

それはもう、たくさんあります! 息子はとてもマイペースで前向きで、めちゃくちゃポジティブ。神社でおみくじひいても、いつも大吉。そんな彼から、私がいつも元気をもらっています。

私はというと、いまだにウジウジ悩んだり考え込んでしまうことがあって。「今日のママ、なんか落ち込んでるよね。ごめんね」なんて言っても、息子はマイペースで飄々としている。で、いつの間にか私は落ち込んでいることを忘れている、という感じです。彼のこの性格は、私の母にそっくり。感謝すべきは、母ですね。

それに大人になれば、感情の揺れで仕事へのモチベーションが左右されたり、質を落としたり、そんなことはできません。やっぱり仕事は仕事。どんなにつらくても、落ち込んでも、切り替えられるのは、たくさんの仕事と、そして家族のお陰です。

──最後に、これから先40代のビジョンを教えてください。

仕事は楽しいけれど、そればかりになってしまうと、自分に飽きてくるし、なんとなくさびしく感じてしまうもの。先輩女性たちからは「40代までにもう一回、いろんなことに突っ走ってもいいんじゃない」って言われているので、どこかでそんなときが来るのかな。

俳優

前田敦子

まえだ・あつこ/1991年生まれ、千葉県出身。アイドルグループ「AKB48」一期生として2005年から2012年まで活躍。卒業以降は、俳優としてドラマ・映画・舞台などに出演。主な作品に、映画『旅のおわり世界のはじまり』『町田くんの世界』『そして僕は途方に暮れる』『あつい胸騒ぎ』、ドラマ『ウツボラ』『育休刑事』『かしましめし』など。現在、日曜ドラマ『厨房のありす』(日本テレビ系)に出演中。

映画『一月の声に歓びを刻め』

出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔
坂東龍汰、片岡礼子、宇野祥平、原田龍二、松本妃代、長田詩音、とよた真帆ほか 
脚本・監督 三島有紀子
2月9日(金)テアトル新宿ほか全国公開
映画『一月の声に歓びを刻め』オフィシャルサイト

 

シャツ¥104,500(アオイ〈MSGM〉)
ピアス¥15,400(KAORU ルミネ有楽町店〈KAORU〉)
リング¥33,000(ブランイリス トーキョー)

ワンピース¥363,000(MURRAL)
靴¥179,300(JIMMY CHOO)
ピアス¥19,800(ブランイリス トーキョー)
イヤーカフ¥8,800(ソワリー)

撮影/YUJI TAKEUCHI (BALLPARK) スタイリスト/有本祐輔(7回の裏) ヘア&メイク/高橋里帆(株式会社HappyStar) 構成/南 ゆかり

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