ワーママがやるべき会社への働きかけ
――国としての施策を男女共同参画局・局長の池永肇恵(としえ)さんから、企業の立場からは林 恭子さんから、ワーママをとりまく環境の変化をお話しいただいたイベント。
参加者からは『すごく古いタイプの会社です。上司によって職場の雰囲気はずいぶん違いますが、一方で若い人年代からできる対策などがあれば教えていただきたいです』という質問が。
前回のお話は:育休後の職場復帰問題、どうしてる?
お話のポイント
・上司にとって男女共同参画は経営戦略上、企業の死活問題
・“男性向き”“女性向き”という分け方ではなく、みんなが利用しやすいことを制度を
ワークライフバランスはワーママだけでなく上司にとっても重要なこと
▲右/内閣府男女共同参画局長の池永肇恵(としえ)さん。1983年東大教養卒、1987年旧経済企画庁に入庁。2016年滋賀県副知事に。2018年7月より現職。左/林 恭子さん。グロービス 経営管理本部長 マネジング・ディレクター。筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程前期修了(MBA)。米系電子機器メーカーのモトローラで、半導体、および携帯電話端末のOEMに携わった後、ボストン・コンサルティング・グループへ。人事担当リーダーとしてプロフェッショナル・スタッフの採用、能力開発、リテンション・プログラム開発、ウィメンズ・イニシアチブ・コミッティ委員等、幅広く人材マネジメントを担当
池永さん「決定権をもっている上司に対する啓発や気づきはすごく重要ですね。それでも人の意識はなかなか変わりにくいもの。そういう方には、経営戦略に関わる企業の死活問題にかかわるということを伝えていくのが効果的だと思います。
ただ、会社が支援をするにしても、“男性向き”“女性向き”という分け方ではなく、みんなが利用しやすいことを制度としてやっていくことが重要です。男性でも育児休業を取りやすいようにする、部下のライフワークバランスを考える上司こそ評価が得られる仕組みをつくる。そういうことを考えるときにきているのだと思います」
林さん「人間は、メリットを感じないとなかなか変わりませんよね。決定権を持つ方には、彼らが働き方を変えると自分にも自社にもいいことあというメリットを感じさせてあげるのが、いちばんいいと思っています。これからは、大介護時代。その一番の対象は50代でしょうから、多様な働き方が受け入れられることはみなさんとってもよいことのはず、ということに気づいてもらえたら。
一方、20代など若い世代の男性たちは、もう変わり始めています。この人たちが30代、40代になったとき、育児休暇を取ったりして、平日昼間家にいるという生活者としての経験をすることで、また新しい発見があるはずです。そこでいろんな人のニーズを知ることで、ものすごいイノベーションにはプラスがあると思います」
質疑応答が終わり、最後は池永さん・林さんと参加者で記念撮影。その後も参加者同士の情報交換は続きましたが、その中で、幹事のひとりでありオンライン受講者の窓口にもなっていた、末吉亜樹子さん(情報関連会社勤務)にトークイベント参加後の感想をお聞きしました。
行動を変え、声を上げ続けていきたい
「国のバックアップや企業の取り組みなど、さまざまなお話が出ましたが、まだまだみなさんが課題に感じていることはたくさんあります。(意欲があるワーママがいても)全国転勤ができないと昇進ができない、長時間労働で成果をあげる人でないと昇進できない…。
私自身、社内でも、30回ほどワーママのロールモデルを紹介するイベントを主催していますが、まだそこまでゆき着いていない人もたくさんいます。それには、自分自身の意識を変えるだけでなく、国や会社、そして、男性のみなさんの協力が必要です。男女共に生き生きと働ける社会の実現はそう簡単にはいきませんが、明日からと言わず今日から、ひとりひとりの行動を変えていくことで、よりよい未来がつくれるはずです。私も改めて自身が主催するイベントをもっとパワーアップをさせ、声を上げ続け、女性の皆さんの意識改革につながればと思っています」
――末吉さんのコメントに、大きくうなずく参加者たち。待っているだけでなく、ひとりずつが意識を変え、行動を変える。その動きは、すでに始まっているようです。次回は男性参加者の声もピックアップします。
南 ゆかり
フリーエディター・ライター。12/28発売の『Domani』では働く女性10人にインタビュー。十人十色の生き方、ぜひ読んでください! ほかに、 Cancam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。