男女共同参画は “区別や差別なく生きるためのみんなの問題”
――グロービスで行われた、ワーキングママの現状を知るトークイベントの参加者は、計45名。そのうちオンライン参加者が25名で、男性は全体の3割を占めました。さて、その男性はどんな考えをもちながら聞いていたのでしょうか。男性参加者のひとり、平瀬志巨さん(製薬会社勤務/グロービス制約ビジネスの会)にお聞きしました。
前回のお話は:ワーママ活用は企業の死活問題!?
女性だけの問題ではない!
平瀬さん「グロービス・ワーキングマザー・クラブのメンバーの関心の高さ、積極的な質疑応答には手応えを感じましたね。男女共同参画は、女性だけの問題と思われがちですが、男性自身も考えることがたくさんあります。私自身、古い考え方から抜け出せていない部分もあるので、まずは自分から考えを改め、少しでも行動に移していきたいと思いました。
男女共同参画社会の実現に向けては、男女問わずすべての人に関係する大きな課題。今回のイベントで池永さん、林先生が講演された内容を、参加できなかったメンバーへ発信していきたいです」
案ずるより産むがやすし!
――最後に、【白熱ワーママ教室3】【白熱ワーママ教室4】【白熱ワーママ教室5】【白熱ワーママ教室6】でもご登場いただいたグロービス 経営管理本部長 マネジング・ディレクターの林恭子さんにインタビュー。働き方改革の実践法から男女共同参画の最新事情まえ、参考になるお話ばかりです!
林さんは日常の中で、どのように働き方改革を実践されていますか?
林さん「リモートワークやフレックス勤務は日常的に取り入れています。また、テクノロジーも活用し、たとえば集中して行いたい仕事は自宅で行うと能率が上がるので、リモートワークで。そのとき会議や面接がある場合は、気軽にWebシステムを活用します。会議の参加者が遠隔同士でも、たとえばGoogleのアプリを使えば、同時にひとつのワークシートをみんなで見て、書き込みながら作業が進みます。後で議事録を作成する必要もありませんし、効率的ですよ。
またグロービスでは、全員が全員のスケジュールをネット上で見ることができ、空いている時間にはスケジュールを入れ合えることにしています。フレックス勤務をする場合は、事前に自分のカレンダーに『〇〇時に出社』とか、『〇〇時以降は退社』としておきます。スケジュールを入れてほしくない時間も書き入れるようにしているので、互いに予定を理解しながら仕事ができて、効率的です」
今回の『国の視点×民間の視点で考える男女共同参画』のトークイベントを通して、林さんがお感じになったことがあれば、教えてください。
林さん「今回のイベントの企画が、ワーキングマザーだけでなく、男性も多く、共同企画が実現できたことがうれしかったですね。男女共同参画は“女の問題”ではなく、“区別や差別なく生きるためのみんなの問題”であるということですね。また、多くのワーキングマザーたちが、オンラインで熱心に参加していた点も感動的でした。テクノロジーの進化により、ひとつのところにリアルに集まらなくても、育児をしながら、自宅からでもこうしたカンファレンスにどんどん参加できるいい時代になったなあ、と感じました」
林さんご自身は男女共同参画の進捗をどのように受け止めていらっしゃいますか?
林さん「女性の活躍推進については、『20・30』の目標(※)を掲げて以来、かなり変わってきていると思います。女性管理職比率も少しずつ増えてきましたし、今後そこにつなげるための土壌も耕されてきたように思います。まず、出産を機に退職する女性は激減しましたよね。でも、単に辞めずに働き続けるのではなく、ちゃんと女性も意思決定ボードに入っていけるために、働き方改革(「効率的・生産的な仕事のやり方を」「柔軟な勤務形態を許容」「成果で正しく評価する」)の推進が必要です。
弊社も以前は、“ワーキングマザーコミュニティ”というメーリングリストでワーママ同士が情報交換していたのですが、昨年、“ワーキングペアレンツコミュニティ”に改称したところ、多くの男性社員も参加するようになりました。男性の意識の変化もとても感じます」
※『20・30』の目標/社会のあらゆる分野において、「2020年までに」指導的地位に女性が占める割合を少なくとも「30%程度」とする目標。
――林さんは最後に「案ずるより産むがやすし、ですよ」と笑顔でおっしゃっていました。思い悩むことは多いけれど、ともかくやってみなければ、何も動かない。深く考えつつも行動力のある女性たちがこんなに多くいることで、改革のスピードがますます加速していくこと、間違いなさそうです。
南 ゆかり
フリーエディター・ライター。12/28発売の『Domani』では働く女性10人にインタビュー。十人十色の生き方、ぜひ読んでください! ほかに、 Cancam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。