いま思えば、「親ばなれ」の始まりは小学校中学年
モデル業を続けながら4人の子どもの育児に追われ、まるで嵐のような毎日を送っていたのが、つい最近のよう。長男と次男は独立。いつまでも幼いと思っていた長女と次女も16歳と15歳に。いわゆる「親ばなれ」の時期を迎え、永遠に続くかのように思っていた子育てにも一区切りがつきました。
いま思えば、「親ばなれ」の始まりは娘たちが小学校の中学年。毎日、学校の帰りに一緒に行っていた公園で、「ママ、恥ずかしいからもう来ないで。お友達のママは誰も来ていないでしょ」、そう言われたんです。「え?」、最初は耳を疑いましたが、「まぁ、そんなふうに思う日もあるよね」くらいに思ってスルー。
でもその日から一緒に公園で遊ぶ回数は減り、そのうち、娘たちだけで行って帰ってくるようになりました。それでも日々は慌ただしく、その日その日を乗り切るのに精一杯。それが「親ばなれ」の兆しだったなんて気がつきもしませんでした。
時は流れて、娘たちも中学生。それぞれが部活動に励んでいたため、朝8時に学校に送り出してから、娘たちが戻るのは20時や21時ということも多くなりました。帰ってきたらすぐに夜ご飯を食べ、宿題を済ませてお風呂に入り、「明日も早い!早く寝なくちゃ!」という毎日。
コミュニケーションをとる時間とえいば、夜ご飯を食べている間の1時間もないくらい。「今日、学校どうだった?」「普通だよー!」。「お弁当どうだった?」「美味しかったよー!」……。確認作業のような当たり障りのない会話だけど、それでも私には楽しい時間。だけど娘たちは早く食べ終わってyoutubeを見たり、お友達とメールをしたり忙しそう。娘たちこそ自由時間がないんです。
気がつけば、娘たちのために必ず予定を空けていた週末すら、一緒に行動することが減っていきました。「明日、どこどこに行かない?」と誘っても、「友達と遊ぶ約束をしてるー」とか、「部活がある」とか、なんなら、「それ行かなきゃいけないの?何時までかかる?」って、ちょっと面倒くさそうな時も……。
最近まで「抱っこ、抱っこ!」だったはずなのに、今では私が「抱っこさせて~」とお願いするも、見事に嫌がられる……。せめてもと、隣にいる娘の手をさすらせてもらう今日このごろ。笑。
娘に嫌われたくない。でも気になる。嫌われたくない。でも気になる。これが私の心理。笑。
娘たちとは相変わらず仲がよかったけれど、中学生になってからというもの、こんな風に「親ばなれ」は加速していきました。そしてこの段階にきて初めて「はっ!」と気がついたのです。どこにいても何をしていても娘ファーストだった日々は、突然(のように感じる!)終わりを告げたのです。
「親ばなれ」。新しいシーズンに備えて万全を準備を!!
いつかは誰にでも訪れる「親ばなれ」、そして「子ばなれ」。
子育て世代のお母さんたち。今は大変で目一杯かもしれない。でも、時間的にも精神的にも肉体的にも必ず楽になる日がきます!嫌でも子供たちはひとりで歩いていってしまうから。気がつけば、子育てに追われている時間なんて瞬く間に過ぎているから。だから大変だけど、“今”を存分に味わってください。たくさん子供を抱きしめてください。そのうちに触らせてもらえなくなるから(笑)。
さらに、いま私がもっともお伝えしたいのは、その日をただ待つだけではなく、それから先の第2の人生“セカンドシーズン”を、真剣により具体的に(ここが大事!)考えておいた方がいい、ということです。子育てがひと段落しても、まだまだ人生は続きます。子育ての時間よりもその後の人生の方が長いのです。
というのも、実はわたしは考えていませんでした。ただ待っていただけで……。
次回はその準備不足が引き起こしたどん底、「親離れクライシス」について書いていこうと思います。
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モデル
中林美和
1979年生まれ。16歳で小学館『CanCam』の専属モデルに抜擢され、表紙モデルとして活躍。23歳で結婚、出産を経て小学館『SAKURA』のメインモデルとして復帰。ママモデルの先駆的存在となり、9年間表紙モデルを勤める。他、セブン&アイ出版『saita』の表紙モデル、光文社『VERY』、宝島社『&ROSY.』など多数の女性ファッション誌、ビューティー紙のモデルとして活躍する。著者に『中林美和のハートフルデイズ』、初のエッセイ『おんぶにだっこにフライパン!』など5冊を出版している。2017年にアロマテラピーアドバイザーの資格を取得。