【目次】
・授乳の量と間隔
・ミルクの量が適切かどうか判断しよう
・飲ませ方のポイント
・こんなときはどうする?
授乳の量と間隔
まず、新生児とは生後一か月未満の赤ちゃんのことです。今回は新生児に飲ませるミルクや母乳の量・間隔について解説します。一般的に適切といわれている情報をしっかりと確認し、授乳の目安として役立てましょう。
ミルクの場合
ミルクは母乳に比べ、消化するまでに時間がかかると一般的に思われていますが、実際にはあまり変わりません。
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母乳の場合
新生児期には赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませてあげましょう。ただし母乳は栄養バランスがよく、たくさん飲んでも栄養が偏ることがないと思われていますが、実際にはビタミンK、D、鉄分が不足することがあります。月齢が5〜6か月になったら離乳食をはじめます。それまでの月齢なら母乳だけでいいのですが、お母さんはバランスのよい食事を摂るように心がけましょう。一方で、授乳回数が増えるほど、ママの負担も増えることになります。ほとんどの場合、約3時間おきに授乳しても、1日に与えるトータルの量はほとんど変わりません。本当に欲しがっているのかを見極め、ママの負担が増えないようにタイミングを調節することも重要です。
混合育児の場合
出産直後は、母乳の分泌が不安定になりがちです。また、母乳の量が元々少ないというママもいます。このような場合は、母乳とミルクの両方を授乳してみましょう。混合育児のメインは母乳です。まずは赤ちゃんに母乳を与え、足りない分をミルクで補うようにしましょう。ミルクを与え過ぎたり、ミルクの回数が多くなり過ぎたりすると、母乳を飲まなくなることがあります。母乳とミルクを合わせた1日の量が分かればいちばんいいのですが、母乳をどのくらい飲んでいるかが分かりにくいため、心配であれば体重の増加量をチェックしてもよいでしょう。
ミルクの量が適切かどうか判断しよう
赤ちゃんに必要な授乳量は、成長とともに変化していきます。常に適量に近い授乳ができるよう、赤ちゃんの様子から判断する方法を覚えましょう。
不足のサイン
通常、新生児は1日ごとに体重が増えますが、誤差があるので2〜3日くらいを空けて比較しましょう。しっかりと授乳しているつもりでも、赤ちゃんの体重が増えない場合は、量が不足している可能性を疑いましょう。排泄の状況もチェックする必要があります。おしっこの回数が少なかったり、便秘気味だったりする場合は、水分摂取量の不足が考えられます。授乳の後も泣き止まず、すぐに次を欲しがるような場合も、量が足りていないことが疑われます。ただし、機嫌が悪い原因はいろいろと考えられるため、ゲップやおむつも確認しましょう。
適量のサイン
血色がよく元気があり、機嫌のよい状態が比較的長く続き、肌の張りやツヤもいい場合は、適量であると判断できます。体重の増加にも日々注目しましょう。新生児の体重は、飲んだ分だけ排泄するため、水分摂取量はそのままおしっこの量に反映します。
飲み過ぎのサイン
飲んだ後泣き止まない場合は、足りないときばかりではありません。飲み過ぎて苦しいときにも泣くことがあります。またお腹の様子にも気を配りましょう。お腹がパンパンに張った状態で、苦しそうに泣いているような様子なら、飲み過ぎの可能性が考えられます。
飲ませ方のポイント
ミルクを飲ませる際は、ミルクの温度と授乳後のゲップに気をつけましょう。それぞれのポイントを解説します。
ミルクの温度を調整する
赤ちゃんに飲ませるときのミルクの温度は、人肌になるくらいが目安です。飲ませる直前に腕の内側に落とし、やや熱く感じる程度にまで調整しましょう。ミルクを溶かす際は、沸騰後に少し冷まして70度程度にしたお湯を使いましょう。最終的に作る量の半分程度まで哺乳瓶に入れ、粉ミルクを溶かします。そしてまた残りの半量のお湯を入れます。できたミルクは、冷水の入った容器に入れて軽く振るか、哺乳瓶に直接流水をあてて冷ましましょう。哺乳瓶の素材は、プラスチック製よりガラス製の方が、熱を伝えやすいため早く冷めます。搾乳母乳をぬるま湯などで少し温める際にも便利です。
飲ませたらゲップをさせる
赤ちゃんは、母乳やミルクと一緒に、多くの空気を吸い込んでいます。お腹に空気をためたままにしておくと、苦しくて機嫌が悪くなったり、飲んだものを吐き戻すこともあります。新生児は自分でゲップができないため、基本的に毎回の授乳後にゲップをさせてあげる必要があります。出すタイミングは授乳後が一般的ですが、授乳中の方が出しやすいという方もいます。ゲップは、赤ちゃんの背中をさすったりやさしく叩いたりして出すのが基本です。すぐに出る場合もあれば、10分以上かかることもありますが、待っていればほとんどの場合は必ず出ます。赤ちゃんの姿勢は、縦抱きする方法、膝に座らせる方法、うつ伏せに寝かす方法の主に三つがあります。ゲップが出やすい体勢を見つけてあげましょう。
こんなときはどうする?
授乳に関し、赤ちゃんとの間にさまざまな問題が発生することもあります。よくあるケースとその対処法を紹介します。
授乳と睡眠のリズムがつくれない
授乳間隔がいつもより開き過ぎている場合は、おむつ交換や着替えをしたり、抱っこしたりして、やさしく赤ちゃんを起こしてみましょう。逆に、前回のミルクから1時間も経たないようなタイミングで次を欲しがる場合は、ミルクの量が足りているかをチェックする必要があります。量に問題がないようなら、赤ちゃんが泣いている原因を考える必要があります。赤ちゃんが泣く理由は、空腹だけではありません。いろいろなことを試してみたり考えたりして、泣いた理由が後からなんとなくでも分かることが大事です。その積み重ねが、上手な育児につながります。
吐く、むせる
赤ちゃんがよくミルクを吐き出す原因は胃が逆流しやすい形になっていることや、常に寝た状態であることなどが主な原因です。ゲップが不完全な状態でも、吐き戻しがよく起こります。赤ちゃんが吐いたときは、吐いた物で喉を詰まらせないように横向きに寝かせましょう。吐く様子や吐いた物、排泄物や体温などをチェックし、体調が悪くないか確かめることも重要です。また、新生児期は飲むという行為に慣れていないため、お腹に少し力が入っただけでもむせこみやすくなります。寝ている状態で唾液などが気管に入りやすいことも、むせやすい理由のひとつです。赤ちゃんのむせやすさは成長するにつれ、徐々に改善されていきます。
ミルクを飲まない
新生児の赤ちゃんがミルクを飲まない原因は、以下のようなことが考えられます。
- 十分飲んだのでお腹が空いていない
- 鼻が詰まっていてミルクが飲みづらい
- ミルクの温度や濃さがいつもと違う
- 哺乳瓶の乳首の温度や形状がいつもと違う
便秘気味の状態が続いている場合もミルクを飲みたがらない傾向があります。元気であれば、数日間飲みが悪くても心配いりませんが、明らかに様子がおかしい場合は受診しましょう。
監修
森戸やすみ
一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在はどうかん山こどもクリニックを開設。著書に『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)など。
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