さまざまな
「さまざま」とは、物事がそれぞれ違っていることやその様子です。
・各人がさまざまな感想を述べたため、収拾がつかなくなった。
・アルバムにはさまざまな思い出が残されている。
「さまざま」と似た言葉に「いろいろ」があります。「いろいろ」とは、異なる事物や状態が数多いこと、またはその様子のことです。
・外商の担当者からいろいろな反物を見せてもらったが、最初に見たものに決めた。
・いろいろな意見を聞くことは、多様な視点を身につけることにもつながる。
多くの場合において、「さまざま」と「いろいろ」を置き換えても問題ありません。しかし、「いろいろ」は日常的な事柄を述べるときに使われることが多く、「さまざま」はどちらかというと文章語的な表現に使われる傾向にあるため、使い分けが必要になります。
また、「さまざま」には種類が多いだけでなく、一つひとつが異なっている様子を示すニュアンスがあります。たとえば、以下の文章は口語的な表現のため、「さまざま」は適さないかもしれません。
・いろいろと楽しかったです。
・いろいろお世話になりました。
一方、次の文章は文語的な表現のため、「いろいろ」とは置き換えないほうがよいかもしれません。
・人はさまざまに思い悩む生き物だ。
・美術館でさまざまなる意匠を見て、創作意欲が刺激された。
マルチな
「マルチ(multi)」とは、数量や種類の多い様子や、いくつかの要素が合わさっている様子を指す言葉です。「マルチな」や「マルチだ」のように、形容動詞として使われます。
・彼はマルチな才能を持つ。
・このバッグはマチが広く軽いので、ショッピングや通勤など、マルチに活用できる。
また、マルチは他の名詞と結びついて使われることがあります。
・マルチカラー(多数の色が使われている様子)
・マルチスクリーン(映画やテレビで、異なる映像を同時に多数映し出す方式の画面)
・マルチコピー機(コンビニエンスストアなどに設置される、多機能型複写機)
・マルチタレント(多方面にわたって才能を発揮するタレント)
・マルチデバイス(サービスやコンテンツ、アプリケーションソフトなどを、さまざまな端末で共有して利用できること)
「多岐にわたる」と反対の意味を持つ表現
「多岐にわたる」は、物事や道筋が多くあることです。反対の意味を指す言葉としては、物事の種類や選択肢が一つしかないといった意味を示すものが考えられます。
唯一
「唯一(ゆいいつ)」とは、ただ一つであることや、それ以外にはないことを指す言葉です。「ゆいいち」や「ゆいつ」と読むこともあります。
・こちらは世界で唯一の逸品です。お客様だけに特別に紹介しています。
・漫画を読むことは、わたしの唯一の趣味だ。
無二
「無二(むに)」とは、同じものが他に一つもないことや、並ぶものがないことを意味する言葉です。
・彼女はわたしの無二の親友です。
・親は子どもにとって無二の存在である。それだけ影響力がある存在だという事実を、親は理解しておくことが求められる。
また、「唯一無二(ゆいいつむに)」と表現することもあります。「唯一」を強めた表現で、ただ一つあって、二つとないことを指します。
・彼は誰とも比較できない唯一無二の存在だ。
・ファッション業界において、彼女は唯一無二の立ち位置にいる。
適切な場面で「多岐にわたる」を使おう
「多岐にわたる」は、「多種多様」や「さまざま」といった言葉とも置き換えられますが、少し固いニュアンスもあるため、ビジネスの場や人前で話すときにも使いやすい言葉といえます。
半面、親しい人との会話には、適さないことがあるかもしれません。適切な場面で、「多岐にわたる」の表現を使うようにしましょう。
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