「赴任」の意味とは

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「赴任」(ふにん)とは、これまでと異なる勤務場所へと足を運ぶことです。任務には、責任をもって果たすべき「つとめ」という意味合いがあります。
「つとめ」は、当然果たすべき事柄や修行、勤務など、さまざまな意味をもつ言葉です。一般的に、「赴任」とする場合は会社で働くことを指します。
また、「赴任」を使った言葉には「赴任地」や「単身赴任」「海外赴任」などがあります。以上のことからも、「赴任」はビジネスとの関連性が高い言葉といえるでしょう。
ふ‐にん【赴任】
[名](スル)任地におもむくこと。「単身で赴任する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「赴任」の使い方

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ここからは、「赴任」を使った語句についてご紹介します。耳慣れている言葉でも、正しい意味となると疑問に感じる面もあるかもしれません。例文を参考に、具体的な使い方も確認していきましょう。
「赴任する」の使い方
「赴任」という言葉は「赴任する」、「赴任した」などのかたちで使用します。ビジネスシーンでは、以下のように活用してみてください。
・離職した講師の代わりに、美術専任の講師として赴任することになった。
・勤続20年、初めて赴任した県は今でも思い入れのある場所です。
・優秀な彼は数年後、海外に赴任するのではないかといわれている。
・業務拡大に伴い、海外でキャリアを積んだ女性が赴任してくるらしい。
「赴任地」の使い方
「赴任地」は、仕事のために赴く場所そのものを意味します。ビジネスでは、働く地域を指すのが一般的です。また、「赴任先」のように言い表すこともあります。
・上司の話によると、新たな赴任地は中国地方のどこかになるらしい。
・彼の次の赴任地は北海道らしい。
・来年からの赴任地が沖縄になると聞いた。初めて赴く土地になるため、必要な情報を急いで集めている。
・他の職場で勤務した経験がないため、新たな赴任先でやっていけるか少し不安だ。
「単身赴任」の使い方
「単身赴任」とは、所帯(しょたい)のある人が1人で任地に赴くことです。そもそも「所帯」とは、一家を構え独立した生計を営むことを意味します。
赴任先が現在の居住地から通えない場所だったり、家族と共に転居するのが難しかったりする場合は、配偶者や子どもなどの同居家族を居住地に残し「単身赴任」するかたちになります。
・新店舗開店のサポートメンバーとして、来月から他県への単身赴任が決まった。
・他県への赴任が決まったが、家族のライフスタイルを考えると一家揃っての引越しは難しい。おそらく単身赴任となるだろう。
・妻の単身赴任が決まり、引越しの準備や手続きに追われている。
・支店が多い企業のため、2年に1度は単身赴任を繰り返している。
「海外赴任」の使い方
赴任先が海外の場合は、「海外赴任」にあたります。「海外渡航」という言葉もありますが、こちらは飛行機や船で任務のために海外へ行くことを表します。「海外渡航」には旅行も含まれるため、目的が任地に赴くためである場合は「海外赴任」を使用しましょう。
・初めての海外赴任が決まった。単身で赴くのか、家族も帯同するのか検討しなくてはならない。
・転職先は海外赴任のある企業を希望しています。
・彼女は海外留学の経験と高い英語スキルが評価され、この度の海外赴任者に選抜された。
・子どもが中学校に入学したばかりで、パートナーの海外赴任についていくべきか迷っている。
「赴任」と「着任」や「転勤」との違い

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「赴任」と似た意味をもつ言葉には、「着任」(ちゃくにん)や「転勤」(てんきん)などがあります。いずれも仕事に就くことや、勤務先を移動することを表す言葉です。
ただし、「赴任」とはニュアンスの違いがあります。日常会話やビジネスシーンで使い分けできるよう、それぞれの意味を確認していきましょう。
「着任」の意味や使い方
「着任」とは、新しい任地に到着したり、新しい任務に就いたりすることです。任地に行く、という点では「赴任」と共通しています。
異なるのは、任務に就くことそのものを指す点です。「赴任」が任地に赴くという行動を表すのに対し、「着任」は任地に行くだけでなく、ある地位に身を置くことなども意味します。また、反対に任務や任地を離れることは「離任」と言い表します。
・部署異動を一週間後に控え、着任の挨拶文について考えている。
・彼は新任講師として先月着任したばかりだ。
・本日付でこちらに着任させていただく〇〇と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
・メールにて恐縮ですが、取り急ぎ着任のご挨拶を申し上げます。
ちゃく‐にん【着任】
[名](スル)新しい任地に到着すること。また、新しい任務につくこと。「新しい校長が着任する」⇔離任。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「転勤」の意味や使い方
同じ企業内で勤務地が変わることは、「転勤」と言い表します。「赴任」の場合、「単身赴任」や「海外赴任」といった言葉があるものの、必ずしも勤務地が変わるとは限りません。同企業内ではなく、他の仕事から新たな職へと赴任するケースも考えられます。
一方、「転勤」は勤務地が変わる点が大きな特徴です。ただし、あくまでも同企業内に限ったものになります。勤務地でなく職そのものが変わる場合は、「転職」にあたるため注意しましょう。
・現在の職場は2~3年後に転勤の可能性がある
・今回の転勤は、営業職として自分が成長するためのひとつのチャンスだと捉えている。
・今年マイホームを購入したばかりであることを考えると、できれば転勤は避けたい。
・来月転勤する上司に、これまでのお礼を兼ねたメッセージを送った。
てん‐きん【転勤】
[名](スル)同じ官庁や企業などの中で、勤務地が変わること。「札幌に転勤する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「赴任」の正しい意味を知りビジネスで活用しよう

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「赴任」は、「赴任地」や「単身赴任」などの使い方があり、ビジネスとの関連性が高い言葉です。主に、任地へと赴くことを意味します。
また、「赴任」には「着任」や「転勤」といった似た意味をもつ言葉があります。どちらも仕事に関する言葉ですが、シーンによって使い分けが必要です。
使用時はそれぞれの意味を理解したうえで、正しく活用していきましょう。
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