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「羨望」(せんぼう)の正しい意味とは
「羨望」とは、物事や人を羨む(うらやむ)ことです。羨むとは、自分より優れた人や恵まれた状況に対し、自分もそうありたいと思う感情を意味します。
【羨望】せん‐ぼう〔‐バウ〕
[名](スル)うらやむこと。「—の的となる」「他人の栄達を—する」【羨む】うら‐や・む
[動マ五(四)]《「心 (うら)病 (や)む」の意》
1 他の人が恵まれていたり、自分よりもすぐれていたりするのを見て、自分もそうありたいと思う。「人も—・む仲」
2 他人のすぐれた才能や恵まれた状態を不満に思う。「同輩の出世を—・む」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
また、古来の日本では、羨むことを「心(うら)病む(やむ)」と書き表していました。これは「羨む」の語源といわれ、自分の境遇に恵まれない悲しさから、心が傷つくことを表しています。
そのため「羨望」という言葉は、他者を羨ましく思うときだけでなく、その状態に不満に感じるときにも適していると考えられます。
「羨望」と「嫉妬」(しっと)の違い
「嫉妬」は、「羨望」と似た意味を持つ類語のひとつです。「羨望」と同様に、自分より優れた人を羨むことを意味します。
異なる点は他者を妬む意味があり、特に愛情に関する妬みや憎しみに対して用いられる点です。
【嫉妬】しっ‐と
[名](スル)
1 自分よりすぐれている人をうらやみねたむこと。「他人の出世を—する」
2 自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと。やきもち。悋気 (りんき)。「夫の浮気相手に—する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
自分が好意を持つ相手が他者に愛情を向けており、憎しみの感情を抱いている場合は、「羨望」ではなく「嫉妬」という言葉を使用しましょう。
「羨望」の類語や言い換え表現
「羨望」には、以下のような類語や言い換え表現があります。
前述したように「羨望」は、他者に対して「いいな」「羨ましいな」と純粋に感じるときにのみ使われる言葉ではありません。自分より優れた人に対するネガティブな感情を表す際にも用いられます。
ここからは、「羨望」と似たようなシチュエーションで用いられる言葉について、理解を深めていきましょう。
焼き餅(やきもち)
「焼き餅」には「火であぶって焼いた餅」という意味のほか、嫉妬や妬みといった意味合いがあります。主に「焼き餅を焼く」のように用いられる言葉です。
嫉妬心が強い人のことは、「焼き餅焼き」と言い表します。また、「焼き餅焼くとて手を焼くな」(やきもちやくとててをやくな)は、嫉妬もほどほどにしないと災いを招くことを意味することわざです。
言葉の語源は、「嫉妬」を意味する「妬く」を「焼く」に 掛け、そこに「餅」を添えたことにあるといわれています。
やき‐もち【焼(き)餅】
1 火であぶって焼いた餅。
2 《嫉妬しっとする意の「焼く」に餅を添えていった語》嫉妬。ねたみ。「焼き餅を焼く」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
悋気(りんき)
「悋気」も「焼き餅」に近いニュアンスを持つ言葉です。主に、男女間のことなどで焼き餅を焼くことを意味します。
他者への羨ましさを表す「羨望」と違い、嫉妬心や妬みの気持ちが強いときに適した表現です。会話のなかでは「悋気する」、「悋気深い」のように用いることが多いでしょう。
りん‐き【×悋気】
[名](スル)男女間のことなどでやきもちをやくこと。嫉妬しっと。「男友達と話す妻に悋気する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)