「千差万別」の意味や読み方、語源
「千差万別」とは種類や違いに大きな多様性があることや、そのさまを指す言葉です。たくさんのものには一つひとつに違いがあり、まったく同じものはないことを表現しています。
違いを表現したい場合であっても、2個や3個などの少しの数のものに対して使われることはありません。少ししかないものを指すために「千差万別」という言葉を使うのは、表現が過剰で大げさであると感じられてしまうため気を付けましょう。
【千差万別(せんさ‐ばんべつ)】
(名・形動)種々さまざまの違いがあること。また、そのさま。千種万様。せんさまんべつ。「―な(の)意見」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「千差万別」の読み方はさまざま
一般的な読み方は「せんさばんべつ」です。しかし、それ以外の読み方をする場合もあります。
多く読まれるものから並べると、「せんさばんべつ」>「せんさまんべつ」>「せんしゃばんべつ」の順番のようです。なかには「せんさまんべつ」を「誤った読み方である」と考える人もいます。「せんさばんべつ」の読み方が最も一般的に使われているため、この読み方を覚えておくのが無難といえるでしょう。
「千万」と「差別」の2つの熟語を使用した言葉
「千万」と「差別」の2つの熟語を使った言葉が「千差万別」です。「千万」という熟語は具体的な数のことではなく、きわめて数が多いという意味を指します。このケースで使われている「差別」という言葉は不当に差をつけるというような悪い表現としてではなく、異なるものや区別という意味です。
「千差万別」の元になったのは、これら「千万」と「差別」の2つの熟語をあわせた「千万差別」であるといわれています。この「千万差別」の「万」と「差」の2つの文字を入れ替えて、「千差万別」となったようです。
「千差万別」の語源
「千差万別」の語源は中国北宋代の仏書『景徳伝灯録(けいとくでんとうろく)』の25巻に書かれている文章です。「千差万別」と書かれた文章には、仏教での悟りに至る道筋については人によってさまざまであるため、ほかの人が悟りに至った方法を聞いても簡単にできるようなものではないという内容が書かれています。
〈原文〉
問う、至理無言(しりむごん)なり、如何にして信を通ぜん、と。師曰く、千差万別なり、と
〈訳〉
「理(ことわり)の境地に至れば是非の言をいれる余地はない。どうしたらそこに通じるようになりますか」と質問した。師は「人それぞれだ」と答えた。
「千差万別」の使い方や例文
「千差万別」は人に関する違いだけでなく、ものや出来事に関する違いについても使える表現です。先述のとおり、数が多くないものに対しては使わないようにしましょう。
「千差万別の意見」「千差万別の時間」のように「千差万別の~」と表現したり、「考え方は千差万別だ」「状況は千差万別である」のように「〜は千差万別だ」というふうに使われます。
「千差万別」の例文は以下のとおりです。使い方を覚えて日常会話に取り入れてみてください。
〈例文〉
・番組ではアンケート調査をおこなって、視聴者による【千差万別】の意見を募集した。
・一口にお客様といっても【千差万別】で、ニーズや好みは多様だ。
・似たようなことであっても怒る人や悲しむ人、落ち込む人がいて、感じ方は【千差万別】だ。
・容姿の良さや性格など、一人ひとり恋人に求める条件は【千差万別】だ。
「千差万別」の類語と、言い換えで注意するポイント
「千差万別」にはたくさんの類語がありますが、それぞれの意味には少しずつ違いがあるため、言い換える場合には気を付けましょう。「千差万別」の類語と言い換えで注意するポイントを解説します。