脇汗が出る原因とは?
汗は「汗腺(かんせん)」と呼ばれる器官から分泌されます。汗腺には、全身に分布する「エクリン腺」と、脇など限られた場所に集まる「アポクリン腺」の2種類があり、脇はこの二つの汗腺が共存する場所のため、汗が出やすいのです。そもそも汗は、どのような原因によって出るのでしょうか?
暑さで上昇した体温を下げるため
人間が汗をかく原因の一つは、体温調節を目的とした「温熱性発汗」によります。夏の気温が高いときや、運動をして体温が上昇したときなどに出る汗がこれにあたり、体温を下げる役割を担っているのです。温熱性発汗の場合、エクリン腺のみから汗が出るため、脇に限らず全身から継続的に汗が出ます。エクリン腺から出る汗はほとんどが水分のため、サラサラしていて、汗をかいた直後は無色無臭なのが特徴です。しかし、皮膚でアカや皮脂と結びつき、これを細菌が分解することで臭いが発生することもあります。
精神的な緊張やストレスによって
大勢の前で話さなければならない状況で緊張したときや、プレッシャーを感じたときに、汗をかいた経験がある人も多いのではないでしょうか?これは「精神性発汗」と呼ばれ、精神的な緊張やストレスによって発生します。精神性発汗の場合、エクリン腺とアポクリン腺の両方から汗が出る仕組みです。脇は、体の中でもアポクリン腺が集中している場所のため、緊張したときには脇汗が出やすいといえます。アポクリン腺から出た汗は、脂質やタンパク質など臭いの素となる成分を含んでおり、もともとはフェロモンの役割を果たしていたのだとか。精神性発汗は、温熱性発汗に比べると持続せず、短時間で汗が出るという特徴もあります。
多汗症の可能性も
人に比べて汗の量が多く、日常生活に支障をきたすほどの場合に考えられるのが多汗症です。多汗症にはその汗の出方によって、全身の汗が多い「全身性多汗症」と、体の一部での汗が多い「局所性多汗症」の2種類に分けられます。脇汗が多いのは「腋窩(えきか)多汗症」と呼ばれ、局所性多汗症の一種です。また、原因によっても「続発性多汗症」と「原発性多汗症」の2種類に分けられます。何らかの疾患により起こるのが続発性多汗症、明らかな原因が見つからない場合は原発性多汗症とされています。気になる場合は、クリニックで多汗症の検査を受けるといいかもしれません。
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精神性の脇汗はどう対処する?
暑くて汗が出ているときには、体を冷やすことで、ある程度汗を抑えられます。しかし、精神的なものが理由の場合には、どう対処すればよいのでしょうか?
汗は出てもよいものと開き直る
緊張やストレスなど精神的な要因で汗が出ている場合、汗が出ることを気にしすぎると逆効果になるかもしれません。「汗が出てしまった、どうしよう」「汗を止めたい」などと考えてしまうと、それがさらにストレスとなり、より汗が出てしまうことがあるのです。そんなときには、「汗は出てもよいもの」と開き直ることで、さらに汗をかくことを防げるケースもあります。発想の転換をすることで、気持ちを楽にしてあげましょう。
病院で治療する方法も
脇汗が多くて悩んでいるなら、病院で治療する方法もあります。多汗症は主に皮膚科で診察する疾患です。それ以外には、ペインクリニックや形成外科でも多汗症治療を行っていることがあります。医師にきちんと診てもらい、自分の脇汗の原因を相談してみましょう。原因が分かれば塗り薬や内服薬、注射など治療の選択肢が広がります。脇の多汗症を扱っている病院は全国にあるため、気になる人は探してみてはいかがでしょうか。
予防するにはどうすればよい?
脇汗が多いと満員電車などで自分の臭いが気になったり、衣類の汗染みが気になったりします。日ごろから脇汗が気になることが多いなら、あらかじめ対策しておくのがおすすめです。ここからは脇汗を予防するための方法を紹介します。