「美白コスメに入っている成分の名前って、覚えておくべきですか?」(千幸)
木更さん:たしかに、コスメの成分名ってわかりづらいよねー。美白コスメのCMでも「トラネキサム酸」とか、「コウジ酸」とか、いろいろいってるけど、なんのこっちゃだよね!?
千幸:や、やっぱり、全部覚えなきゃいけないですかね…、汗。
木更さん:ううん、そんなことは全然ないよ。よく「美白成分」っていうけど、美白にいい成分は多分世界中に無限にあるの。でも日本の厚生労働省に認められたものってことだと、現在は20数種。それらは「美白有効成分」と呼ばれていて、「メラニンの生成を抑え、シミやソバカスを防ぐ」あるいはこれに類似した効能を表示することが認められた成分。「医薬部外品」や「薬用化粧品」と表示して販売することができます。
千幸:ということは、「美白有効成分」が配合されているもののみ、「美白化粧品」って名乗っていいということですか?
木更さん:そういうこと。ちなみに、主な「美白有効成分」だと、こんな感じかな。
アルブチン
安定型ビタミンC誘導体
エナジーシグナルAMP
エラグ酸
カモミラET
グラブリジン
コウジ酸
トラネキサム酸
ニコチン酸アミド
ビタミンC
ビタミンCエチル
ビタミンC誘導体
美白有効成分
マグノリグナン
4MSK
リノール酸S
ルシノール
などなど
「厚生労働省に認められていない成分で効くものもある?」(千幸)
千幸:以前、美容皮膚科で「ハイドロキノン」という塗り薬を出してもらったんですけど、使用上の注意点がいくつかありました。「皮膚の漂白剤」と呼ばれていて、とってもパワフルだからきちんと使い方を守るようにっていわれて。
木更さん:そう、「ハイドロキノン」みたいに、美白有効成分としては認められていないものでも効く成分はあるよね。つまり、厚生労働省が認めてくれることがすべてではないってこと。でも、認めたものなら、効果と安全性のバランスが保証されているといってもいいから、安心して使えるってことかな。ちなみに、濃度の上限も決められているからね。有効成分の濃度が規定より濃いと、美白コスメの表示は許されないの。
「美白成分っていうのは、それぞれ効くメカニズムが違います」(木更さん)
木更さん:覚えてほしいのは、むしろここから。実は、認められたものでも認められていないものでも、美白成分っていうのはそれぞれ「効くメカニズム」が違うということ。たとえば、有名なところで、「トラネキサム酸」。これは、黒い色素であるメラニンをつくる細胞が元気にならないようにするアプローチ。もうひとつ、よく耳にするところで、「4MSK」。これは、肌の代謝を促しメラニンを含む細胞が早く出ていくようにするアプローチ。他にも、そもそもメラニンがつくられないよう指令系統を邪魔するアプローチや、できてしまたメラニンがつぎつぎに細胞に受け渡されるのをブロックするアプローチなど。ひとくちに美白っていっても、実はアプローチはさまざま。
千幸:なるほど。ちなみに、一成分ですべてをカバーできるパーフェクトなものってあるんですか?
木更さん:実はそれがナイの。でもいちばんマルチ度が高いのはやっぱり「ビタミンC誘導体」かなー。
「結局、美白コスメはどう選ぶとよいのでしょう?」(千幸)
木更さん:いろいろな成分でいろいろにアプローチができるのがいい。美容のプロはいろんなブランドのいろんなアイテムをミックスコーディネートするといわれるゆえんです。簡単に言えば、「いろいろな美白コスメを使う」ということ。だから、最初に戻るけど、成分名をいちいち覚える必要は、全然ないんです。肌を白くしたり透明感を高めたいと思ったら、いろいろな美白コスメを試すのがいい。そこんとこだけ覚えてくれればOKです
▼ あわせて読みたい記事
シミとりたい!レーザーと光治療ってどう違う?【怪傑木更塾】
化粧品と医薬部外品ってどっちが効くんですか?【怪傑木更塾】
大人の角質ケア~ケミカルピーリングって効くの?ゴマージュとどう違う?【怪傑木更塾】
美容ライター・エディター
木更 容子
美容業界歴25年超の51歳。コスメ業界の歴史とトレンドに精通するご意見番で、Domaniでも長年にわたり記事を執筆。目からウロコなアドバイスで忙しいワーママの肌悩みを多く解決。プライベートでは12歳女の子のママ。
ビジュアル・エディター
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経てエディターに転身した矢先に妊娠。2019年9月に女の子を出産したばかりの右から見ても左から見ても新米ワーママ。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガルではあるものの、 外国語より原稿力の必要性を痛感している今日この頃。chiyuki_arita_official