本は「根っこ」と「翼」をくれるもの
読書家で知られる上皇后美智子さまは、幼少期の読書体験が自身の人生の糧となり、また大きな苦難に中にあったときは『でんでんむしのかなしみ(新美南吉)』などの本に勇気づけられたといいます。
「(読書は)ある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、大きな助けとなってくれました」
(国際児童図書評議会(IBBY)創立50周年記念大会開会式でのお言葉 2002.9.30)
小学校入学以前の読み聞かせ経験が、その後の読書に対する興味や学校の授業の楽しさに影響するといった調査データもあります。
出典:文部科学省 子ども読書の情報館
「子ども読書活動推進に関する評価・分析事業報告書」(2010.3 財団法人 文字・活字文化推進機構)
だけど…読み聞かせが良いことは分かっていても、その体力が残っていない夜も正直、ありますよね。「最近全然新しい本買ってなかったな…」なんて反省して本屋に行ってみるものの、沢山ありすぎてどれがいいか分からない!なんてこともしばしば。
今回は、実際に子ども達と一緒に読んだ本の中から、個人的に“沁みた”作品をご紹介します。
1.【字のないはがき】(小学館)
飛行機事故で51歳という若さで亡くなり、未だにその奥深い思想や瑞々しい感性が語り継がれる作家・向田邦子さんの実話エッセイを、角田光代さん、西加奈子さんが絵本化した作品。親が子を愛し、どこにいても子を想い、いついかなる時もたった1つのこと…生きていて…それだけを願っていることを静かに伝えられる一冊です。
2.【さっちゃんのまほうのて】(偕成社)
先天性四肢障害児父母の会が「我が子や周囲に障害をどう伝えるか」という悩みに答えるために企画し1985年に出版。現在までに65万部以上を売り上げたロングセラー絵本です。生まれつき右手指に欠損を持つ女の子「さっちゃん」が、友達と自分の違いに傷つきながらも両親の深い愛情と、友達や先生との交流の中で静かに自信を取り戻していく様子は、何度読んでも心が震えます。
3.【たからもののあなた】(岩崎書店)
「なんで仕事に行っちゃうの?私のこと好きじゃないの?」泣く娘と、「大好きよ…」ぎゅーっと抱きしめる母の姿。育児と仕事の両立の狭間で、我が子への愛しさや罪悪感、モヤモヤやイライラ、毎日毎時間あふれ出る数多の感情に彩られた、かけがえのない今を生きる働くママにオススメしたい絵本です。
我が子の心に優しさが芽生えますように。感じる心が育ちますように。母の願いが込められた読み聞かせの時間。気になる一冊があれば、ぜひ手に取ってみてください。
Domanist
伊藤孝恵
2児(女児)の母・ 参議院議員。テレビ局、大手化粧品メーカー勤務を経て、人材総合サービス会社で宣伝を担当。2016年に初当選し、ママパパ議員連盟を立ち上げるなど精力的に活動中。過去に結婚させたカップルは17組。
IG:https://www.instagram.com/itotakae/