「婉曲」の正しい読み方や意味とは
「婉曲」とは、穏やかな言い回しを意味する言葉です。露骨な表現を避け、遠回しに伝えるさまを表します。
ビジネスでの登場機会も多い「婉曲」ですが、具体的な意味や使用例となるとわかりづらい一面もあるのではないでしょうか。まずは「婉曲」の正しい読み方とともに、意味や具体例などを深掘りしていきましょう。
「婉曲」は「えんきょく」と読む
「婉曲」の正しい読み方は「えんきょく」です。間違えられやすい読み方には、「わんきょく」が挙げられます。器を意味する「椀」(わん)と「婉」(えん)の字が似ているためといえるでしょう。
「婉」には「おだやかで、かどがない」という意味があり、遠回しにいう言葉は「婉語」(えんご)と呼ばれます。やわらかで露骨にならず、婉曲表現にも用いられる言葉です。
婉曲表現の具体例
相手への思いやりから生まれた婉曲表現は、古くから用いられてきました。現代もコミュニケーションを円滑にするため、さまざまなシーンで使用されています。
たとえば、人が亡くなることは「逝去」と表現されます。これは不吉で直接的な言い回しを避けた婉曲表現です。「元気ですか」と尋ねる代わりに「お変わりありませんでしょうか」と伝えることもあるでしょう。
ほかにも、おめでたい席が終わることは「お開き」と呼ばれます。トイレのことを「お手洗い」というのも婉曲表現のひとつです。
ビジネスシーンで活用!「婉曲表現」の例文
婉曲表現は、ビジネスのさまざまなシーンで活用されます。例文をみると、知らずに使用していたというケースも多いかもしれません。
たとえば、ビジネスで物事を断る際は以下のような婉曲表現が用いられます。
・恐れ入りますが、今回は遠慮させていただきます。
・残念ですが、今回はお見送りいたします。
・申し訳ございません。その件についてはお受けいたしかねます。
このように「遠慮する」や「見送る」という言葉を用いることで、「できない」という意志をやわらかな表現で伝えられます。
また、冒頭の「恐れ入りますが」や「残念ですが」も婉曲表現のひとつです。これらを用いることで、伝えづらい内容も角が立ちにくくなります。
婉曲表現をビジネスで用いる際の注意点
婉曲表現をビジネスで用いる際の注意点は、以下の3つです。
・婉曲表現の多用に気を付ける
・遠回しになりすぎないようにする
・相手に合わせて使い分ける
婉曲表現は、多用すればよいというわけではありません。伝えたいことがしっかりと伝わるよう、注意点をふまえて活用していきましょう。